保育士試験
過去問題
令和4年度(後期)
社会的養護 令和4年度(後期)
問1
次のうち、「新しい社会的養育ビジョン」(平成 29 年 新たな社会的養育の在り方に関する検討会)における社会的養護の考え方に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 社会的養護とは、「サービスの開始と終了に行政機関が関与し、子どもに確実に支援を届けるサービス形態」と定義づけられている。
- B 社会的養護には、在宅指導措置(児童福祉法第 27 条第1項第2号)が含まれる。
- C 新たな社会的養育という考え方では、そのすべての局面において、子ども・家族の参加と支援者との協働を原則とする。
- D 保護者と分離した子どもの代替養育は、長期間にわたって養育することを原則とする。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | 〇 | 〇 |
正解は1
問2
次の文は、「里親及びファミリーホーム養育指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- ・ 子どもを( A )として尊重する。子どもが自分の気持ちや意見を素直に表明することを保障するなど、常に子どもの( B )に配慮した養育・支援を行う。
(中略) - ・ 子どもに対しては、( A )であることや守られる権利について、( C )などを活用し、子どもに応じて、正しく理解できるよう随時わかりやすく説明する。
【語群】
- ア 権利の主体
- イ 権利の客体
- ウ 最低限の生活保障
- エ 最善の利益
- オ 権利ノート
- カ 第三者評価
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ア | ウ | オ |
2 | ア | エ | オ |
3 | ア | エ | カ |
4 | イ | ウ | オ |
5 | イ | エ | カ |
正解は2
A:ア 権利の主体
B:エ 最善の利益
C:オ 権利ノート
B:エ 最善の利益
C:オ 権利ノート
問3
次のうち、「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成 30 年2月1日現在)」(厚生労働省)における母子生活支援施設入所世帯(母親)の状況に関する記述として、適切なものを一つ選びなさい。
1 | 入所理由は「経済的理由による」が最も多い。 |
2 | 在所期間は「10 年以上」が最も多い。 |
3 | 母子世帯になった理由は、「未婚の母」が最も多い。 |
4 | 平均所得金額(不明を除く)はおおよそ「166 万円」である。 |
5 | 母の従業上の地位は、「常用勤労者」が最も多い。 |
正解は4
1 不適切です。
「配偶者からの暴力」(50.7%)が最も多いです。
2 不適切です。
「5年未満」(87.1%)が最も多いです。
3 不適切です。
「離婚」(56.9%)が最も多いです。
4 適切です。
5 不適切です。
「臨時・日雇い・パート」(46.0%)が最も多いです。
「配偶者からの暴力」(50.7%)が最も多いです。
2 不適切です。
「5年未満」(87.1%)が最も多いです。
3 不適切です。
「離婚」(56.9%)が最も多いです。
4 適切です。
5 不適切です。
「臨時・日雇い・パート」(46.0%)が最も多いです。
問4
次のうち、家庭支援専門相談員の配置が義務づけられていない児童福祉施設を一つ選びなさい。
1 | 児童養護施設 |
2 | 児童自立支援施設 |
3 | 乳児院 |
4 | 母子生活支援施設 |
5 | 児童心理治療施設 |
正解は4
4 母子生活支援施設には家庭支援専門相談員の配置は義務づけられていません。
母子生活支援施設には母子支援員、少年を指導する職員、嘱託医、調理員又はこれに代わるべき者を置かなければならないとされています。
母子生活支援施設には母子支援員、少年を指導する職員、嘱託医、調理員又はこれに代わるべき者を置かなければならないとされています。
問5
次のうち、児童相談所の一時保護に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 児童養護施設や里親に委託一時保護することができる。
- B 一時保護所における一時保護期間は、上限が2週間と定められている。
- C 一時保護所には、近隣の小学校及び中学校の分教室が設置されている。
- D 児童の保護者の同意なしに一時保護することはできない。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | × | × |
2 | 〇 | × | × | × |
3 | × | 〇 | × | 〇 |
4 | × | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | 〇 | × |
正解は2
A 適切です。
B 不適切です。
2週間ではなく、2か月間です。
C 不適切です。
そのような規定はありません。
D 不適切です。
子どもをそのまま放置することが子どもの福祉を害すると認められる場合には児童の保護者の同意を得ずに保護することができます。
(「児童相談所運営指針」第5章「一時保護」参照)
B 不適切です。
2週間ではなく、2か月間です。
C 不適切です。
そのような規定はありません。
D 不適切です。
子どもをそのまま放置することが子どもの福祉を害すると認められる場合には児童の保護者の同意を得ずに保護することができます。
(「児童相談所運営指針」第5章「一時保護」参照)
問6
次のうち、児童養護施設における自立支援計画の策定に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 被虐待児の入所の増加に伴い、虐待を理由に入所している児童に限定し策定の対象とする。
- B 児童の問題行動や短所の指摘を目的に策定する。
- C 児童は未成年のため、保護者の意向を優先して策定する。
- D 児童相談所など関係機関と連携を図りながら定期的に再評価を行う。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | × | × |
2 | 〇 | × | 〇 | × |
3 | 〇 | × | × | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | × |
5 | × | × | × | 〇 |
正解は5
A 不適切です。
入所児童全員に自立支援計画を策定します。
B 不適切です。
自立支援の為に策定されます。
C 不適切です。
保護者の意向優先ではなく、子どもの意向も取り入れられます。
D 適切です。
入所児童全員に自立支援計画を策定します。
B 不適切です。
自立支援の為に策定されます。
C 不適切です。
保護者の意向優先ではなく、子どもの意向も取り入れられます。
D 適切です。
問7
次のうち、「児童養護施設運営指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)に基づく心理的ケアに関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 心理的ケアが必要な子どもは、自立支援計画に基づき、その解決に向けた心理支援プログラムを策定する。
- B 心理的ケアを行うことが養育のいとなみの主眼であり、保育士がこれを単独で行うことで子どもとの関係形成を深める。
- C 心理的ケアが必要な子どもの担当職員は、児童相談所が主催する研修を受けなければならない。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | × |
4 | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × |
正解は3
A 適切です。
B 不適切です。
「施設における他の専門職種との多職種連携を強化するなどにより、心理的支援に施設全体で有効に取り組む。」とあります。
C 不適切です。
正しくは「施設内で研修を実施する」です。
B 不適切です。
「施設における他の専門職種との多職種連携を強化するなどにより、心理的支援に施設全体で有効に取り組む。」とあります。
C 不適切です。
正しくは「施設内で研修を実施する」です。
問8
次のうち、児童養護施設における子どもの養育・支援の記録に関する記述として、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
- A 記録は、職員の主観的な視点を中心に記録する。
- B 措置解除後の記録を残す必要はなく、入所から退所までの期間を記すこととなっている。
- C 養育・支援の実施状況を、家族及び関係機関とのやりとり等を含めて適切に記録する。
- D 異動や退職等による担当職員の交替時に、養育を引き継いでいくための資料となる。
1 | A B |
2 | A C |
3 | A D |
4 | B D |
5 | C D |
正解は5
A 不適切です。
職員の主観的な視点中心ではなく、他の職員とも情報共有し、客観的な視点の記録も必要です。
B 不適切です。
退所まででなく、退所してからのアフターケアなども記録します。
C 適切です。
D 適切です。
職員の主観的な視点中心ではなく、他の職員とも情報共有し、客観的な視点の記録も必要です。
B 不適切です。
退所まででなく、退所してからのアフターケアなども記録します。
C 適切です。
D 適切です。
問9
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Xちゃん(3歳、女児)は、父からの母に対する身体的暴力を理由に、母と共に母子生活支援施設に入所することとなった。暴力被害の可能性が引き続きあることから、父には施設に入所していることや居住場所を伝えていない。母は離婚の意向を示している。また、母は緊急で逃げ出してきたため、経済的に困窮している。さらに暴力の影響により働ける状況にはなく、うつ病と診断され、心療内科に通っている。
【設問】
次のうち、適切なものを一つ選びなさい。
1 | 母が働いていないため、保育所の利用はできず、Xちゃんは母子生活支援施設内で保育を受ける必要がある。 |
2 | 母子生活支援施設入所中は生活保護費の受給ができないため、母子生活支援施設がXちゃん母子の生活に必要な費用を支出する。 |
3 | 暴力の被害にあう可能性があるため、裁判所から父に対して接近禁止命令などの保護命令を出してもらうように職員に協力してもらい手続きをすることができる。 |
4 | Xちゃんにとって実の両親と暮らすことは最善の利益になることから、母子生活支援施設の職員は父母の関係改善を支援方針とする必要がある。 |
5 | 母子生活支援施設の入所期間は法律で2年以内と定められていることから、2年間で母子で自立した生活ができるように施設は支援する必要がある。 |
正解は3
1 不適切です。
利用可能です。
2 不適切です。
生活保護は受給できます。
3 適切です。
4 不適切です。
父親の暴力の可能性があり、最善の利益とは言えません。
5 不適切です。そのような規定はありません。
利用可能です。
2 不適切です。
生活保護は受給できます。
3 適切です。
4 不適切です。
父親の暴力の可能性があり、最善の利益とは言えません。
5 不適切です。そのような規定はありません。
問10
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Yくん(4歳、男児)は、食事が与えられないなどのネグレクトを理由に児童養護施設に入所して半年になる。両親共に養育拒否の意向を示し、また他に養育できる親族等がいないため、児童相談所は児童養護施設に入所後に措置変更し、養育里親に委託をするとの方針を立てた。里親委託に対して、両親は同意している。その後、委託候補の夫婦が決まり、夫婦とYくんの交流が始まった。Yくんには施設の担当職員が里親について事前に丁寧に説明をした後、週末に園内で顔合わせをして、公園に出かけるという交流を行った。交流後にYくんは、「とても楽しかった」「おばちゃんのお家に遊びに行ってみたい」と前向きな反応を示した一方、「お母さんに会いたい」と実親を思い出し泣き出す場面が見られた。
【設問】
次のうち、「里親委託ガイドライン」(平成 30 年3月 厚生労働省)に照らした際、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 両親共に養育拒否の意向を示しているが、子どもは実親の元で暮らすことが最優先されるため、里親委託を方針としたのは不適切である。
- B 里親候補であることを伝えることは、委託がうまくいかなかった場合にダメージとなる可能性があるため、Yくんには里親委託が検討されていることは伏せて交流すべきである。
- C 「お母さんに会いたい」というYくんの意向を尊重し、方針を変更し、実親との家族再統合に切り替える。
- D 担当保育士はYくんの気持ちに寄り添いつつ、里親との交流を継続した。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | × |
5 | × | × | × | 〇 |
正解は5
A 不適切です。
「長期的に実親の養育が望めない場合は、子どもにとって安定し継続した家庭的な養育環境を提供することが必要である。」とされており、両親ともに養育拒否しているので、実親と暮らすことを最優先されるべきではありません。
B 不適切です。
「子どもに対し、面会についての事前説明や、里親や里親家庭についての紹介をした上で、里親との面会がうまく進むよう支援する。」とされており、里親委託について伏せるべきではありません。
C 不適切です。
「子どもの気持ちを大切にしながら、子どもが安心できるよう支援し、里親と委託する児童との適合を調整することが重要であり、丁寧に準備を進めることが大切である。」とあり、方針を変更するのではなく、ゆっくりと準備を進めることが大切です。
D 適切です。
「里親委託ガイドライン」(平成 30 年3月 厚生労働省)参照
「長期的に実親の養育が望めない場合は、子どもにとって安定し継続した家庭的な養育環境を提供することが必要である。」とされており、両親ともに養育拒否しているので、実親と暮らすことを最優先されるべきではありません。
B 不適切です。
「子どもに対し、面会についての事前説明や、里親や里親家庭についての紹介をした上で、里親との面会がうまく進むよう支援する。」とされており、里親委託について伏せるべきではありません。
C 不適切です。
「子どもの気持ちを大切にしながら、子どもが安心できるよう支援し、里親と委託する児童との適合を調整することが重要であり、丁寧に準備を進めることが大切である。」とあり、方針を変更するのではなく、ゆっくりと準備を進めることが大切です。
D 適切です。
「里親委託ガイドライン」(平成 30 年3月 厚生労働省)参照
B:適切です。
C:適切です。
D:不適切です。
社会的養護は、永続的解決を目標としてるので、一時的な解決措置の代替養育を長期間行うことは不適切と言えます。