現在流行中【RS】 2022-7-21
一昔前までは冬の感染症の代表的疾患でしたが、それが秋、そして夏へと、どんどん流行の時期が早くなっていることに毎年驚かされます。
2022年の7月現在、既に流行していて当園でも罹患している園児がいます。
ニュースや育児書などでもメジャーな疾患ですが、私は臨床で働いていた時に重症のRS感染症の患児を看てきました。
どうか早く発見・診断がされ、適切な治療が受けられるよう今回はお話したいと思います。
『RS感染症とは?』
RSウイルスの感染による呼吸器感染症で、冬場に流行すると言われています。しかし、近年では春や夏にも流行することが問題になっています。
1歳頃までに半数の子どもが、2歳までにはほぼ全員が感染すると言われていますが、一生涯免疫ではないため、毎年のように罹患する人もいます。そして、感染力は強い為、保育園や幼稚園などの施設内感染には注意が必要です。
『感染経路』
・RSに罹患した子どもの咳やくしゃみによる飛沫感染
・鼻水やよだれが付いた玩具や家具などの環境面からの接触感染
『症状は?』
幼児期後半の場合は、発熱・咳・鼻水が数日でおさまります。
乳児や幼児期前半の場合は、鼻水や痰が絡んだような咳で始まり、徐々にゼイゼイした音が聞こえる喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難が見られることがあります。
呼吸困難とは、肋骨付近が呼吸のたびに凹む陥没呼吸や鼻の小鼻をピクピクさせた鼻翼(びよく)呼吸や肩を上下にさせながら呼吸する肩呼吸などで、唇の色や顔色が紫色になって、安静にしていても眠れず機嫌が悪い状況です。
呼吸困難が見られるような状況は緊急性が高いので、かかりつけ医が診療時間外でも時間外救急外来などを受診することをお勧めします。
特に、早産時や心臓や肺に基礎疾患のある場合は重症化するリスクが高いので更に注意が必要です。※予防注射あり
※RS予防注射=シナジス 接種対象児:心疾患、呼吸器疾患、免疫不全、ダウン症候群、早産時などで抵抗力が弱く医師がシナジス注射を勧めた基礎疾患のある児
『治療は?』
予防注射(対象患児限定)はあっても特効薬はありません。
症状を和らげる対症療法として内服薬や鼻水吸引を行います。
高熱が長いこと続くことはありませんが、高熱時は過去のコラムの発熱時の対処法をご参考にして頂けると思います。
症状が悪化し、飲食も出来ず、眠れず、呼吸困難が見られると入院対象になります。
入院すると、身体に十分に取り込めない酸素を投与したり、水分補給目的の点滴を行ったり、内服・吸入治療をすることになります。
よくある風邪?としか思えない症状ですが、ニュースや保育園などでRSが流行していることを聞かれたら要注意です。
子どもは治ることも早いですが、悪化するのもとても早いです。症状の変化に注意してかかりつけ医にご相談ください。
サンライズキッズ保育園では、登園時の子どもの表情や行動にも注意して、いつもと違う様子があれば注意深く経過観察します。異常を発見した場合は速やかに保育者で情報共有し対処します。お預かりが難しい状況であれば、保護者様にご連絡させて頂き早めの受診などを提案させて頂きます。
園での流行疾患も速やかに情報提供し、感染拡大しないようご協力をお願いしています。
厳密な登校登園停止措置はありませんが、当園では医師の診断のもと、登園届の提出をお願いしています。
サンライズキッズ保育園 看護師 浅井恵理子