保育士試験
過去問題
令和1年度(前期)
保育の心理学 令和1年度(前期)
次の文は、人の発達に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 生涯の発達的変化に影響を及ぼす要因として、人生のなかで出会う重要な意味をもつ個人的出来事があげられる。
- B 発達に関して、子どもが活動を通して知識を構成していくという能動性を重視した構成主義として、ピアジェ(Piaget, J.)の発達理論があげられる。
- C 成長は身体面の形態・構造の量的変化をさすのに対して、発達は心理・人格面の質的変化をさすとされるが、その区別は厳密ではない。
- D 発達には個人差があり、それには2種類の個人差を理解する必要がある。一つは個人間差であり、もう一つは個人内差であり、一般に個人差というと後者をさすことが多い。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
4 | × | ◯ | × | ◯ |
5 | × | × | ◯ | ◯ |
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- A 生得的に内在する能力が、時期に応じて自然に展開し、発達すると考える。
- B 発達は漸次的に展開すると捉え、乳児期から老年期に至る8つの発達期それぞれに危機があると考える。
- C 発達を環境との相互作用として捉え、人を取り巻く環境を4つのシステムと考えた後に、時間の影響・時間経過をつけ加え、5つのシステムとした。
- D 受胎から死に至る過程の行動の一貫性と変化を捉え、生涯発達の一般的原理や発達の可塑性と限界を明らかにした。
【Ⅱ群】
- ア マッコール(McCall, R.B.)
- イ ゲゼル(Gesell, A.L.)
- ウ ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)
- エ エリクソン(Erikson, E.H.)
- オ バルテス(Baltes, P.B.)
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | オ | ウ |
2 | ア | ウ | エ | オ |
3 | イ | エ | ウ | ア |
4 | イ | エ | ウ | オ |
5 | エ | オ | ア | イ |
B:エ エリクソンの発達段階理論:ライフスタイル論ともいう。人生を8つの発達段階に区切り、それぞれに達成されるべき発達課題を提示しました。この課題には、心理社会的な危機を含み、この解決によって前進するという考え方です。
C:ウ ブロンフェンブレンナーの生態学的システム:人間を取り巻く環境を「入れ子式」にとらえ、マイクロシステム、メゾシステム、エクソシステム、マクロシステムの4つの水準を提唱しました。
D:オ バルテスの生涯発達論:発達は、全生涯を通して常に獲得(成長)と喪失(衰退)とが結びついて起こることを主張しました。
※ア マッコール:人間関係(社会性)の発達について、出産直後や比較的初期に決定づけられるものではなく、その後の長い時間の継続的なかかわりが大切だと主張しています。
次の文は、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」のイ「人間関係」の一部である。A~Eの文のうち、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
- B 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。
- C 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
- D 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりがあることや、その大切さに気付く。
- E 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
3 | 〇 | × | 〇 | × | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | × | 〇 | × |
B × 誤りです。「保育所保育指針」第2章「保育の内容」2「1歳以上3歳未満の保育に関わるねらい及び内容」イ「人間関係」(ア)ねらい参照。
C 〇 記述の通りです。
D × 誤りです。「保育所保育指針」第2章「保育の内容」2「1歳以上3歳未満の保育に関わるねらい及び内容」イ「人間関係」(イ)内容参照。
E 〇 記述の通りです。
保育所保育指針より抜粋
第2章 保育の内容
2 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容
イ 人間関係
(ア) ねらい
① 保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる。
② 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。
③ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く。
(イ) 内容
① 保育士等や周囲の子ども等との安定した関係の中で、共に過ごす心地よさを感じる。
② 保育士等の受容的・応答的な関わりの中で、欲求を適切に満たし、安定感をもって過ごす。
③ 身の回りに様々な人がいることに気付き、徐々に他の子どもと関わりをもって遊ぶ。
④ 保育士等の仲立ちにより、他の子どもとの関わり方を少しずつ身につける。
⑤ 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりがあることや、その大切さに気付く。
⑥ 生活や遊びの中で、年長児や保育士等の真似をしたり、ごっこ遊びを楽しんだりする。
次の文は、児童期から青年期の移行に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の適切な組み合わせを一つ選びなさい。
児童期から青年期に移行する第二次性徴が出現する時期は( A )とも呼ばれる。心理的には、一般に児童期の( B )傾向から、( C )傾向への準備が始まる。その基底に親からの( D )があり、精神的独立に向かって歩みだすが、その不安定さと葛藤は、しばしば反抗として現れる
【語群】
- ア 潜伏期
- イ 心理的離乳
- ウ 自己に基準をおく
- エ 仲間に基準をおく
- オ 経済的自立
- カ 思春期
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ウ | エ | イ |
2 | ア | エ | ウ | オ |
3 | カ | ウ | エ | イ |
4 | カ | ウ | エ | オ |
5 | カ | エ | ウ | イ |
Bーエ:仲間に基準をおく
Cーウ:自己に基準をおく
Dーイ:心理的離乳
児童期から青年期に移行する時期は、思春期とも呼ばれます。心理的には、児童期は仲間に基準をおく傾向があり、特に児童期の小学校中学校・高学年頃はギャング・エイジともいい、家族よりも仲間の価値観を優先させる時期です。しかし青年期に向かって、徐々に自己に基準をおくようになります。その基底には、親からの依存関係を減少させ次第に精神的に自立する心理的離乳のプロセスがあります。
次の文は、固定遊具での遊びに関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 固定遊具に複数の幼児が集まると、動きの速さや回数を競ったりして互いに刺激し合いながら遊ぶ姿が見られる。数の限られた遊具では、順番に並んだり、交代したりすることを経験することにもなり、体を動かして遊びながら、人との関わりを学ぶことができる。
- B 固定遊具のある園庭は、全園児が使用する共有スペースである。そのため、使い方や遊び方については、幼児と保育士が相互に話し合うことも必要である。
- C 固定遊具は他の遊具や用具と組み合わせて使ったり、ごっこ遊びなどのイメージを取り込むことで遊びを広げていくことができる。その一方で、黙々と逆上がりに取り組んでいる幼児もおり、固定遊具での遊びの楽しさは一人一人異なる。
- D 固定遊具の高い所で押し合うなど、保育士からは危ないように見えても、幼児は友達の様子や状況を考えながら行動している。そのため、声をかけずに見守ることが大切である。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
2 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
3 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
4 | × | ◯ | × | ◯ |
5 | × | × | ◯ | × |
B:〇 幼児にとって全園児(異年齢児も含めて)への気配りや対応は、かなり困難です。子どもを主体にしながらも保育士の援助は必要です。
C:〇 例えば、すべり台の下にシートを敷き、おままごとセットをおいてすべり台を家に見立てるなど、固定遊具はさまざまな遊具との組み合わせが可能であり、それは子どもたちの発想や工夫による使い方を重視するように心がける事が大切です。ただし、安全面への配慮は重要です。
D:× 固定遊具の高いところでの押し合いなどは、危険が高く、年長児であっても保育士が声をかけないのは不適切な対応です。
次の文は、仲間関係の機能に関する記述である。【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- A 他者の外的行為を認めるだけでなく、その背後にある気持ちや感情、意図や動機、思考などの内的特性について気付き、正しく推論し、理解する。
- B 他者のある行為を理解するために、その人の年齢、性別、職業などについての知識に基づいて推論する。
- C 集団生活を円滑に行うためにある様々な決まりの本来の意味を、仲間との相互交渉の中で、不当な圧力や利害の片寄りなどの経験を通して考えるようになる。
- D 自分の思考、感情、動機といった内的経験をそのまま行動に移すのではなく、客観的に捉え直し、自他を正当に比較し、他者の立場を推論しようとする。
【Ⅱ群】
- ア 社会的カテゴリーの理解
- イ 自己統制能力
- ウ 他者理解・共感
- エ 社会的規則の理解
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | ウ | エ |
2 | ア | エ | ウ | イ |
3 | イ | ア | エ | ウ |
4 | ウ | ア | イ | エ |
5 | ウ | ア | エ | イ |
B ア 年齢や差別、職業など社会における分類を社会的カテゴリーといいます。相手の行動を理解するために社会的なカテゴリーを知り、そこから推論していくことは他者と関わるうえで有効です。
C エ さまざまな経験の中から決まりの本来の意味を考えられるようになるのは、社会的規則の理解です。
D イ 自分の内的経験をそのまま行動に移さず、いったん客観的にとらえ直して友だちなどと比較し、友だちの立場も理解するのは自己統制力といいます。
次の文は、幼児のものの見方や考え方に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
メタ認知とは、目標達成のために現在の自己の状態を監視・調整する( A )や、それに伴う( B )なども含まれる。幼児期( C )から徐々に発達し、出来事を順序立てて話したり、園では当番活動ができたり、忘れ物をせずに帰り支度ができるなど、( D )に添った行動を可能にする。
【語群】
- ア プラン
- イ モニタリング
- ウ シェマ
- エ 感情体験
- オ プライミング
- カ 意識体験
- キ 後半
- ク 前半
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | イ | エ | キ | ア |
2 | イ | エ | ク | ア |
3 | イ | カ | ク | ウ |
4 | オ | エ | キ | ア |
5 | オ | カ | キ | ウ |
Bーエ:感情体験
Cーキ:後半
Dーア:プラン
メタ認知とは、「認知について知ること」であり、モニタリングや感情体験が伴います。メタ認知は幼児期後半から徐々に発達し、学齢期(6歳)以降で増加していくといわれています。
次の文は、アタッチメント(愛着)についての記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A アタッチメント(愛着)とは、自らが「安全であるという感覚」を確保しようとする個体の本性に基づいて、危機的状況あるいは潜在的な危機に備え、特定の対象への接近・接触を求め維持しようとする傾向と定義される。
- B 愛着の個人差を測定するために、エインズワース(Ainsworth, M.D.S.)が考案したのがサークル・オブ・セキュリティ(安全感の環)であった。
- C エインズワースによれば、養育者への子どものアタッチメント(愛着)は3つの型に分類される。A型は抵抗(アンビバレント)型、B型は安定型、C型は回避型であった。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × |
3 | ◯ | × | × |
4 | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | ◯ |
B:× エインズワースが考案したのは、ストレンジ・シチュエーション法で、個人差測定ではなく、愛着の質の評価です。
C:× 養育者への子どものアタッチメント(愛着)は4つ(安定型・回避型・抵抗型・無秩序型)あります。
次の文は、保育所での観察記録である。(a)~(d)の下線部分に関連する語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
園庭では、5歳児クラスの4~5名の子どもたちが、砂場で遊んでいる。子どもたちは、(a)砂山を作り、「どうやってトンネルを作る?」「ここ、押さえて。」など言い合いながら川を掘っている。 一方、2歳児クラスの子どもたちは、園庭での遊びが終わり、順次、手足を洗って保育室に入るところである。他児よりもだいぶ早く外遊びをきりあげた2歳児クラスのR君は、保育室内のままごとコーナーを占領して、(b)かごに入っているお手玉をお玉ですくいあげては、鍋に移すことを繰り返していた。 テラスからR君の姿に気づいた同じ2歳児クラスのS君は、手足を洗わずに、そのまま入室し、ままごとコーナーのR君の前に座って、(c)R君がしているように、かごに入ったお手玉をお玉ですくい鍋に移し始めた。保育士が「S君、遊ぶ前に手と足を洗ってきてね。」と促しS君の腕をとると、 S君は立ち上がり、手と足を洗いにテラスに出ていった。 しばらくままごとコーナーでR君は過ごしていたが、今度はお手玉をいくつか抱えて保育室を歩きながら、友達が遊んでいるところに近づいては、(d)「ピザです。ピザです。」と言いながら、お手玉を配り歩いていた。
【語群】
- ア 連合遊び
- イ 身振り遊び
- ウ 象徴遊び
- エ 並行遊び
- オ 一人遊び
- カ 協同遊び
- キ 構成遊び
- ク 共鳴遊び
(組み合わせ)
a | b | c | d | |
1 | ア | オ | エ | イ |
2 | ア | オ | ク | ウ |
3 | ア | キ | ク | イ |
4 | カ | オ | エ | ウ |
5 | カ | キ | ク | イ |
b:オ 一人遊び 一人で遊ぶ遊びの事です。
c:エ 並行遊び ほかの子どものそばで同じような遊びをするが、互いに交渉はしません。
d:ウ 象徴遊び ある物を何かほかの物に見立てる遊びをいいます。記述では、お手玉をピザに見立てています。
語群アの連合遊びは、ほかの子どもと一緒に同じ活動に関わる遊びをいいます。
語群キの構成遊びは、様々な物を作ったり、組み立てたりすることによって楽しみを感じる遊びをいいます。
次の文は、乳児期の視覚の発達に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 新生児の視力では、周囲はぼんやりとしている。また焦点距離は 20cm 程度で、抱っこされたときには相手の顔がよく見える。
- B 最初のうちは、あおむけの姿勢の目の前で、がらがらを左右や上下方向に動かすと線として追視し、支え座りができる5か月頃には、円を描いて動くがらがらをなめらかに追視する。
- C 生後1か月頃には、単色の単純な刺激と、同心円模様、新聞の一部、顔の絵といった複雑な刺激を対にして見せられると、より複雑な刺激、特に顔図形を好んで注視する。
- D 生後4か月頃には、青、緑、黄、赤をそれぞれ異なる色として識別するようになる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
2 | ◯ | × | ◯ | × |
3 | × | ◯ | × | ◯ |
4 | × | ◯ | × | × |
5 | × | × | ◯ | × |
B:◯ 追視は生後2か月頃からできるようになります。5〜6か月頃には奥行のあるものを知覚し、なめらかに円を描く追視も可能となります。
C:× ファンツ(Fantz,R.L.)は、様々な図形を乳児に見せ、どのような図形を長く注視するかの実験を行いました。その結果、生後1か月頃は、単色の刺激、新聞の活字の一部、同心円模様、顔図形の順に注視時間が長くなることが分かりました。
D:◯ 生後4か月頃には、青、緑、黄、赤をそれぞれ異なる色として識別できます。
次の文は、排泄の習慣に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 1歳以上3歳未満児では、排泄の自立のための身体的機能も整うので、便器での排泄になれ、自分で排泄ができるようになることをめざす。
- B 排泄は、身体の成熟や神経系の成熟などが関係するため、排泄機能が未成熟な状態で、トイレット・トレーニングをしても子どもの負担になる。
- C 子どもは1歳を過ぎると、他者の模倣を盛んにするようになっていく。保育所のトイレット・トレーニングでは、子どもは他児をモデルとして排泄する姿もみられる。
- D 排泄の習慣を形成する時期については、社会や文化、そして時代の影響を受ける。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
3 | ◯ | × | × | ◯ |
4 | × | ◯ | ◯ | × |
5 | × | × | × | ◯ |
B:〇 個人差があるものの、2歳頃までは尿が膀胱にたまると反射的に排泄されてしまいます。このように排泄機能が未熟な状態はトレーニングの段階ではなく、子どもの負担になってしまいます。
C:〇 記述のように、子どもは成長過程で大人や他児のまねをして習得していくことが多くあります。
D:〇 布おむつのみ使用していた時代に比べ、現代は紙おむつやトレーニングパンツ、使いやすいおまる(幼児用便器)などが普及しています。また、しつけについての取り組みにも変化が見られます。トイレット・トレーニングがこれらの影響を受けていることは十分に考えられます。
次の文は、言葉の発達に関する記述である。【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- A 新生児は自然言語のどの音も知覚する感受性を備えている。
- B 新生児は大人が話しかける言語の語、音節、音素の切れ目に同調してリズミカルに身体部位を動かす。
- C 言葉が出現する以前からの大人との社会的相互作用が、言葉の獲得の重要な基礎となる。
- D 大人が乳児に話しかける時、ゆっくり、はっきり、繰り返しする、などの特徴がある。
【Ⅱ群】
- ア 言語発達の外在的要因
- イ 言語発達の内在的要因
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ア | ア | イ |
2 | ア | ア | イ | ア |
3 | ア | イ | ア | イ |
4 | イ | ア | イ | ア |
5 | イ | イ | ア | ア |
B:イ 新生児が同調するのは、内在的要因です。
C:ア 大人との社会的相互作用は、外在的要因です。
D:ア 大人が話しかけるのは、外在的要因です。
次の文は、保育士の役割についての記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 小学校で困らないように、正しい文字を書くことや簡単な筆算をすることなどを指導することが大切である。
- B 3歳児では、個の成長よりも子ども相互の関係や、役割を分担したりする協同的な活動が、促されるよう配慮することが求められる。
- C 少し難しいと感じても「自分にはきっとできる」という見通しがもてるように幼児の思いに寄り添って見守ることが重要である。
- D 遊びのルールについて主張がぶつかり合ったとき、それぞれの考えや思い、アイディアを出し合うことは、「一緒に遊びたい」という気持ちを育てる上で必要なことである。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | × |
4 | × | ◯ | × | ◯ |
5 | × | × | ◯ | ◯ |
B:× 保育所保育指針には、3歳以上児では「個の成長と、子ども相互の関係や、協同的な活動が促されるよう配慮すること」とある(第1章3(2)イ(イ))。個の成長より、集団としての成長が大切とはいえません。
C:◯ 保育士は、子どもに対して発達の最近接領域を意識し、少し難しくても「きっとできる」と見通しがもてるように、幼児の思いに寄り添う事が大切です。
D:◯ 子どもの意見のぶつかり合いにうまく対処することで、「一緒に遊びたい」という気持ちを育てることができます。それぞれの考えや思いを引き出したり、アイディアを出し合うように促したりすることも、保育士の大切な役割です。
次の文は、巡回相談に関する記述である。下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 巡回相談は、外部機関の子どもの発達に関する専門家である相談員が保育所等を訪問し、保育を支援するための相談活動である。園を訪れた相談員が支援を必要とする子どもと取り巻く保育状況についてアセスメントを行い、そのあとに保育士とケースカンファレンスを行う形式が多い。
- B 保育士と相談員と協働しての保育の振り返りは、支援を必要とする子どもの行動を深く理解することにつながる。さらに園全体で子ども理解を共有することによって、その子どもと保育士との関わりが意味あるものへと発展していく。
- C 相談員は、保育士が直面している問題を把握し、具体的な支援につなげる手立てを保育士と共に考える。このように保育と発達という異なる領域の専門家同士が互いの立場を尊重しながら自由で対等な話し合いを通して保育上の問題解決にあたることは発達臨床カウンセリングと呼ばれる。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × |
3 | ◯ | × | ◯ |
4 | × | ◯ | × |
5 | × | × | ◯ |
B:◯ 保育士と相談員とで、共に保育の振り返りを行うことにより、支援を必要とする子どもの行動を深く理解することができます。また、その子ども理解を、園全体で共有していくことが大切です。
C:× 発達臨床カウンセリングは、クライエント(この場合は子ども)への直接的援助であり、設問の記述は誤りです。記述は、発達臨床コンサルテーションについてです。
次の文は、妊娠期からの親の心理に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを× とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 妊娠初期は、つわりなど心身両面で、適応していくことが必要となる時期であるため、自分自身に関心が向き、生活やキャリアへの不安が強まることが多い。
- B 胎動を通して母性が目覚め、母親は胎児の心の状態やパーソナリティなどについて様々な想像をめぐらすことは、出産直後の赤ちゃんとの相互作用に影響を及ぼす。
- C 乳幼児と接している時間が母親は長いことが多いので、育児に対する肯定的感情も否定的感情も同様に極めて高い。
- D 妊娠そのものを喜ぶことができず、受け入れることができない母親は、生まれた後の子どもとの関係性や育児態度に深刻な影響をもたらす可能性が高い。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
2 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
3 | ◯ | × | ◯ | × |
4 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × | ◯ |
B:〇 胎動は、胎児の存在を確固たる現実として実感できます。自ずと母親としての自覚が目覚め、母親へのスタート点になります。
C:× 育児に関する肯定的、否定的感情の高低については母親によってさまざまであり、一概に両方が極めて高いとはいえず、乳幼児と接する時間の長短との因果関係も不明確です。
D:〇 望まない妊娠や子供好きではない人の妊娠などは、深刻な問題を抱え、母子関係に大きく影響することは十分考えられます。
次の【図】は、「男女共同参画白書」(平成 29 年版)における「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化を示している。以下の【設問】に答えなさい。
【設問】
次のA~Cのうち、【図】を説明する文として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
ここでは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方を性役割分担意識という。 性役割分担意識に賛成する者とは「賛成」及び「どちらかといえば賛成」を合わせた者とし、反対する者とは「反対」及び「どちらかといえば反対」を合わせた者とする。
- A 経年推移をみると、性役割分担意識に反対する者の割合は、男女とも長期的に増加傾向にある。
- B 平成 28 年調査では、男女ともに反対する者の割合が賛成する者の割合を上回っている。
- C どの調査年であっても、性役割分担意識に賛成する者の割合は、女性が男性を上回っている。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × |
3 | ◯ | × | ◯ |
4 | × | ◯ | × |
5 | × | × | ◯ |
A:◯ 性役割分担意識に反対する者の割合は、平成14年から24年に減少もしているが、長期的には男女ともに増加しています。
B:◯ 平成28年調査では、男性は反対が49.4%、賛成が44.7%、女性は反対が58.5%、賛成が37.0%となっており、男女ともに反対が上回っています。
C:× 性役割分担意識に賛成する者の割合は、どの調査年も、男性が女性を上回っています。
次の文は、乳幼児と養育者の関係性に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 乳幼児と養育者の関係性は、乳幼児の社会・情緒的発達に影響を与える。
- B 養育者のもつ子どもについての認知、イメージ、表象は、子どもの親に対する行動のパターンには、ほとんど影響を与えない。
- C 保育士と乳幼児との関係性は、小学校、中学校での社会・情緒的発達に影響を与えない。
- D 乳幼児と養育者の関係は、愛着関係と同義であると考えられる。
- E 乳幼児期に形成される愛着のパターンから、成人期の愛着のパターンを 95%予想できる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
2 | ◯ | ◯ | × | ◯ | × |
3 | ◯ | × | × | × | × |
4 | × | ◯ | × | × | ◯ |
5 | × | × | ◯ | ◯ | ◯ |
B × 不適切です。影響を与えないわけではありません。
C × 不適切です。保育士と乳幼児の関係は、その子のその後の情緒発達においても影響を与える可能性が高いといえます。
D × 不適切です。乳幼児と養育者の関係は様々な関係性が含まれるため一概に愛着関係と同義とはいえません。
E × 不適切です。95%予想できるとは限りません。
次の文は、乳幼児虐待に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 家庭が経済的困窮に陥り、母親がうつ病である場合、虐待が必ず起こると考えられる。
- B 児童虐待は、子どもの社会・情緒的発達に影響を与えるが、脳の実質に変化を与える(器質的問題を生じる)可能性はない。
- C 全ての虐待に対して親子の分離を行い、里親あるいは施設養育をすることが適切である。
- D 被虐待乳幼児が保育所を利用することは、乳幼児の社会・情緒的発達にとってほとんど意味がない。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
3 | ◯ | × | ◯ | × |
4 | × | ◯ | × | × |
5 | × | × | × | × |
B × 不適切です。児童虐待には身体的虐待なども含まれるので、脳の実質に変化を与える可能性はあります。
C × 不適切です。虐待のケースに合わせた対応が必要なため、全ての虐待において親子の分離を行うことが適切とはいえません。
D × 不適切です。保育士等との間に愛着が形成されることが被虐待乳幼児の社会・情緒的発達に影響を及ぼす可能性は高いです。
次の文は、乳幼児期における情動の発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 新生児期は、周りの働きかけに対して微笑することが多い。
- B 生後3~6か月頃から、悲しさと怒り、満足と喜び、興味と驚きなどの感情を表出する。
- C 他者に対する相手を慰めるような行動にみられる共感反応は、一般的に1歳半頃から現れる。
- D 嫉妬は、一般的に2歳頃になると現れる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | × |
4 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
5 | × | × | ◯ | × |
B:〇 子どもは出生時に、満足、苦痛、興味の3つの原初的感情をもっています。その後3か月頃から、喜び、悲しみ、嫌悪、さらに6か月頃からは、驚き、怒り、恐れの感情がみられるようになり、これらは一次的感情と呼ばれています。
C:〇 1歳半頃からみられる共感反応は単純なものだが、4歳頃には発達して他者への共感が「向社会的行動(相手に共感し、相手のために自発的に外的報酬なしで行う行動)」として相手を慰めるような行動もみられるようになります。
D:〇 嫉妬は、あこがれ、恥等とともに2歳頃に表れ、二次的感情と呼ばれます。これは、自己意識や自己評価とかかわりがある情動として捉えられています。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Zちゃん(1歳半、男児)は、1か月前に保育所に入所した。入所以来園への行きしぶりが続いた。ある日登園中に雷が鳴るのを聞いて以来、全く園に行けなくなった。
【設問】
考えられる事項として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の組み合わせを一つ選びなさい。
- A Zちゃんは、場所見知りがあるのかもしれない。
- B Zちゃんは、分離不安があるのかもしれない。
- C Zちゃんは、感覚過敏があるのかもしれない。
- D Zちゃんは、雷を経験したことにより、トラウマ反応を起こしたのかもしれない。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
4 | × | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × | × |
B:〇 1歳半という年齢では、分離不安があることは十分に考えられます。
C:〇 家では経験しないような保育所での多勢の人の声や動きまわる園児などに対する感覚過敏が疑われます。
D:〇 登園中に雷の音を聞いた場所で、怖かったことを思い出し(トラウマ反応)、そこが通れなくなってしまいまったく園に行けなくなった可能性があります。
B:◯ ピアジェは、子どもが能動的な経験を通して、知的に発達していくという構成主義の理論を提唱しました。
C:◯ 成長と発達の捉え方は様々であり、その区別は厳密ではありません。たとえば発達は生涯にわたる変化なのに対し、成長は子どもが大人になるまでに変化していく量的・質的な部分を指すなどの考え方もあります。
D:× 個人間差とは、個人と個人の間での違いであり、個人内差とは、一個人における各種の特徴の違いや、過去と現在の違いなどをいいます。一般に個人差とは、個人間差のことを指します。