子どもの「好き」はその子らしさ ― 小さい頃から育てたい自己肯定感 2025-12-8

この言葉をどこかで耳にしたことはありませんか?
「うちの子、男の子なんですけどピンクが好きなんです」
「女の子なんですけど車に夢中です」
園でも、戦隊ヒーローの色をめぐって「ピンクは女の子の色!」「赤がいい!」なんてやり取りを聞かれることがあります。
お友だち同士の会話の中で、男の子らしさや女の子らしさを意識しはじめる姿も見られます。
けれど、ピンク=女の子、車=男の子という区分は、本当に生まれつきのものなのでしょうか。
実は、ジェンダー(社会的な性)の芽生えは、早ければ1歳半ごろから始まります。
この頃の子どもは、鏡を見て「これが自分」と認識しはじめ、周囲の言葉や反応から「自分はどう見られているか」を学んでいきます。つまり、「自分」と「他者」を区別できるようになることが、ジェンダー感覚の最初のステップなのです。
たとえば、保護者や周囲の大人が「かわいいね」「かっこいいね」と声をかけるとき、知らず知らずのうちに性別によって言葉や態度を変えていることがあります。こうした日常の積み重ねが、子どもの中に「自分はこうあるべき」という小さな枠をつくっていきます。
大切なのは、「性別に合わせること」ではなく、「その子の好きを受け止めること」です。
「ピンクが好きなんだね」や「車が好きなんだね」と、そのまま伝えるだけで十分です。色や遊びに「男らしさ」「女らしさ」を結びつけず、「あなたの好きが大切だよ」と言葉にすることで、子どもは自分らしさを安心して表現できるようになります。
ジェンダーの芽生えの時期に必要なのは、矯正ではなく、選択肢を広げる関わりです。
「おままごともブロック遊びもしていいよ」「どんな服を着てもいいね」と伝えることで、子どもは世界の多様さを自然に学びます。これがあとで、自分だけではなく他者を尊重する力の土台にもなっていきます。
そして何より、子どもが「どんな自分でも受け入れられている」と感じること。
それこそが、ジェンダー教育のいちばんの基盤です。
保護者がそのままの姿を認め、安心して好きを表現できる環境があることが、子どもの心の安全基地となります。
ジェンダーの芽生えは、性別の意識を教えるタイミングではなく、「自分らしさを育てるチャンス」として、やわらかく見守ることが大切になります。
サンライズキッズ保育園では、「その子らしさ」を大切に保育をしていけるように努めています。
サンライズキッズ保育園 看護師 根上心