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保育士試験
過去問題
令和1年度(後期)

保育原理 令和1年度(後期)

問1

次の文は、「保育所保育指針」に通底する保育の考え方に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 乳児期から、月齢・年齢の標準的な子どもの姿をもとに集団的な一斉保育を大切にする。
  2. B 保育の環境として、保育士や子どもなどの人的環境よりも、施設や遊具などの物的環境がより重要であると考える。
  3. C 保育の方法として、子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成して、子どもの主体的な活動を大切にする。
  4. D 子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。

 

(組み合わせ)
A   B   C   D
1   〇   〇   ×
2   〇   ×   ×
3 ×   〇   〇   ×
4 ×   ×   〇   〇
5 ×   ×   ×   〇

 

正解は4
A.× 
一人一人の発達過程に応じ保育を行い、子どもの個人差に十分配慮する必要があります。(「保育所保育指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(3)保育の方法 ウ 参照)。
乳児期から集団的な一斉保育は行いません。月齢・年齢に合った個別での対応を行います。

B.× 
保育環境は、保育士や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、自然や社会の事象があり、”人・物・場″のなど相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう保育する必要があり、すべて重要である(「保育所保育指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(4)保育の環境 参照)。
物理的環境がより重要ではありません。人的環境・物的環境両方重要です。

C.〇 
「指針第1章1」(3)「保育の方法」オには、「子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。」とし、多くの経験を積んでいけるよう保育する必要があります。
保育所保育指針の改定により、今まで以上に子どもの主体的な活動を大切にすることが保育の方法として大事です。

D.〇 
「指針第1章1」(1)「保育所の役割」イには、「保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。」としています。
保育所は、養護及び教育を一体的に行うことができます。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則

(1) 保育所の役割
イ 保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。

(3) 保育の方法
ウ 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。

オ 子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。

(4) 保育の環境
保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがある。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、次の事項に留意しつつ、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。

問2

次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」の1「保育所保育に関する基本原則」の(1)「保育所の役割」に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 保育所は、保育を必要とする子どもの保育を通して、子どもの身体の発達を図ることを目標とした児童自立支援施設である。
  2. B 保育所は、入所する子どもの保護者に対する支援や地域の子育て家庭に対する支援を行う役割を担っている。
  3. C 保育所の保育士は、子どもの保育を行うとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行う役割がある。
    (組み合わせ)
    A   B   C
    1   〇   〇
    2   〇   ×
    3 ×   〇   〇
    4 ×   ×   〇
    5 ×   ×   ×
正解は3
A.× 
「保育所保育指針」第1章「総則」の1「保育所保育に関する基本原則」の(1)「保育所の役割」アには、「保育所は、児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)第 39 条の規定に基づき、保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。」とあります。
保育所は児童福祉施設の1つなので児童自立支援施設ではありません。児童自立支援施設:非行や生活上の問題を抱えた児童の自立を支援する施設です。

B.〇 
同ウには、「保育所は、入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担うものである。」とし、保育士の子育て支援に関する役割は重要です。
保育所は、入所する子どもの保護者の支援・地域の子育て家庭の支援を行う施設です。

C.〇 
同エには、「保育所における保育士は、児童福祉法第 18 条の4の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものであり、その職責を遂行するための専門性の向上に絶えず努めなければならない。」とあります。
保育所の保育士は、子どもの保育を行い、子どもの保護者に対し保育に関する指導を行う役割があります。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則

ア 保育所は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条の規定に基づき、保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。

イ 保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。

ウ 保育所は、入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担うものである。

エ 保育所における保育士は、児童福祉法第18条の4の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものであり、その職責を遂行するための専門性の向上に絶えず努めなければならない。
問3

次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」の3「保育の計画及び評価」の(1)「全体的な計画の作成」、(2)「指導計画の作成」に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を× とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 保育所は、全体的な計画に基づき、長期的な指導計画と短期的な指導計画を作成しなければならない。
  2. B 指導計画の作成にあたっては、一人一人の子どもの興味・欲求に即し主体性を尊重するため、3歳以上児は個別的な計画を作成することが必要である。
  3. C 3歳以上児の指導計画作成にあたっては、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を到達目標として、就学前の時期にそれらが身に付くよう計画し、評価・改善することが必要である。
  4. D 全体的な計画は施設長が単独で作成し、それに基づいて担当保育士が具体的な指導計画を作成するというように、分担して計画を作成しなければならない。
    (組み合わせ)
    A  B   C   D
    1  〇   〇   ×
    2  ×   〇   〇
    3  ×   ×   ×
    4 ×  〇   〇   〇
    5 ×  〇   ×   〇
正解は3
A.〇 
「保育所保育指針」第1章「総則」3「保育の計画及び評価」(2)「指導計画の作成」アには、「保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。」とあります。
全体的な計画に基づいた長期的な指導計画と短期的な指導計画を作成しなければなりません。

B.× 
同イ(ア)には、「3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。」とあります。
個別の計画は、3歳未満児です。

C.× 
同イ(イ)には、「3歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。」とあり、到達目標ではではありません。
3歳以上児の指導計画作成は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を到達目標にする旨は示されていません。

D.× 
「保育所保育指針」第1章「総則」3「保育の計画及び評価」(1)「全体的な計画の作成」ウには、「全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。」とあります。
全体的な計画の作成は、施設長が単独で作成せず、全職員が意見を出しながら保育の理念や方針を共有し、保育の方向性を明確にし作成することが重要です。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
3 保育の計画及び評価

(1) 全体的な計画の作成
ウ 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。

(2) 指導計画の作成

ア 保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。

イ 指導計画の作成に当たっては、第2章及びその他の関連する章に示された事項のほか、子ども一人一人の発達過程や状況を十分に踏まえるとともに、次の事項に留意しなければならない。

(ア) 3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。

(イ) 3歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。
問4

次の表は、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」の1「乳児保育に関わるねらい及び内容」の一部である。表中の( A )~( C )にあてはまる記述をア~エから選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

 

  1. ア 安心できる関係の下で、身近な人と共に過ごす喜びを感じる。
  2. イ 食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える。
  3. ウ 生活や遊びの様々な体験を通して、イメージや感性が豊かになる。
  4. エ 見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする。

 

(組み合わせ)
A B C
1
2
3
4
5
正解は4
問題は、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」 1「乳児保育に関わるねらい及び内容」の記述です。

A.イ 食事、睡眠等の生活リズムの感覚が芽生える。

B.ア 安心できる関係の下で、身近な人と共に過ごす喜びを感じる。

C.エ 見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする。

なお、選択肢ウは、同指針第2章2「1歳以上3歳未満児の保育にかかわるねらい及び内容」(2)「ねらい及び内容」オ「表現」のねらいの一つです。
乳児期は、特定の大人との間に形成される情緒的な愛情を基にして、生活の環境を広げたり言葉を獲得し始めたりする時期です。乳児の保育は、「ねらい及び内容」に示されている「視点」とともに、養護及び教育の一体性を特に強く意識して行われる必要があります。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
1 乳児保育に関わるねらい及び内容
(2) ねらい及び内容

ア 健やかに伸び伸びと育つ
健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力の基盤を培う。

(ア) ねらい
① 身体感覚が育ち、快適な環境に心地よさを感じる。

② 伸び伸びと体を動かし、はう、歩くなどの運動をしようとする。

③ 食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える。

(イ) 内容
① 保育士等の愛情豊かな受容の下で、生理的・心理的欲求を満たし、心地よく生活をする。

② 一人一人の発育に応じて、はう、立つ、歩くなど、十分に体を動かす。

③ 個人差に応じて授乳を行い、離乳を進めていく中で、様々な食品に少しずつ慣れ、食べることを楽しむ。

④ 一人一人の生活のリズムに応じて、安全な環境の下で十分に午睡をする。

⑤ おむつ交換や衣服の着脱などを通じて、清潔になることの心地よさを感じる。
問5

次の文章は、ある著書の一部である。ここの文章の著者として、正しいものを一つ選びなさい。

幼稚園や保育所もかかる意味で、もとより学校であるが、それが子どもの生活環境を改造していくための教育的計画であるからには、何よりもまず子どもの自然である利己的生活を、共同的生活へ指導していく任務を負わねばならない。
したがって幼稚園、保育所の保育案は「社会協力」ということを指導原理として作製されなければならないもので、幼稚園と保育所との教育はこの原理によって統一されるのである。

 

 

1 倉橋惣三
2 城戸幡太郎
3 東基吉
4 坂元彦太郎
5 橋詰良一
正解は2
1.× 
倉橋惣三は、大正時代から昭和時代にかけての幼児教育者です。子どもの生活を遊び中心とする幼児教育の基礎を作ったフレーベルの影響を大きく受け「日本のフレーベル」とも言われています。

2.〇 
城戸幡太郎は、昭和初期の教育学者で「子どもは大人が導く」という社会中心主義を提唱し、研究成果をあげました。設問は、「幼児教育論」を一部抜粋した文章です。また、子どもにとって豊かな幼児期を過ごすための就学前保育の必要性を訴え、幼保一元化を唱えた人物です。

3.× 
東基吉は、日本で最初の体系的保育論の書「幼稚園保育法」の著者です。東京女子師範学校(現・お茶の水女子大学)の助教授兼附属幼稚園批評係として幼稚園教育研究に関わり、恩物中心の形式的な保育を行っていたが、フレーベルの教育思想を踏まえ子どもの自由な発想を尊重する保育へと改善しました。

4.× 
坂元彦太郎は、姫路師範学校教諭を経て、「学校教育法」の草案制作に携わっています。

5.× 
橋詰良一は、園舎を造らずに戸外で保育を行うのが特徴で、大自然の中で子供を遊ばせる「家なき幼稚園」を実践した人物です。
問6

この文章の著者と関連の深い事項として、最も適切なものを一つ選びなさい。

幼稚園や保育所もかかる意味で、もとより学校であるが、それが子どもの生活環境を改造して いくための教育的計画であるからには、何よりもまず子どもの自然である利己的生活を、共同的 生活へ指導していく任務を負わねばならない。

したがって幼稚園、保育所の保育案は「社会協力」ということを指導原理として作製されなけ ればならないもので、幼稚園と保育所との教育はこの原理によって統一されるのである。

 

 

1 律動遊戯
2 誘導保育
3 学校教育法草案
4 家なき幼稚園
5 保育問題研究会

 

正解は5
1.× 
音楽や唱歌を使い、身体を動かす遊びと運動の「律動遊戯」を考案したのは、土川五郎です。 

2.× 
子どもの自発性に基づき、遊具や環境など、様々な刺激を与え望ましい方向に成長させる「誘導保育」は、倉橋惣三が唱導しました。

3.× 
坂元彦太郎が戦後、文部省青年教育課長として「学校教育法草案」に携わりました。

4.× 
「家なき幼稚園」は、橋詰良一が大自然の中で子供を遊ばせる露店保育を実践しました。

5.〇 
「保育問題研究会」は、城戸幡太郎が1936(昭和11)年に立ち上げ、当時、主流となっていた倉橋惣三の「児童中心主義」を批判し、「社会中心主義」を提唱しました。
問7

次の文のうち、モンテッソーリ(Montessori, M.)に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A イタリアの思想家・実践家として、母親学校の創始者となり、そこで実践された環境を通して行う教育法はモンテッソーリ・メソッドと呼ばれている。
  2. B 青年期を敏感期ととらえ、感覚運動能力の育成こそ人間のあらゆる能力の発達の基礎であるとして、こうした感覚訓練を目的とした教具を開発した。
  3. C ローマのスラム化した地区において、アパートの一棟に昼間仕事をしている母親の児童を預かるための施設として「子どもの家」が設立され、そこでの実践を通して自らの理論を構築した。
  4. D セガン(Seguin, E.)が知的障害の子どもの教育のために開発した教具に修正を加え、独自の教具を作り、それが後のモンテッソーリ教具と呼ばれるものとなった。 
    (組み合わせ)
    A  B   C   D
    1  〇   〇   ×
    2  〇   ×   ×
    3 ×  〇   〇   〇
    4 ×  ×   〇   〇
    5 ×  ×   ×   〇

     

正解は4
A.× 
モンテッソーリは、ローマ大学最初の女性医学博士で、母親学校ではなく貧困層向けのアパートに保育施設「子どもの家」を設立しました。母親学校の創始者は、コメニウスです。

B.× 
モンテッソーリが敏感期として捉えたのは、幼児期(0~6歳)です。

C.〇 
モンテッソーリは、貧困層向けのアパートに保育施設「子どもの家」が設立し、子どもの自主性を尊重し、自発的な活動意欲を引き出す教育手法を実践し、その中で生まれたのがモンテッソーリ教育です。

D.〇 
セガンは、フランスの医師兼教育者です。知的障害の子どもの教育のために開発した教具に、モンテッソーリが修正を加えて独自の教具を作り、知的障害の子どもだけでなく、知的障害のない子ども用へ開発し、後にモンテッソーリ教具と呼ばれるものとなりました。
問8

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】

Kちゃん(生後7か月)は、家庭では保護者がおんぶ紐でおんぶをしたまま昼寝をする習慣がある。保育所に入所後は、担当保育士が保護者に家庭での昼寝の様子を聞き、家庭での入眠方法を踏襲し保育士がおんぶをして午睡をしていた。Kちゃんは入所後1か月が経過したが布団ではなかなか眠れず、ウトウトしてもすぐに目を覚ましては泣いてしまい、十分に睡眠がとれない日々が続いている。

 

【設問】

担当保育士の今後の対応として、「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」、第4章「子育て支援」に照らし、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

 

  1. A 担当保育士との信頼関係を築けるようにKちゃんが泣いたら応答し、担当保育士との関わりがKちゃんにとって安心で心地よいものとなることをまず心がける。
  2. B いずれ保育所の睡眠環境に慣れて眠るようになるとの見通しから、今後もしばらく担当保育士がおんぶして寝かせるようにしていく。
  3. C 保護者に保育所でのKちゃんの状況を伝え、家庭でも保育所の環境を想定して、睡眠導入時から布団で寝られるようにするためにおんぶ紐の使用をやめるように話す。
  4. D なるべく早く保育所の睡眠環境に慣れて眠れるように、泣いても極力応答せずにKちゃん自身が入眠リズムをつくっていくことを心がける。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 × ×
2 ×
3 × ×
4 × ×
5 × × ×

 

正解は1
事例を「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」、第4章「子育て支援」に照らし合わせて考えます。

A.〇 
「保育所保育指針第2章」1「乳児保育に関わるねらい及び内容」(2)「ねらい及び内容」ア「健やかに伸び伸びと育つ」(イ)「内容」には、「保育士等の愛情豊かな受容の下で、生理的・心理的欲求を満たし、心地よく生活をする。」とあります。Kちゃんが泣いたら、気持ちに寄りそい応対することが適切です。

B.〇 
「保育所保育指針第1章」1「保育所保育に関する基本原則」(3)「保育の方法」ウには、「子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。」とあります。Kちゃんが安心感の中、落ち着いて午睡ができる環境を用意することへの配慮がされているため、適切です。Kちゃんの発達に合わせ、特に乳児期は、担当保育者をすぐには変えず、様子を見ることが望ましいです。

C.× 
「保育所保育指針第4章」1「保育所における子育て支援に関する基本的事項(1)「保育所の特性を生かした子育て支援」アには、「保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。」とあります。保護者の意向を受け止め、保育士としての専門性を生かし支援することが望ましいです。

D.× 
「保育所保育指針第1章」2「養護に関する基本的事項」(2)「養護に関わるねらい及び内容」ア「生命の保持」(イ)「内容」③には、「清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的な関わりを通して子どもの生理的欲求を満たしていく。また、家庭と協力しながら、子どもの発達過程等に応じた適切な生活のリズムがつくられていくようにする。」とあります。Kちゃんの気持ちを受け入れ、無理なく対応することが望ましいです。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
(3) 保育の方法
ウ 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。


2 養護に関する基本的事項
(2) 養護に関わるねらい及び内容
ア 生命の保持
(イ) 内容
③ 清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的な関わりを通して子どもの生理的欲求を満たしていく。また、家庭と協力しながら、子どもの発達過程等に応じた適切な生活のリズムがつくられていくようにする。


第2章 保育の内容
1 乳児保育に関わるねらい及び内容
(2) ねらい及び内容
ア 健やかに伸び伸びと育つ
(イ) 内容
① 保育士等の愛情豊かな受容の下で、生理的・心理的欲求を満たし、心地よく生活をする。


第4章 子育て支援
1 保育所における子育て支援に関する基本的事項
(1) 保育所の特性を生かした子育て支援
ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。
問9

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】

Yちゃん(4歳、女児)がS保育所からの帰り道、母親にその日のことを話している。その日、Yちゃんは袖に花の飾りがいくつかついたお気に入りの洋服を着ていた。花の飾りは糸で止められていて、手で引っ張ると簡単に取れてしまうものである。Yちゃんの洋服の花に興味を持った男の子たちが引っ張って、取れてしまった。Yちゃんは、花が取れてしまって本当は嫌だったのだけど、嫌と言えなかったと母親に話す。Yちゃんは、日頃からおとなしく、母親は保育所でも周りの友達に遠慮がちになっているのではないかと心配している。母親は、Yちゃんの話を聞いて、このことを連絡帳に書いて担当保育士に伝えることにした。

 

【設問】

担当保育士のYちゃんの母親への対応として、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」の3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」、第4章「子育て支援」に照らし、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

  1. A 子ども同士のトラブルはあって当たり前なので、そんなに気にすることではないと母親に伝える。
  2. B Yちゃんとクラスの子どもとの関係を気にかけて見ていくことを母親に伝える。
  3. C Yちゃんに、嫌だと思ったときは相手に伝えて大丈夫だと話していくことを母親に伝える。
  4. D クラス全体に対して、一人一人が大事にしている物は、周りのみんなも大事にするように伝え、そのことをYちゃんの母親に伝える。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 ×
3 ×
4 × ×
5 × × ×

 

正解は3
事例を「保育所保育指針」第2章「保育の内容」3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」第4章「子育て支援」に照らし合わせて考えます。

A.× 
「保育所保育指針第4章」1「保育所の特性を生かした子育て支援」アには、「保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。」とあります。子ども同士のトラブルであっても、母親の気持ちも受け止めていくことが必要です。

B.〇 
「保育所保育指針第2章3」(2)「ねらい及び内容」イ「人間関係」(イ)「内容」⑥には、「自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。」とあります。Yちゃんとクラスの子どもとの関係を気にかけて見ていくことは、母親に安心感を与えることができ、相互理解を図ることにつながっていきます。

C.〇 
Bの解説と同様、Yちゃんの思いに寄りそいながら、自分の気持ちを表現できるよう気にかけ支援することが大切です。

D.〇 
「保育所保育指針第2章3」(2)「ねらい及び内容」イ「人間関係」(イ)「内容」⑩には、「友達との関わりを深め、思いやりをもつ。とあります。Yちゃんに対する不安な気持ちを抱える保護者に対し、その気持ちを受け止め対応することは適切です。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
3 3歳以上児の保育に関するねらい及び内容
(2) ねらい及び内容
イ 人間関係
(イ) 内容
⑥ 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
⑩ 友達との関わりを深め、思いやりをもつ。

第4章 子育て支援
(1) 保育所の特性を生かした子育て支援
ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。
問10

次の文は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)第 35 条の一部である。( A )~( E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

保育所における保育は、( A )及び( B )を( C )に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働( D )が定める( E )に従う。

 

【語群】
  • ア 教育  
  • イ 要領   
  • ウ 省   
  • エ 養護  
  • オ 総合的
  • カ 保護  
  • キ 一体的  
  • ク 指針  
  • ケ 大臣  
  • コ 養育

 

(組み合わせ)
A B C D E
1
2
3
4
5
正解は1
問題は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第35条からの出題です。


保育所における保育は、(A エ 養護)及び(B ア 教育)を(C キ 一体的)に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働(D ケ 大臣)が定める(E ク 指針)に従う。
養護及び保育が一体的に行われることは、保育所保育の基本として非常に重要な点です。
問11

次の文のうち、レッジョ・エミリアの保育・教育実践に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A フランスの都市レッジョ・エミリアの保育・教育実践は、その学校建築設計の特徴として、食育ができる「食堂」と、表現活動の拠点となる「アトリエ」があげられる。
  2. B 「アトリエリスタ(芸術教師)」が配置されていることは、レッジョ・エミリアの保育・教育実践の特徴の一つである。
  3. C 「ドキュメンテーション(子どもの日々の活動や学びの記録)」は、レッジョ・エミリアの保育・教育実践の特徴の一つである。
  4. D レッジョ・エミリアの保育・教育実践の考え方を支えてきたのは、教師であり思想家であるルドルフ・シュタイナー(Steiner, R.)である。 
    (組み合わせ)
    A  B   C   D
    1  〇   〇   ×
    2  ×   〇   〇
    3 ×  〇   〇   ×
    4 ×  〇   ×   〇
    5 ×  ×   ×   〇

     

正解は3
A.× 
フランスの、という記述が不適切です。レッジョ・エミリアはイタリアの都市です。また、表現活動の拠点となる「アトリエ」は、学校建設設計の特徴としてあげられているが、食育ができる「食堂」は、特別な学校建築設計の特徴とされてはいません。レッジョ・エミリアの特徴として、施設の中心には様々な人々が交流するための「ピアッツァ(広場)」があり、表現活動をするための各「アトリエ」へ空間が連続するような設計になっています。

B.〇 
レッジョ・エミリアの保育・教育実践の特徴として、園長を置かず、教師と「アトリエリスタ(芸術教師)」と「ペダゴジスタ(教育専門家)」と呼ばれる教育主事の3者が常に協議し、民主的な園運営に努めていることがあげられます。

C.〇 
レッジョ・エミリアの保育・教育実践の特徴として、「ドキュメンテーション」や「ポートフォリオ」という独特の記録法を駆使し、子どもたちが自分の活動を振り返るためだけではなく、教師や保育者の研究資料や保護者に日々の活動を伝える資料としての役割を担い、保育実践の見直しとしてもあげられています。

D.× 
ルドルフ・シュタイナー、という記述が不適切です。レッジョ・エミリアの保育・教育実践の起源は1945年とされ、第二次世界大戦後に労働者、農民、母親たちが協力して開始した自主保育です。その後、教育哲学者のローリス・マラグッツィが私立幼児教育センター所長に就任し、サポートしたことにより市内全域に広がりました。一方、ルドルフ・シュタイナーは、シュタイナー教育を実践した人物で、「ぬらし絵(にじみ絵)」や、「オイリュトミー」という音楽を用いて身体を使ってさまざまなことを表現する方法などを考案しました。
問12

次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」の2「養護に関する基本的事項」の一部である。「生命の保持」のねらいとして、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 一人一人の子どもが、安定感をもって過ごせるようにする。
  2. B 一人一人の子どもがくつろいで共に過ごし、心身の疲れが癒されるようにする。
  3. C 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
  4. D 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
  5. E 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1 × ×
2 × × ×
3 × × ×
4 × × ×
5 × × ×
正解は5
問題は、「保育所保育指針」第1章「総則」2「養護に関する基本的事項」(以下「指針」)ア「生命の保持」(ア)「ねらい」に関する出題です。

A.× 「指針」イ「情緒の安定」(ア)「ねらい」①の文章です。

B.× 「指針」イ「情緒の安定」(ア)「ねらい」④の文章です。

C.× 「指針」イ「情緒の安定」(ア)「ねらい」②の文章です。

D.〇 「指針」ア「生命の保持」(ア)「ねらい」③の文章です。

E.〇 「指針」ア「生命の保持」(ア)「ねらい」①の文章です。

保育所における保育全体を通じて、保育士等の具体的な援助や関わりにより子ども一人ひとりの健康と安全が守られるとともに、子どもの生理的欲求が満たされ、子どもの健康増進を図っていくことが求められます。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
2 養護に関する基本的事項
(2) 養護に関わるねらい及び内容
ア 生命の保持
(ア) ねらい

① 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。

② 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。

③ 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。

④ 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。
問13

次の文は、保育所における指導計画とその展開に関する記述である。「保育所保育指針」第1章「総則」の3「保育の計画及び評価」に照らして、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 保育士等は、保育の過程を記録し、これらを踏まえ、指導計画に基づく保育内容の見直しを行い、改善を図る必要がある。
  2. B 保育の過程の記録は、子どもの生活や遊びの姿に視点をあてた記録ではなく、保育士等の行った保育に視点をあて、ねらいや内容が適切であったか否かを記録することが重要である。
  3. C 保育士等は計画通りに保育を展開することが重要なので、そのための保育技術を身に付けなければならない。
  4. D 子どもに対する保育士等の援助には、場や生活の流れを調整するなどのように、直接子どもに関わらないで子ども自身の活動の展開を促す援助もある。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 ×
3 × ×
4 × × ×
5 × × ×
正解は3
「保育所保育指針」第1章「総則」3「保育の計画及び評価」(以下「指針」)に照らして考えます。

A.〇 「指針」(3)「指導計画の展開」エでは、「保育士等は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して保育の過程を記録するとともに、これらを踏まえ、指導計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図ること。」としています。また、「保育所保育指針解説」第1章「総則」3「保育の計画及び評価」(3)「指導計画の展開」(以下「解説」)【記録と保育の内容の見直し、改善】では、「こうした記録を通して、保育士等は子どもの表情や言語の背後にある思いや体験したことの意味、成長の姿などを的確かつ多面的に読み取る。その上で、指導計画に基づく保育の実践やそこでの一人一人の子どもに対する援助が適切であったかどうかを振り返り、そこで浮かび上がってきた改善すべき点を次の指導計画に反映させていく。」としています。

B.× 選択肢の文章が不適切です。「解説」【記録と保育の内容の見直し、改善】では、「記録をする際には、子どもに焦点を当てて、生活や遊びの時の様子を思い返してみる視点と、一日の保育やある期間の保育について、保育士等が自分の設定したねらいや内容・環境の構成・関わりなどが適切であったかといったことを見直してみる視点がある。この双方の視点から保育を記録することによって、子どもの生活や遊びにおける保育士等と子どもの生活や遊びにおける保育士等と子どもとの多様な相互作用の様子が明らかとなる。」としています。

C.× 選択肢の文章が不適切です。「解説」【子どもの変化に応じた活動の柔軟な展開】では、「保育においては、その時々の子どもの姿に即して、適切な援助をしていく必要が生じる。子どもの生活は多様な活動が関連をもちながら展開していくものであり、その中で偶発的に生じる様々な出来事が子どもの心を動かし、興味や関心をより広げたり、環境へ関わろうとする意欲を高めたりする。そのため、指導計画を作成した際の保育士等の予想した姿とは異なる姿が見られることもしばしばあるが、そうした時に、必ずしも計画通りの展開に戻すことを優先するのではなく、子どもの気付きや感動を尊重し、新たな素材を加えたり、子どもの発想を刺激するような一言を添えたりするなどして、子どもが自らイメージを膨らませて活動を方向付け、豊かな体験を得られるよう援助することが重要である。」とあります。

D.〇 「解説」【子どもの主体的な活動を促す保育士等による多様な援助】では、「子どもにとって居心地がよく、生活の見通しがもちやすいように環境を整えたり、集中して遊び込めるように時間のゆとりをとるようにしたりするなど、子ども自身に直接関わるのではなく、場や生活の流れを調整することを通して子ども自身による活動の展開を促す援助もある。」とあります。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
3 保育の計画及び評価

(1) 全体的な計画の作成
ア 保育所は、1の(2)に示した保育の目標を達成するために、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して、総合的に展開されるよう、全体的な計画を作成しなければならない。
イ 全体的な計画は、子どもや家庭の状況、地域の実態、保育時間などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しをもって適切に作成されなければならない。
ウ 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。

(2) 指導計画の作成
ア 保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。
イ 指導計画の作成に当たっては、第2章及びその他の関連する章に示された事項のほか、子ども一人一人の発達過程や状況を十分に踏まえるとともに、次の事項に留意しなければならない。
(ア) 3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。
(イ) 3歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。
(ウ) 異年齢で構成される組やグループでの保育においては、一人一人の子どもの生活や経験、発達過程などを把握し、適切な援助や環境構成ができるよう配慮すること。
ウ 指導計画においては、保育所の生活における子どもの発達過程を見通し、生活の連続性、季節の変化などを考慮し、子どもの実態に即した具体的なねらい及び内容を設定すること。また、具体的なねらいが達成されるよう、子どもの生活する姿や発想を大切にして適切な環境を構成し、子どもが主体的に活動できるようにすること。
エ 一日の生活のリズムや在園時間が異なる子どもが共に過ごすことを踏まえ、活動と休息、緊張感と解放感等の調和を図るよう配慮すること。
オ 午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。
カ 長時間にわたる保育については、子どもの発達過程、生活のリズム及び心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けること。
キ 障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、指導計画の中に位置付けること。また、子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ること。

(3) 指導計画の展開
指導計画に基づく保育の実施に当たっては、次の事項に留意しなければならない。
ア 施設長、保育士など、全職員による適切な役割分担と協力体制を整えること。
イ 子どもが行う具体的な活動は、生活の中で様々に変化することに留意して、子どもが望ましい方向に向かって自ら活動を展開できるよう必要な援助を行うこと。
ウ 子どもの主体的な活動を促すためには、保育士等が多様な関わりをもつことが重要であることを踏まえ、子どもの情緒の安定や発達に必要な豊かな体験が得られるよう援助すること。
エ 保育士等は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して保育の過程を記録するとともに、これらを踏まえ、指導計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図ること。

(4) 保育内容等の評価
ア 保育士等の自己評価
(ア) 保育士等は、保育の計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない。
(イ) 保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。
(ウ) 保育士等は、自己評価における自らの保育実践の振り返りや職員相互の話し合い等を通じて、専門性の向上及び保育の質の向上のための課題を明確にするとともに、保育所全体の保育の内容に関する認識を深めること。

イ 保育所の自己評価
(ア) 保育所は、保育の質の向上を図るため、保育の計画の展開や保育士等の自己評価を踏まえ、当該保育所の保育の内容等について、自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。
(イ) 保育所が自己評価を行うに当たっては、地域の実情や保育所の実態に即して、適切に評価の観点や項目等を設定し、全職員による共通理解をもって取り組むよう留意すること。
(ウ) 設備運営基準第36条の趣旨を踏まえ、保育の内容等の評価に関し、保護者及び地域住民等の意見を聴くことが望ましいこと。

(5) 評価を踏まえた計画の改善
ア 保育所は、評価の結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容等の改善を図ること。
イ 保育の計画に基づく保育、保育の内容の評価及びこれに基づく改善という一連の取組により、保育の質の向上が図られるよう、全職員が共通理解をもって取り組むことに留意すること。
問14

次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」の3「保育の計画及び評価」(2)「指導計画の作成」の一部である。( A )~( E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの( A )や障害の状態を把握し、適切な( B )の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、( C )計画の中に位置付けること。また、子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した( D )のための計画を( E )作成するなど適切な対応を図ること。

 

【語群】
  • ア 発達段階  
  • イ 環境    
  • ウ 柔軟に  
  • エ 支援  
  • オ 計画
  • カ 指導    
  • キ 発達過程  
  • ク 個別に  
  • ケ 保育

 

(組み合わせ)
A B C D E
1
2
3
4
5

 

正解は4
問題は、「保育所保育指針」第1章「総則」の3「保育の計画及び評価」(2)「指導計画の作成」の文章です。

障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの(A キ 発達過程)や障害の状態を把握し、適切な(B イ 環境)の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、(C カ 指導)計画の中に位置付けること。また、子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した(D エ 支援)のための計画を(E ク 個別に)作成するなど適切な対応を図ること。
問15

次の文は、保育所における小学校との連携に関する記述である。「保育所保育指針」第2章「保育の内容」の(2)「小学校との連携」に照らして、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 保育所に入所している子どもが就学する際の子どもの情報に関しては、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を中心に保護者から直接情報を得て小学校に説明できるようにすることが大切である。
  2. B 小学校では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえた指導を工夫することによって、幼児期の保育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し、子どもが主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすることが求められている。
  3. C 保育所保育と小学校教育の円滑な接続を図るため、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」をテーマにするなどして、小学校の教師との意見交換や合同の研究会や研修会の機会を設けることが大切である。
  4. D 保育所保育を小学校以降の生活や学習の基盤の育成につなげていくための有効で確かな方法の一つは、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を到達目標にして小学校教育の先取りをすることである。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 × ×
3 × ×
4 × ×
5 × ×

 

正解は3
問題は、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」4「保育の実践に関して留意すべき事項」(2)「小学校との連携」に照らして考えるものです。

A. × 
選択肢の文章が不適切です。「保育所保育指針」第2章「保育の内容」4「保育の実践に関して留意すべき事項」(2)「小学校との連携」(以下「解説」)ウでは、「保育所に入所している全ての子どもについて、保育所から就学先となる小学校へ、子どもの育ちを支える資料を「保育所児童保育要録」(以 下「保育要録」という。)として送付する。(中略)その上で、保育所の生活を通して一人一人の子どもが育ってきた過程 を振り返り、保育における援助の視点や配慮を踏まえ、その育ちの姿を 的確に記録することが必要である。こうした記録を基に、子どもの就学 先に送付し、小学校において子どもの理解を助け、育ちを支えるための 資料として簡潔にまとめたものが保育要録である。 保育要録は、保育所や子どもの状況などに応じて柔軟に作成し、一人 一人の子どものよさや全体像が伝わるよう工夫して記す。」とあります。

B. 〇 
「解説」イでは、「保育所では計画的に環境を構成し、遊びを中心とした生活を通して体 験を重ね、一人一人に応じた総合的な指導を行っている。一方、小学校 では、時間割に基づき、各教科の内容を教科書などの教材を用いて学習 している。このように、保育所と小学校では、子どもの生活や教育の方 法が異なる。このような生活の変化に子どもが対応できるようになって いくことも学びの一つとして捉え、保育士等は適切な指導を行うことが 必要である。 小学校においては、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた 指導を工夫することにより、幼児期の保育を通して育まれた資質・能力 299 を踏まえて教育活動を実施し、子どもが主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすることとされている。」とあります。

C. 〇 
「解説」イでは、「保育所保育と小学校教育の円滑な接続を図るため、小学校の教 師との意見交換や合同の研究会や研修会、保育参観や授業参観などを通じて連携を図るようにすることが大切である。その際、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を共有して意見交換を行ったり、事例を持ち寄って話し合ったりすることなどが考えられる。」とあります。

D. ×  
選択肢の文章が不適切です。「解説」アでは、「保育所においては、第1章の1の(2)に示す保育の目標に基づき、 幼児期にふさわしい保育を行う。その保育を通して育まれた資質・能力 が小学校以降の生活や学習の基盤ともなる。 子どもは、保育所から小学校に移行していく中で、突然違った存在に なるわけではない。発達や学びは連続しており、保育所から小学校への 移行を円滑にする必要がある。しかし、それは、小学校教育の先取りを することではなく、就学前までの幼児期にふさわしい保育を行うことが 最も肝心なことである。つまり、子どもが遊び、生活が充実し、発展することを援助していくことである。」とあります。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
4 保育の実施に関して留意すべき事項
(2) 小学校との連携

ア 保育所においては、保育所保育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼児期にふさわしい生活を通じて、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。

イ 保育所保育において育まれた資質・能力を踏まえ、小学校教育が円滑に行われるよう、小学校教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け、第1章の4の(2)に示す「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」を共有するなど連携を図り、保育所保育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努めること。

ウ 子どもに関する情報共有に関して、保育所に入所している子どもの就学に際し、市町村の支援の下に、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすること。
問16

次の【Ⅰ群】の語句と最も関連の深い人名を【Ⅱ群】から選び、それぞれを結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
  1. A 二葉幼稚園
  2. B 守孤扶独幼稚児保護会
  3. C 東京女子師範学校附属幼稚園
  4. D 家なき幼稚園
【Ⅱ群】
  1. ア 関信三
  2. イ 野口幽香
  3. ウ 赤沢鍾美
  4. エ 橋詰良一
  5. オ 石井十次

 

(組み合わせ)
A B C D
1
2
3
4
5

 

正解は1
A-イ 
二葉幼稚園は、歴史ある保育園として知られる二葉保育園の前身で、1900(明治33)年、野口幽香と森島峰によって東京に開設されました。

B-ウ 
守弧扶独幼稚児保護会は、1890(明治23)年に開設された私塾である新潟静修学校に併設された保育施設です。

C-ア 
東京女子師範学校付属幼稚園は、1876(明治9)年に開設されたわが国初の官立幼稚園です。関信三は、開園当時の初代監事(園長)であり、フレーベル主義に基づく幼児教育を行いました。

D-エ 
家なき幼稚園は、1922(大正11)年に大阪府池田市にヨーロッパの屋外保育の影響を受けた橋詰良一によって開設されました。家なき幼稚園は、園舎をもたず、「自然」を重視する保育方法、内容を実践した幼稚園です。

オ. 石井十次は、1887(明治20)年、岡山孤児院を開設しました。岡山孤児院は、イギリスの孤児院のバーナードホームの影響を受け、施設に小舎制を取り入れ、里子制度の導入や、独自の教育法である「岡山孤児院十二則」を作成するなど、特色のある養育を行いました。
問17

次の【Ⅰ群】の語句と最も関連の深い人名を【Ⅱ群】から選び、それぞれを結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
  1. A 消極的教育
  2. B メトーデ
  3. C ガーベ(恩物)
  4. D 性格形成学院
【Ⅱ群】
  1. ア  オーエン(Owen, R.)
  2. イ  フレーベル(Fröbel, F.W.)
  3. ウ ルソー(Rousseau, J.-J.)
  4. エ ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)

 

(組み合わせ)
A B C D
1
2
3
4
5

 

正解は5
A-ウ 
消極的教育(消極教育)は、子どもの自然な成長段階に合わせて教育していくという方法で、「子どもの発見者」といわれるルソーが主張した考えです。ルソーは、スイス生まれ、フランスの教育思想家、哲学者、作家、作曲家で、著書に『エミール』『学問芸術論』『社会契約論』『新エロイーズ』などがあります。

B-エ 
メトーデは、直観教授ともいい、子どもの知的な能力を伸ばすためには、言葉より事物を使うべきという教育方法であり、ペタロッチが確立しました。ペスタロッチは、スイスの教育家で、著書に『隠者の夕暮れ』『リーンハルトとゲルトルート』『シュタンツ便り』『白鳥の歌』『幼児教育書簡』『ゲルトルート児童教育法』などがあります。

C-イ 
ガーベ(恩物)は教育的遊具で、フレーベルが開発しました。彼の考案した恩物とのちに彼の後継者たちが考案した恩物をあわせると約20種類あり、発達にあわせて選ばれていました。フレーベルは、ドイツの教育学者であり、世界で最初の幼稚園の創設者で「幼稚園の父」とよばれており、著書に『人間の教育』『母親の歌と愛撫の歌(母とおさなごの歌)』などがあります。

D-ア 
性格形成学院は、イギリスの紡績工場主であったオーエンが自分の工場で働く労働者家族のために開設したものです。そこには、人間の性格形成には幼児期の環境が大きく影響するという考えのもとに1~6歳の幼児を対象とする幼児学校も置かれました。彼の性格形成論は、「本来善である人間の性格は、環境によって悪くもなる。幼児期によい環境を与えることで、よい人格形成が促される」というもので、教育方法はペスタロッチの影響を受け、直観教授を取り入れました。
問18

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】

Mちゃん(1歳 11 か月、女児)は、この4月にJ保育所の1歳児クラスに入所した。欠席が多く休みがちではあるが、少しずつ保育所の生活に馴染めてきている。
7月に入って1歳児クラスでは、水遊びが始まった。Mちゃんは水着に着替え終わっているが、体操の音楽が流れ、保育士や周りの友達がリズムに合わせて身体を動かす中で、座りこんだり寝転んだりしている。みんながテラスに出て、ビニールプールに入ったりじょうろに水を入れたりして水で遊び始めても、Mちゃんは寝転んだままである。担当保育士が「一緒にやろう」と声をかけると、Mちゃんは泣き出したので、ひざに抱き上げて少し落ち着いたところでテラスに行く。友達がビニールプールに入っている様子を見せても、Mちゃんは担当保育士にしがみついて「いや!」と硬い表情で強く言う。その日は、水で遊ばなかった。

【設問】

 

「保育所保育指針」第2章「保育の内容」の2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」、第4章「子育て支援」に照らし、Mちゃんと保護者への担当保育士のこれからの対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

  1. A 安心して遊び始めることができない気持ちを受け止めて、Mちゃんのやりたい遊びを一緒に探す。
  2. B 遊び始めると気持ちも切り替わるかもしれないので、泣いてもビニールプールにMちゃんを座らせる。
  3. C みんなと同じ活動を経験することが大事なので、友達と一緒に水遊びをするようにMちゃんに働きかける。
  4. D 保護者に、今日のプールでの様子を伝えるとともに、家庭での遊びの様子を聞く。
  5. E 保護者に、家庭で水に慣れるように指導してくださいと伝える。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1 × × ×
2 × × ×
3 × ×
4 × × ×
5 × × ×

 

正解は1
問題は、【事例】のMちゃんと保護者への担当保育士のこれからの対応を「保育所保育指針」第2章「保育の内容」2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」(以下「指針第2章2」)、第4章「子育て支援」(以下「指針第4章」)に照らして考えます。

A.〇 
「指針第2章2」(1)「基本的事項」アでは、「保育士等は、子どもの生活の安定を図りなが ら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに、 愛情豊かに、応答的に関わることが必要である。」としています。安心して遊び始めることができない気持ちを受け止めて、Mちゃんのやりたい遊びを一緒に探すことは、自分でしようとする気持ちを尊重することであり適切です。

B.× 
泣いてもビニールプールにMちゃんを座らせる、という記述が不適切です。保育所に入所して3か月ほどしか経っておらず、初めての経験であるプール遊びを強要することは不適切です。水遊びに対する恐怖心や園生活に慣れていない事を理解して受け止めることが必要と考えられます。選択肢Aの解説も参照。

C.× 
選択肢の文章が不適切です。「指針第2章2」(3)「保育の実施に関わる配慮事項」ウでは、「自我が形成され、子どもが自分の感情や気持ちに気付くようにな る重要な時期であることに鑑み、情緒の安定を図りながら、子ども の自発的な活動を尊重するとともに促していくこと。」とあります。保育士は、子どもの自我が形成され、自発的に活動できるように働きかけることが大切です。みんなと同じ活動を経験することが大事ということではないため不適切です。

D.〇 
「指針第4章」2「保育所を利用している保護者に対する子育て支援」(1)「保護者との相互理解」アでは、「日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の 伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相 互理解を図るよう努めること。」とあります。保護者に今日のプールでの様子を伝え、また、家庭での遊びの様子を聞くことは、保護者との相互理解を図っているため適切です。

E.× 
選択肢の文章が不適切です。「指針第4章」1「保育所における子育て支援に関する基本的事項」(1)「保育所の特性を生かした子育て支援」アでは、「保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等 を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係 を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。」とあります。保育士が一方的に保護者に対して指導してくださいと伝えることは不適切です。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
2 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容
(1) 基本的事項

ア この時期においては、歩き始めから、歩く、走る、跳ぶなどへと、基本的な運動機能が次第に発達し、排 泄 の自立のための身体的機能も整うようになる。つまむ、めくるなどの指先の機能も発達し、食事、衣類の着脱なども、保育士等の援助の下で自分で行うようになる。発声も明瞭になり、語彙も増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる。このように自分でできることが増えてくる時期であることから、保育士等は、子どもの生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに、愛情豊かに、応答的に関わることが必要である

(3) 保育の実施に関わる配慮事項
ウ 自我が形成され、子どもが自分の感情や気持ちに気付くようになる重要な時期であることに鑑み、情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を尊重するとともに促していくこと。

第4章 子育て支援
1 保育所における子育て支援に関する基本的事項
(1) 保育所の特性を生かした子育て支援
ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。

2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
(1) 保護者との相互理解
ア 日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
問19

次の文のうち、「子ども・子育て支援新制度」による地域型保育事業に含まれる事業についての記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 「小規模保育事業」とは、保育を必要とする乳児・幼児であって満3歳未満のものの保育を、利用定員が6人から 19 人までの施設で行う事業である。
  2. B 「家庭的保育事業」とは、保育を必要とする乳児・幼児であって満3歳未満のものの保育を、家庭的保育者の居宅等において行う事業であり、利用定員は 10 人以下である。
  3. C 「居宅訪問型保育事業」とは、保育を必要とする乳児・幼児であって満3歳未満のものの保育を、乳児・幼児の居宅において家庭的保育者により行う事業である。
  4. D 「事業所内保育事業」とは、事業主がその雇用する労働者の監護する乳児・幼児及びその他の乳児・幼児の保育を、自ら設置する施設又は事業主が委託した施設において行う事業である。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 × ×
2 ×
3 × ×
4 × ×
5 × × ×
正解は2
地域型保育事業には、「小規模保育事業」「家庭的保育事業」「居宅訪問型保育事業」「事業所内保育事業」があります。

A.〇 
「小規模保育事業」は、「児童福祉法」第6条の3(以下「法」)第10項第一号において「保育を必要とする乳児・幼児であつて満3歳未満のものについて、当該保育を必要とする乳児・幼児を保育することを目的とする施設(利用定員が6人以上19人以下であるものに限る。)において、保育を行う事業」と規定されています。

B.× 
利用定員は、10人以下である、という記述が不適切です。「家庭的保育事業」は、「法」第9項第一号において、「子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第19条第1項第二号の内閣府令で定める事由により家庭において必要な保育を受けることが困難である乳児又は幼児」という。)であつて満3歳未満のものについて、家庭的保育者(市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が行う研修を修了した保育士その他の厚生労働省令で定める者であつて、当該保育を必要とする乳児。幼児の保育を行うものとして市町村長が適当と認めるものをいう。以下同じ。)の居宅その他の場所(当該保育を必要とする乳児・幼児の居宅を除く。)において同じ。)」と規定されています。

C.〇 
「居宅訪問型保育事業」は、「法」第11項第1号で、「保育を必要とする乳児・幼児であつて満3歳未満のものについて、当該保育を必要とする乳児・幼児の居宅において家庭的保育者による保育を行う事業」と規定されています。

D.〇 
「事業所内保育事業」は、「法」第12項第1号イにおいて、「事業主がその雇用する労働者の監護する乳児若しくは幼児及びその他の乳児若しくは幼児を保育するために自ら設置する施設又は事業主から委託を受けて当該事業主が雇用する労働者の監護する乳児若しくは幼児及びその他の乳児若しくは幼児の保育を実施する施設」において保育を行う事業であると規定されています。
問20

次の表は、平成 29 年及び平成 30 年の保育所等数と利用児童数を示したものである。この表を説明した記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

  1. A 平成 29 年と比較して、平成 30 年の保育所等数の合計は 2,000 か所以上増えている。
  2. B 平成 29 年と比較して、平成 30 年の保育所の数及び保育所の利用児童数はともに増加している。
  3. C 平成 29 年と比較して、平成 30 年の保育所の利用児童数は減少している一方で、幼保連携型認定こども園の利用児童数は増加している。
  4. D 平成 29 年と比較して、平成 30 年の特定地域型保育事業の数は増加しているが、特定地域型保育事業の利用児童数は減少している。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 ×
3 × ×
4 × ×
5 × × ×
正解は5
A.× 
2,000か所以上増えている、という記述が不適切です。表から保育所等数の合計は、平成30年は34,763か所、平成29年は32,793か所であることが分かります。その差は34,763-32,793=1,970で増加数は2,000には届いていません。

B.× 
ともに増加している、という記述が不適切です。表から保育所の数は、平成30年は23,524か所、平成29年は23,410か所で、あることが分かり、保育所の数は増えています。一方、保育所の利用児童数は、平成30年は2,088,406人、平成29年は2,116,341人で、平成30年の保育所の利用児童数は平成29年と比較して減少しています。

C.〇 
選択肢Bの解説の通り、保育所の利用児童数は、減少しています。また、幼保連携認定こども園の利用児童数は、平成30年は417,194人、平成29年は342,523人で増加しています。

D.× 
利用児童数は減少している、という記述が不適切です。表から特定地域型保育事業の数は、平成30年は5,814か所で増加しています。一方、特定地域型保育事業の利用児童数も、平成30年は71,719人、平成29年は56,923人で増加しています。
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