保育士試験
過去問題
令和2年度(後期)
社会的養護 令和2年度(後期)
次の文のうち、「児童福祉法」第3条の2の一部として、(a)~(c)の下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、(a)児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が(b)できる限り良好な家庭的環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童が(c)家庭における養育環境と同様の養育環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | × | ◯ |
3 | ◯ | × | × |
4 | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × |
次の文は、「児童福祉法」第 25 条の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句および数値の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する( A )若しくは児童相談所又は( B )を介して市町村、都道府県の設置する( A )若しくは児童相談所に通告しなければならない。ただし、罪を犯した満( C )歳以上の児童については、この限りでない。この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 児童家庭支援センター | 児童委員 | 16 |
2 | 福祉事務所 | 児童委員 | 14 |
3 | 児童家庭支援センター | 児童虐待対応協力員 | 16 |
4 | 福祉事務所 | 児童虐待対応協力員 | 16 |
5 | 福祉事務所 | 児童虐待対応協力員 | 14 |
A 「福祉事務所」
B 「児童委員」
C 「14」
が入ります。
次の文は、里親制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 「社会的養育の推進に向けて」(平成 31 年1月 厚生労働省)によると、平成 30 年3月末の里親及び小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)への社会的養護を利用する児童全体に占める委託率は約4割である。
- B 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)は、「社会福祉法」に定める第一種社会福祉事業である。
- C 都道府県知事は、児童を里親に委託する措置をとった場合には、児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事のうち一人を指定して、里親の家庭を訪問して、必要な指導をさせなければならない。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ◯ | × | ◯ |
2 | ◯ | × | × |
3 | × | ◯ | ◯ |
4 | × | ◯ | × |
5 | × | × | ◯ |
B 不適切です。 「第二種社会福祉事業」です。
C 適切です。
次の文は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)に定められた児童福祉施設の一般原則の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- ・ 児童福祉施設は、入所している者の人権に十分配慮するとともに、一人一人の( A )を尊重して、その運営を行わなければならない。
- ・ 児童福祉施設は、( B )との交流及び連携を図り、児童の保護者及び( B )に対し、当該児童福祉施設の運営の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
- ・ 児童福祉施設は、その運営の内容について、自ら評価を行い、その結果を( C )するよう努めなければならない。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 個性 | 地域社会 | 活用 |
2 | 個性 | 地域社会 | 公表 |
3 | 個性 | 関係機関 | 活用 |
4 | 人格 | 関係機関 | 活用 |
5 | 人格 | 地域社会 | 公表 |
B 「地域社会」
C 「公表」
が入ります。
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)第5条参照
次の文は、乳児院に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 乳児院は、保育所等訪問支援事業の訪問対象の施設である。
- B 乳児院の長は、施設の所在する地域の住民につき、児童の養育に関する相談に応じ、及び助言を行うよう努めなければならない。
- C 乳児院は、「児童福祉法」に定める「乳児」のみを対象とした施設である。
- D 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成 30 年2月1日現在)」(令和2年1月 厚生労働省)によると、被虐待経験のある乳児院入所児が受けた虐待の種類は、「ネグレクト」が最も多い。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | × |
4 | × | ◯ | × | ◯ |
5 | × | × | ◯ | × |
B 適切 です。
C 不適切です。 「乳児のみ」ではなく、必要に応じて「幼児」も含まれます。
D 適切です。
次の文のうち、「社会的養育の推進に向けて」(平成 31 年1月 厚生労働省)に関する記述として、適切な記述を一つ選びなさい。
1 | 社会的養護の対象となっている児童は、約1万5千人である。 |
2 | 児童養護施設は、約 600 か所ある。 |
3 | 委託里親数は、1万世帯を超える。 |
4 | 自立援助ホームは、約 400 か所ある。 |
5 | 地域小規模児童養護施設は、約 100 か所ある。 |
2 適切です。
3 不適切です。 「1万世帯」ではなく、「約4200世帯」です。
4 不適切です。「約400か所」ではなく、「約150か所」です。
5 不適切です。 「約100か所」ではなく、「約390か所」です。
次の文は、「児童養護施設運営指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
社会的養護のもとで養育される子どもにとって、その子にまつわる( A )は、その多くが重く、困難を伴うものである。しかし、子どもが未来に向かって歩んでいくためには、自身の( B )を受け入れ、自己の( C )を形成することが極めて重要な課題である。
【語群】
- ア 現在
- イ 過去
- ウ 家族
- エ 物語
- オ 人間関係
- カ 事実
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | オ | ア | エ |
2 | オ | イ | ウ |
3 | カ | ア | ウ |
4 | カ | ア | エ |
5 | カ | イ | エ |
B 「過去」
C 「物語」
が入ります。
「児童養護施設運営指針」の「第1部総論5.養育のあり方の基本(2)養育のいとなみ」参照
次の文は、「児童養護施設運営指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)の「社会的養護の原理」の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
社会的養護を必要とする子どもには、その子どもに応じた成長や発達を支える支援だけでなく、虐待体験や( A )体験などによる悪影響からの癒しや( B )をめざした専門的ケアや( C )などの治療的な支援も必要となる
【語群】
- ア 分離
- イ 貧困
- ウ 克服
- エ 回復
- オ 医療的ケア
- カ 心理的ケア
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ア | ウ | オ |
2 | ア | ウ | カ |
3 | ア | エ | カ |
4 | イ | ウ | カ |
5 | イ | エ | オ |
B 「回復」
C 「心理的ケア」
が入ります。
「児童養護施設運営指針」の「第1部総論2.社会的養護の基本理念と原理(2)社会的養護の原理③回復をめざした支援」参照
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
児童養護施設に勤務するJ保育士(25 歳、男性)は、実父からの激しい身体的虐待が原因で入所したK君(17 歳、男児)を担当している。ある日、職員不在の場面でK君が同じ施設に入所している同室のL君(16 歳、男児)の携帯電話を無理矢理に取り上げ、使い始めた。取り返そうとしたL君に対して押し倒し、3回蹴飛ばした。L君は悲痛な表情でJ保育士に事情を伝えに来た。すぐにJ保育士はK君とK君の自室で2人で話をすることにした。J保育士の注意に対してK君は悪びれる様子もなく、「あいつ、うざいんだよ。職員に言いつけやがって。今度殺してやる。」と話した。日頃から他児に対して暴力を振るうことが多かったK君に対してJ保育士は腹を立て、K君の胸ぐらをつかみ、「自分がしていることを分かっているのか。反省しろ。」と怒鳴った。その後、罰としてK君にその日の夕食を与えないこととした。
【設問】
J保育士のこの対応の説明として、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
- A 「民法」により親権者の懲戒権は認められており、時には子どもの行動を正すために、胸ぐらをつかみ、怒鳴ったり、食事を与えない程度であればしつけとして認められている。
- B K君の行動は実父からの虐待が要因として考えられるため、J保育士のこうした対応は暴力を肯定することにつながるとともに、フラッシュバックを生じさせる可能性がある。
- C K君の行動は実父からの虐待が要因として考えられるため、J保育士はK君の暴力を肯定するべきであった。
- D J保育士のこの対応は、被措置児童等虐待にあたる可能性があるため、K君を含めこの状況を発見した者は児童相談所等に通告することとされている。
(組み合わせ)
1 | A B |
2 | A C |
3 | A D |
4 | B D |
5 | C D |
B 適切です。
C不適切です。 K君の暴力そのものは、いかなる理由があっても肯定すべきではありません。
D 適切です。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
児童養護施設に入所する前に父親から身体的虐待を受けていたX君(10 歳、男児)は、今後、家庭復帰となる予定である。X君の父母は離婚し、親権は父親にある。父親はX君に家庭に戻ってきてほしいと強く思っており、X君もまた、父親と暮らすことを強く望んでいる。施設による支援の結果、父親の養育に対する姿勢が変化したため、児童相談所は家庭復帰を決めたが、虐待のリスクはいまだ残されており、今後地域における関係機関の連携のもと、この親子の支援を行っていかなければならないとされた。
【設問】
今後、この親子を地域で支えていく際に利用できる社会資源として、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
- A 要保護児童対策地域協議会
- B 自立支援計画策定等支援事業
- C 養育支援訪問事業
- D 児童自立生活援助事業
(組み合わせ)
1 | A B |
2 | A C |
3 | B C |
4 | B D |
5 | C D |
B 不適切です。 自立支援計画は、子どもの養育をどのように考えていくのか、児童相談所等が社会診断・心理診断・医学診断(状況に応じて)をもとに専門的な視点から作成するもので、措置が解除された後から利用できるものではありません。
C 適切です。
D不適切です。 義務教育を終了し、さまざまな理由によって家庭での生活ができない、児童養護施設等での支援も受けられない20歳までの子どもたちが対象です。
b 不適切です。 「できる限り良好な家庭的環境において」ではなく、「家庭における養育環境と同様の養育環境において」が適切です。
c 不適切です。 「家庭における養育環境と同様の養育環境において」ではなく、「できる限り良好な家庭的環境において」が適切です。