サンライズキッズ看護師のコラム

掻き過ぎた結末⇒とびひ 2022-6-22

虫刺されや湿疹部位が痒く掻いていたら、いつの間にか広範囲に広がっていました。

それが、とびひです。正式名称、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)と言われるブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因で起きる皮膚の感染症です。潜伏期間は2-10日前後で集団感染することもあります。

 

『とびひの症状』

虫刺されや湿疹などの部位が痒く、掻きむしった指先に着いた菌が他の部位に広がっていきます。

水膨れのできる水泡性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)とかさぶたが出来る痂疲性膿痂疹(かひせいのうかしん)の二種類があり、今の時期に流行するのは水泡性膿痂疹です。

 

水泡性膿痂疹

赤みとかゆみを伴う水膨れを形成したのち、水膨れが破れ、ただれます。

 

痂疲性膿痂疹

膿の溜まった水膨れを形成したのち、水膨れが破れ、ただれてかさぶたになります。

また、発熱やのどの痛み、リンパ節の腫れを伴なうことがあります。

 

まれに、原因菌から他の疾患を発症することがあります。それがブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS:4S=フォーエス)です。これは、黄色ブドウ球菌の毒素が血液内に侵入し、高熱を出し、皮膚が熱傷のようにただれ、赤く腫れあがり、水膨れのような症状になります。

 

『とびひの原因』

虫刺されや湿疹などを掻きむしって出来た傷に細菌が感染することで発症します。

また、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している状態でも細菌の侵入により発症します。

水泡性膿痂疹はブドウ球菌への感染、痂疲性膿痂疹では溶血性連鎖球菌(溶連菌)への感染が原因と言われていますが、両方とも健康な人の体にいる菌(常在菌)で、傷から菌が侵入することによってとびひを起こす原因になります。

 

『治療とホームケア』

病院で処方された抗菌薬の入った塗り薬や内服薬は医師の指示された通りに使用しましょう。

自宅では患部を清潔に保つことが重要なため、泡立てた石鹸で優しく洗い、きれいに洗い流しましょう。また、タオルの共有は感染拡大につながるので避けましょう。

日頃から、爪の長さに注意し皮膚を傷つけない長さをたもち、外出時は虫よけ対策をしっかりし、予防に努めることが重要です。

 

 

厚生労働省からの明確な登園基準はありませんが、保育園や幼稚園など子どもと密に接する場面では感染拡大しやすいため検討が必要です。

 

 

サンライズキッズ保育園では、登園時に皮膚の状態を観察して異常があれば保育士間で情報共有して、降園までの間に変化がないか経過を見ていきます。また、かゆみを伴う場合は傷つけないよう保護したり、冷やしてかゆみの緩和に努めています。爪の長さは毎週必ずチェックして長い場合は保護者様に爪切りの依頼をしたり、必要に応じて保育園で爪切りを行っています。

 

 

サンライズキッズ保育園  看護師  浅井恵理子