大人も要注意!各地で流行する「手足口病」から家族を守るには 2026-8-6

2026年の夏は、全国的に手足口病の患者報告数が増加しており、大阪府や沖縄県など複数の地域で警報レベルを超える状況が確認されています。手足口病は毎年夏を中心に流行する感染症ですが、今年は例年以上に、家庭や保育施設での感染拡大に注意が必要です。
手足口病というと、「小さな子どもがかかる夏風邪」というイメージを持つ方が多いかもしれません。実際に患者の中心は乳幼児で、特に2歳以下の子どもが多い感染症です。しかし、子どもだけの病気ではなく、大人が感染して発症するケースもあります。
特に注意したいのが、感染した子どもの看病やおむつ交換などを通じた家庭内感染です。大人は発症する割合こそ高くありませんが、発症すると手足の発疹や水疱に強い痛みを感じたり、口の中や喉の痛みによって食事や水分補給が難しくなったりすることがあります。足の裏に発疹ができると、歩くことさえつらくなり、家事や仕事に支障を来す場合もあります。
一方、発疹や軽い喉の痛みだけで、発熱を伴わないケースもあります。症状の現れ方には個人差があるため、熱がないからといって手足口病ではないとは限りません。
手足口病はどのように感染する?
手足口病の主な感染経路は、咳やくしゃみなどを介して広がる「飛沫感染」、ウイルスが付着した手や物を触ることによる「接触感染」、便に含まれるウイルスが口に入る「糞口感染」です。また、水疱の内容物に触れることでも感染する可能性があります。
特に厄介なのが、発熱や発疹などの症状が治まった後も、便の中には2~4週間ほどウイルスが排出されることがある点です。見た目には元気になっていても、トイレやおむつ交換を通じて家族に感染を広げる可能性が残っています。
そのため、子どもの症状が改善した後も、しばらくは手洗いや排泄物の処理を丁寧に続けることが大切です。
特効薬やワクチンはある?
現在、手足口病を予防するワクチンや、原因となるウイルスを直接排除する特効薬はありません。治療は、発熱や痛みなどを和らげる対症療法が中心となります。抗菌薬は細菌に対する薬であるため、ウイルス感染症である手足口病そのものには効果がありません。
口の中や喉に痛みがある場合は、熱いもの、辛いもの、酸味の強いものなどは避け、プリン、ゼリー、豆腐、冷ましたスープなど、柔らかく刺激の少ない食事を選びましょう。
食事が十分に取れないときでも、脱水症状を防ぐために水分補給は欠かせません。一度にたくさん飲むのではなく、水や麦茶、経口補水液などを少しずつ、こまめに取ることがポイントです。痛み止めや解熱剤を使用するときは、自己判断を避け、医師や薬剤師に相談しましょう。
症状はどのくらい続く?
手足口病は、感染してから3~5日ほどの潜伏期間を経て、口の中や手のひら、足の裏、足の甲などに水疱性の発疹が現れます。多くの場合、症状は3~7日ほどで軽くなりますが、口の中の痛みや皮膚の違和感が長引くこともあります。
また、原因となるウイルスの種類によっては、回復してから数週間後に手足の爪が浮いたり、はがれたりする「爪甲脱落症」が起こることがあります。突然爪がはがれると驚きますが、手足口病の後に見られる経過の一つとして報告されています。
家庭内感染を防ぐ4つのポイント
1.石けんと流水による手洗いを徹底する
帰宅後や食事前だけでなく、トイレの後、おむつ交換の後、排泄物を処理した後、調理の前後には、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。特に指の間、親指、爪の周辺、手首は洗い残しやすいため注意が必要です。
2.タオルや食器を共有しない
感染者と同じタオルを使ったり、飲み物を回し飲みしたりすることは避けましょう。コップ、箸、スプーンなどもできるだけ分け、洗浄するまではほかの家族が触れないようにします。
3.よく触れる場所を清潔に保つ
ドアノブ、手すり、照明のスイッチ、おもちゃ、リモコン、テーブル、トイレ周辺などは、家族全員が触れやすい場所です。汚れを取り除いたうえで、使用する洗剤や消毒用品の表示に従って、こまめに清掃しましょう。
4.回復後もしばらく対策を続ける
発疹が消えて元気になっても、便からは数週間にわたってウイルスが排出されることがあります。「治ったからもう大丈夫」と油断せず、排便後やおむつ交換後の手洗いを継続することが重要です。
こんな症状があるときは早めに受診を
手足口病は自然に回復することが多い病気ですが、まれに髄膜炎や脳炎などの重い合併症を伴うことがあります。
高熱が続く、頭痛や嘔吐がある、呼びかけへの反応が鈍い、ぐったりしている、水分を取れない、尿の回数が極端に少ないといった症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。
妊娠中の方については、手足口病と胎児異常との明確な因果関係は確認されていません。ただし、妊娠中は使用できる薬にも注意が必要です。感染した可能性がある場合や症状が現れた場合は、自己判断せず、かかりつけの産婦人科へ相談しましょう。
「子どもの病気」と思い込まず、家族全員で対策を
手足口病は、多くの場合は軽症で回復する感染症です。しかし、感染力があり、症状が治まった後もウイルスの排出が続くため、家庭内で広がりやすいという特徴があります。
子どもの看病をする大人自身も、手洗いやタオルの使い分けを意識し、できるだけ休息を取って体調を整えることが大切です。家族の誰かが感染したときは、症状がある期間だけでなく、回復後もしばらく感染対策を続け、家族全員で感染拡大を防ぎましょう。