サンライズキッズ看護師のコラム

誰にでもある当たり前の「同意」の話 2025-2-28

ニュースで性犯罪への法改正や、そこから身を守るための授業が学校でも広がり、日本版DBSを導入するなど、最近は性犯罪・性暴力から身を守る社会の風潮が徐々に広がり始めています。

 

これらを聞いてもなかなかピンとこない内容かもしれませんが、実際に保育園で先生からの性被害や園児同士の性暴力の事件が起こっているというニュースを見かけることがあるかと思います。

今の世の中、誰にでも性被害、性加害というものに巻き込まれてしまう可能性があります。

 

そこで今回はそれらのことから身を守るための第一歩である「同意」についての話をしていきたいと思います。

 

 

同意って何で大事なの?

 

性教育の中には「性的同意」という言葉があります。この言葉の意味は「性的な行為に対して、お互いがその行為を積極的にしたいと望むかを確認すること」という意味があります。例えば手をつなぐこと、ハグをすることもこれに含まれます。

子ども達の中では当たり前のようになっているものですが、これも全て関わってきています。

一見子どもに関係ないものであるかと思われるのですが、この同意というのは、乳幼児期の中にもたくさんあります。

例えば以下の例があります。

 

◯おもちゃやもののやりとりをする時

◯おむつを交換するとき

◯着替えをするとき

◯子どもに何をしたいのか聞くとき

◯子どもとのスキンシップを取る時(手をつなぐ、ハグ、キス)・・・

 

なかなか気が付かないものですが、実は毎日の生活の中で必ず「同意」に関わる内容がたくさんあります。

 

 

この同意というのが身についていると、自分の体を大切にして人に見せつけない、勝手に触られたり見られそうな時に「No!」ときっぱりと断る力が身につきます。

逆にこの同意というものが身についていないと、相手からの行為に「No」と断ることができなかったり、「自分なんて大切にしてもらえないんだ」と感じ、自分を大切にする気持ち(自己肯定感)が下がり、将来に大きな影響を及ぼすこともあります。

 

「同意」の第一歩!おむつ交換の話

 

赤ちゃんのお世話で欠かせないおむつ交換でも「同意」というものを身に着けるためのきっかけになります。

 

例えば

◯おむつ交換の時に「おむつ替えてもいい?」「おむつ替えようね」などと声を掛けずに突然替え始める。

◯おむつ交換の時にお尻を触って遊ぶ、ふざけあう。

 

実はこれらの行動はNG行為です。

「えー!こんなことでダメなの?」「忙しいからそんなことやってる暇なんてない!」なんて思うかもしれませんね。

 

ですが、みなさん逆の立場になって考えてみてください。

突然自分以外の人にお尻を触られたり、パンツを何も言わずに脱がされたらどう思いますか?

大人がやられてもかなり嫌な内容ですよね。

 

そこでまずは一声。「おむつ替えようね」「おむつ替えても良い?」と子どもに伝えることが大切です。

子どもの自尊心を守ることや、体を大切にされていると感じさせる行動につながります。

 

もちろんお世話や看護の場面でプライベートパーツに触れてしまうこともあります(いやいや期含む)が、それ以外のことで勝手に見る、触れるといったふざける行為は良くないことです。

もしコミュニケーションを取るなら他の方法で取るようにしましょう。

 

これは保護者が意識をして「親でも子どもの体を勝手に触らない」という線引きをしないと、プライベートゾーンやバウンダリーを勝手に見たり触るのを「好き」もしくは見られたり触られるのが「当たり前」ということを教えてしまうことになりかねません。

親子間だけのおふざけが、気が付いたら他の人に・・・ということにもつながってしまいます。

 

そのためまずは赤ちゃんの頃からのおむつ交換をする時にも、たった一声意識してみるのもポイントです。

 

おまけ1 プライベートゾーン、バウンダリーって何?

コラムの中に出てきていたプライベートゾーンとバウンダリー。これらについて解説していきたいと思います。

 

プライベートゾーンとは、体全体の中で特に他人が(親であっても)勝手に触ったり触らせたり、見ようとしたり見せたりしてはいけない部分のことを指します。主に口、胸、性器、おしりの4つ、つまり水着で隠れるところです。

なぜならその人の命に直接関わる場所になるからです。

 

バウンダリーとは「心の境界線」と言われ、自分と他人との間に設ける心理的な境界で、自分がどこまで受け入れられるか、どこからが許せないかといった範囲を示します。

例えばプライベートゾーン以外の部分で他の人に触れられたくないパーツがあるといったものを指します。

 

以下のサイトからもプライベートゾーンやバウンダリーの話を見ることができます。

 

●「プライベートパーツって?幼児期から伝えておきたい正しい性教育とは」子育て豆知識|子育てDAYS ママ達の子育て体験談マンガ (kosodatedays.com)

人権 | SEXOLOGY

●自分と他者を区別する境界線「バウンダリー」とは?ソーシャルワーカー鴻巣麻里香さんによる解説 | ここ (co-coco.jp)

 

ちなみにこれらは3歳ごろから繰り返し伝えることが大切です。

 

おまけ2 NO!GO!TELL!の話

 

相手から嫌なことを言われたり、やられたりするときってありますよね。

そんな時には以下の3つの姿勢を大切にするように伝えていきましょう。

 

「No(イヤという)」「Go(その場を離れる)」「Tell(誰かに話す)」

 

実際にこれを小さい子が実践できるかと言われると大分難しい問題です。

しかし普段の生活の中やおまけ1のことで嫌な気持ちになった時に、活用する大事な機会になります。

 

自分の体は自分だけのものだからこそ大切に扱わないといけない。

勝手に体を触ろうとしてきた人にがいたら「やだ!」と言い逃げて、保護者や周りの大人につたえることを繰り返し伝えていきましょう。

周りには守ってくれる大人がいるという安心感が自己肯定感をあげていきます。

 

 

以上のことが同意の話になります。

いざ実践してみるとなかなか難しいものでもあります。ですが「~してもいい?」と声をかけることが子どもの今後の成長につながる第一歩にもつながります!

 

看護師 根上心