サンライズキッズ看護師のコラム

子どもが吐いちゃった!そんな時はどうすればいいの? 2024-11-8

11月に入ると冬はもう間近。寒暖差もあり、寒い日も増えてくるので身体の調子も変わりやすい時期になります。
冬に近づくにつれやってくる胃腸関連の病気、特にノロウイルスなどの感染性胃腸炎が増えてきます。
子どもは病気の時でもそうでもない時でも、突然吐き戻してしまうこともあり、慌ててしまう経験はありませんか?
その時に適切な処理をしないと、家庭で全滅・・・なんてこともしばしば起こります。
そこで今回は子どもが吐いてしまった時の対応についてお伝えしていきたいと思います。

吐いた時の片づけ方

用意する物

・ペーパータオル(使わない雑巾やボロ布でもOK)
・次亜塩素酸ナトリウム6%(家庭用塩素系漂白剤で代用OK)
・マスク
・使い捨てゴム手袋とエプロン
・ビニール袋(二重)
・バケツ

1 消毒液の作り方 ※アルコールはノロウイルス等に効果は一切ありません

嘔吐物・糞便・汚物の場所・衣類等のつけ置き
● 次亜塩素酸ナトリウムをキャップに2杯弱に500mlの水を入れて混ぜて作ります。

食器等のつけ置き、トイレの便座・ドアノブ等
● 次亜塩素酸ナトリウムをキャップ1杯弱に1Lの水を混ぜて作ります。

 

2 片づけ・消毒

● 吐いたものをペーパータオル等に外側から内側に向かってまとめて、二重の袋に入れて捨てましょう。
・消毒液を浸した布や消毒液で箇所を10分以上覆って、その後は水拭きをしましょう。

 

3 カーペット・畳・薄い布団などや汚れが一部分ある時

● スチームアイロンがある場合、85℃以上で1分当てて処理をしましょう。

 

4 窓を開けて換気

 

5 吐いた後の対応
● 吐いたものがついた衣服は、1同様の消毒液で30~60分ほどつけた後に洗濯をしましょう。
→この時拭きとった紙や布は二重の袋に入れて処分しましょう。
※服が色落ちする可能性があります

● 本などの紙類で嘔吐物がついてしまった場合は、処分をしましょう
→特に感染性胃腸炎の場合は、ここから感染することもあります。

 

6 片付け後は石鹸を使って30秒手洗いし、うがいを忘れずに行いましょう

 

子どもが吐いてしまったときにできること

● まずは「だいじょうぶ?」の声掛けからしましょう。
→こみ上げてくる気持ち悪さと、吐いたショックを感じる子がいます。その時に声をかけたり、手や背中等をさすり、不安感を和らげるのも効果的です。

● 吐きやすいようにサポートをしましょう

1吐いたものが広がらないようにしましょう。1~3mは周りに広がります。

2吐きやすい姿勢にしましょう。枕や丸めたタオルで背中や頭を支え、横向きにしましょう。1歳以降は右向きもおすすめです。
→この時にあおむけにすると、吐いたものが逆流して窒息するため横向きにしてください。

● 背中を下から上にさすり、吐きやすいようにしましょう。さすることで安心感につながります。

● 吐き終わった後は口をすすぎましょう。
→乳幼児は布で口の中を清潔なガーゼで拭きとり、幼児はうがいをさせましょう

子どもの様子のチェック(余裕がある時)
● どんなものを吐いたか
回数、内容物(食べ物の形状はあるかどうか)、形、色、におい

● 子ども
体温、顔色、爪の色、機嫌

● 他の症状
下痢、腹痛、頭痛、耳痛
食べる、遊ぶ、眠るができるかも子どもの様子を見るコツです。

子どもが落ち着いた時のケア

● ゆったりとした服装に着替えましょう
→上着のボタンを外す、ウエストの緩いズボン、着替えやすい服、通気性の良い生地
● 水分摂取は様子を見ましょう。

 

1 吐いた後1時間は飲食を止めましょう。

2 その後にまずは一口含んで、5分程嘔吐はないか反応を見ましょう。

3 嘔吐が無ければ少しずつぬるま湯や経口補水液を飲ませていきましょう(100mL/回目安です)
● 子どもを休ませましょう
→横向きに寝かせて膝を丸めると、お腹の筋緊張が取りやすくなります。
お腹を温めることは効果的ですが、車酔いや頭を打った時は悪化するためやめましょう。
● 子どもの心のケアを忘れずに
→「いっぱい出せたね」「こんなに我慢していて辛かったね」「びっくりしたね、ゆっくり休もうか」などの言葉のケアを
しましょう。
● 環境整備をしましょう
→音、香り、室温に敏感な時期になっています

● 静かな環境をできる限り作りましょう
香り
● 芳香剤、柔軟剤、においの強い食べ物は避けましょう
● 消化に良い食事、水分補給をしましょう

 

消化に良い食事の例
→すりりんご、うどん、白身魚、おかゆ、軟らかく煮たスープ

 

消化に時間のかかる食事の例
→乳製品、柑橘類、食物繊維の多い野菜、油もの

 

水分補給
→食事ができたり、みそ汁が飲めれば塩分・電解質の確保はある程度できていますが、難しい場合はイオン水やスポーツ飲料がおすすめです。
※年齢が上の子が飲めない時には、氷のかけらやジュースなどを凍らせて、口の中でコロコロさせてもOK

これらが難しい時には、病院受診をして点滴で補いましょう。

 

こんな時はすぐに病院へ!

● 食物アレルギーで意識がない、顔色が悪い
● 頭を打った後に繰り返して吐く
→アナフィラキシーショックや脳内出血の可能性があるため、ためらわずに救急車を呼びましょう。
● 発熱・下痢・痛み(お腹、のど、頭など)がある
● 規則的、特定の時に吐く
● 繰り返して吐く、元気がなくなってきた、顔色が悪い
→感染症、不安やストレス、病状の悪化が考えられるため早めの受診をしましょう。

 

これらが吐いてしまったときの対応になります。感染症も心配ですが、やはり一番不安を抱えているのは戻してしまった子ども自身。すぐに消毒などの対応はできたとしても、子ども自身がショックを受けていることを忘れてしまうこともあります。
もし吐いてしまったときには「大丈夫だよ」など優しい声掛けや体に触れて、子どもの不安を取り除けるような工夫が大切です!
ちなみに食事中などで戻してしまったときは、その周囲にもウイルスが飛んでいる可能性があるため周りの家族はそれ以降は食事を一緒に取ることを控えましょう。
みなさまがこの冬を元気の乗り越えられることを祈っています!

看護師 根上心