サンライズキッズ看護師のコラム

最近よく聞く「百日咳」の話 2025-5-30

最近流行している感染症で「百日咳」という言葉が出てくるようになりましたね。

「百日」という名前が付くだけあり、かなり長い咳が続きます。

そこで今回は百日咳の症状について解説をしていきたいと思います。

 

【百日咳ってどんな病気?】

名前の通り咳を伴う病気で、百日咳菌という菌から飛沫感染します。

誰でもかかる可能性のある病気ですが、主に乳幼児にみられ、命に関わることもあります。百日咳を発症した子どものうち0.2%が亡くなり、生後6ヶ月以内の子どもの死亡率は0.6%にもぼるややリスクの高い病気です。
百日咳にかかると、肺炎・脳症などの合併症もあるため注意をする必要があります。生後6ヶ月以内では12%が肺炎を引き起こしています。

こちらの病気は早めの予防接種が推奨されています。

 

【症状】

潜伏期間が12週間あり、すぐに症状が出るわけではありません。名前の通り、百日間も続きそうなほど長期間にわたって強い咳が出ます。時には嘔吐や無呼吸発作を伴う場合もあり、子どもにとって体力を持っていかれてしまうものになります。

 

大人は症状が出ても、比較的軽症で済む場合があります。

ちなみに百日咳は3つの過程を通ります。

 

1.カタル期

そこまで強い咳などは少なく、風邪のような症状がメインです。

12週間続き、症状が進むにつれてだんだん咳が強くなってきます。特に生後3ヵ月未満はカタル期が短いので急速に症状が進みます。

 

2.痙咳期

カタル期よりも強い咳が出ます。期間は24週間といわれ、連続した咳のあと、ヒューっと息を吸い込むのが特徴です。乳幼児の場合、咳をする前に、突然呼吸が止まることがあります。
さらに、夜に咳の発作が強くなることが多く、咳による不眠で体力的にも辛くなります。咳が強いため、嘔吐をしてしまう子も出てきます。

ネバっとした痰が出ることにより、発作が治まっていきます。大人はあまりこの症状は見られません。

 

3.回復期

咳が落ち着いてきます。少しずつ咳の症状が軽くなり、次第に落ち着きます。

百日咳の最後の2週間ほどが回復期の期間です。症状が軽くなったからといって、すぐに登園をすると悪化することがあるため、ゆっくり休ませるのも大切です。

 

百日咳にかかった場合は学校保健法により、特有の咳が治まるまでは行くことができません。必ず医師の診察を受けた上で証明書をいただいてから、園に登園をするようお願いいたします。

 

これらの病気は、市販薬で対応をしても治らないため、気が付いた時には早めの受診をすることが必要です。また遅くなったとしても適切な治療をすることが、百日咳を治すコツにもなります。

 

【受診先】

内科呼吸器科を受診しましょう。

子どもの場合は小児科を受けても良いです。

周りに百日咳にかかっており、大人も症状が出ているときは、一緒に検査を受けましょう。

 

【有効なワクチン】

ワクチンは計5回打ちます。

1期は生後3ヵ月~12ヵ月の期間に2056日の間隔をおいて3回となります。そしてそこから6ヶ月以上経つと追加接種を行います。1期はこの4回で終了です。
2
期は1112歳の期間に1回と定められています。各市町村が実施主体となってスケジュールを出しているので、案内に沿ってワクチン接種を受けましょう。

 

三種混合ワクチン:ジフテリア・百日せき・破傷風を予防

一般的な接種スケジュールは、「生後2ヵ月~2歳になるまでにワクチンを4回接種(生後2ヵ月から1回目の接種を始める)」になります。
百日咳は、三種混合・四種混合によって百日せきの免疫をワクチンで得ていても、小学校就学前にその力が落ちてしまうことがわかってきました。そのため、日本小児科学会は、①小学校就学前の1年間②11‐12歳での三種混合ワクチンの追加接種(任意接種)を推奨しています。

 

四種混合ワクチン:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオを予防(接種対象は小児のみ)

一般的な接種スケジュールは、「生後2ヵ月~2歳になるまでにワクチンを4回接種(生後2ヵ月から1回目の接種を始める)」になります。

 

五種混合ワクチン:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・Hib(ヒブ:インフルエンザ菌b型)感染症を予防(接種対象は小児のみ)

一般的な接種スケジュールは、これまでの四種混合とHibワクチンを参考に作成されており、「生後2ヵ月~2歳になるまでにワクチンを4回接種(生後2ヵ月から1回目の接種を始める)」になります。 

 

 

予防をすることで罹患するリスクは80~85%程度まで減らすことができます。

 

以上が百日咳の内容になります。たかが咳だと思って治療を先延ばしにしてしまうと、3カ月近く咳が続いたり、周りに感染を広げてしまったり、最悪の場合は子どもの命にもかかわることにもなります。

少しでも咳が気になる時には、早めの受診をして保護者のみなさまやお子さんが元気に過ごせるようにしていきたいですね!

 

看護師 根上心