食べ物を食べたら、様子がおかしい!食物アレルギーってどんな病気なの? 2025-3-21
最近は食物アレルギーという言葉をあちこちで聞く機会が多くなりましたね。
保育園でも食物アレルギーを抱えている子どもがいるため、サンライズキッズ保育園では完全除去食にしたり、食器の色を変えたりアレルゲンを口にしないよう工夫をしています。
食物アレルギーは一歩間違えてしまうと、命に関わることにつながってしまいます。
そこで今回は食物アレルギーについて改めて伝えていきたいと思います。
年齢別アレルギーの種類

参考:食物アレルギー診療ガイドライン2021
鶏卵、牛乳、小麦は多くの場合、年齢が上がるにつれて寛解しやすいのですが、アナフィラキシーショックを起こしやすいです。
食物アレルギーの症状
1 皮膚症状
赤み、じんましん、腫れ、かゆみ、しゃく熱感、湿疹
2 粘膜症状
白目の充血・腫れ、かゆみ、涙、まぶたの腫れ
鼻水、鼻づまり、くしゃみ
唇や舌の腫れ、口の中の刺激感や違和感
3 呼吸器症状
喉の違和感・かゆみ・締め付けられる感じ、声がかすれる、飲み込みにくい 、
咳、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」、胸が締め付けられる感じ、息苦しい、唇や爪が青白い(チアノーゼ)
4 消化器症状
気持ちが悪くなる、嘔吐、腹痛、下痢、血便
5 神経症状
頭痛、元気がない、ぐったり、不機嫌、意識もうろう、尿や便を漏らす
6 循環器症状
血圧低下、脈が速い、脈が触れにくい、脈が不規則、手足が冷たい、
顔色・唇や爪が白い
食物アレルギーと気づくためのポイント
食物を食べた後にじんましんなどの皮膚症状や呼吸器症状、消化器症状などが出てしまった場合、以下の項目を記録しておくと、受診の時に役に立ちます。
・何を食べたか。
・どれだけ食べたか。
・食べてから発症までの時間は?
・症状の持続時間は?
・症状の特徴
・同じような症状がまた起こっていないか
・下痢などの症状は起こっていないか
食物アレルギーの症状は皮膚症状が多いですがそれだけでなく、呼吸器症状、下痢などの消化器症状などが同時に現れることがあります。アナフィラキシーの症状が出てきている際は早急に救急車を呼びましょう。

参考:日本小児アレルギー学会
【離乳食を始めるためのコツ】
1 離乳食の開始時期は5〜6カ月頃から
食物アレルギーがあっても離乳食の開始を遅らせる必要はありません。
通常通り生後5〜6カ月頃から始めます。ただし皮膚に湿疹などの症状が出ている場合は、医師の指示のもとで治療して皮膚をきれいな状態にしてから離乳食を始めます。皮膚をきれいにしてから始めないと、食べた食物が影響して症状が出たかどうかの判断がつきにくくなります。
2 初めて食べるものは少量から
初めての食べ物を与えるときは、赤ちゃんの体調がよいときに新鮮な食材をよく加熱して、最初は少量を与えて様子をみます。万が一、症状が出た場合にすぐ受診できるように、かかりつけ医の診療している曜日の日中に与えるとよいでしょう。
3 月齢に合ったひと通りの食材を
医師から除去するよう指示された食材は避ける必要がありますが、それ以外のものは、「授乳・離乳の支援ガイド」に沿って、様子をみながら与えていきます。
米やさつまいも、大根、にんじん、かぼちゃなどは、食物アレルギーの原因にはなりにくいため、離乳食を始める頃に利用しやすい食材です。
4 ベビーフードも活用して
ベビーフードは、アレルギーの原因となる食物が含まれていないものであれば利用できます。食物アレルギーに配慮したベビーフードも市販されています。
おまけ
アトピー性皮膚炎がある赤ちゃんで鶏卵のアレルギーがない場合について
離乳期に鶏卵を与える時期が遅くなるほど、鶏卵アレルギーを発症するリスクが高くなる傾向があることが研究でわかってきました。
日本小児アレルギー学会では、鶏卵アレルギーの発症を防ぐには、鶏卵は生後6か月頃からよく加熱したものを少しずつ与えたほうがよいと提言しています。ただし、医師の管理のもとで慎重に進めましょう。
乳児期のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーにくわしい医師のいる医療機関で診断を受け、鶏卵アレルギーの疑いがないことを確認し、皮膚の状態を良くした上で、医師の指導に従って鶏卵を与えるようにしましょう。
【日常生活で気を付けること】
家の中で気をつけること
1 加工食品の表示の確認
原因食物が含まれるお菓子などの加工食品を誤食(誤って食べること)しないよう、必ず食べる前に食品の原材料表示を確認する習慣をつけます。
2 料理や食品の管理
原因食物が含まれる料理や食品を、食物アレルギーをもつ本人の手の届かないところに置く、残ったものを放置しないなど、家族みんなで気を配ることも大事です。
3 調理や盛りつけ、食器の注意
家族全員の食事を作る場合は、先に食物アレルギーに対応した料理を作り、本人専用の器に入れてふたやラップをしておくと、家族の料理との混同を防げます。
食器類は、食物アレルギーの症状が重症でなければ、必ずしも本人用と他の家族用とを分けなくてもかまいませんが、本人専用の食器があるほうが、まちがって盛りつけたり食べたりする危険を減らせます。重症の場合は、箸やスプーンを含めて本人専用の食器を用意し、他の家族用と混同しないようにしておくと安心です。
4 台所や室内の清掃
使用した調理器具や食器は、丁寧に洗って片づける習慣をつけましょう。ふきん、調理台、コンロ、シンクの中なども食べかすの付着がないように清掃して、原因食物の混入を防ぎます。
原因食物の付着したごみ、空き容器(たとえば卵や牛乳の空きパック、クッキーの袋など)なども、本人の手に触れない場所に保管し、廃棄します。
また、食卓や床に落ちた食品に含まれるアレルゲンが皮膚や鼻などから体内に入り込んで症状が出ることもあるので、室内全体の清掃もまめに行いましょう。
家の外で気をつけること
1 家族以外の人への協力依頼
友だちや親せきの家などで誤食をしないよう、食物アレルギーであることを伝えて理解を求めます。食べてはいけない食物(加工食品も含めて)は、紙に書いて渡したり、食べられるものを持参するとよいでしょう。
2 外食料理などの注意
外食料理、店頭での対面販売の総菜や弁当やパン、菓子などの包装されていない食品は、アレルギー物質に関する表示義務がありません。使用材料が表示されていたとしても、お店の人にアレルゲンが含まれていないか確認しましょう。
保育園に登園する際のお願い
朝のお忙しい時間帯で、子どもの朝ごはんを食べさせる時間がなく、車の中で食べさせて登園をすることや、口の中に食べ物が残ったまま登園する姿を見受けられることがあります。登園をした際に、アレルゲンとなる食べ物が付着していたり、園についてから床などに落ちてしまうこともあります。
もしそれがアレルギー児が誤って触れてしまった、もしくは口に入ってしまうと、最悪の場合アナフィラキシーショックを起こして命に関わる危険性があります。
そのような事故をなくすためにも、家庭で朝ごはんを食べてくる、もし車の中で食べている場合は、必ず子どもの口の中や服に食べ物がついていないか、水を飲ませてから登園するようお願いいたします。
看護師 根上 心