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保育士試験
過去問題
平成30年度(前期)

保育原理 平成30年度(前期)

問1

次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」の4「保育所の社会的責任」の一部である。( A )~( E )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

・ 保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、( A )を尊重して保育を行わなければならない。

・ 保育所は、( B )との交流や連携を図り、保護者や( B )に、当該保育所が行う保育の( C )を適切に説明するよう努めなければならない。

・ 保育所は、( D )の個人情報を適切に取り扱うとともに、( E )の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1 子どもの保護者の人権 地方自治体 内容 保護者や職員等 近隣住民
2 子ども一人一人の人格 地域社会 効果 保護者や職員等 保護者
3 子どもの保護者の人権 地域社会 内容 入所する子ども等 近隣住民
4 子どもの保護者の人権 地方自治体 効果 保護者や職員等 保護者
5 子ども一人一人の人格 地域社会 内容 入所する子ども等 保護者
正解は5
平成30年の保育所保育指針改定により、前「保育所保育指針」第1章「総則」4「保育所の社会的責任」は、現「保育所保育指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(5)「保育所の社会的責任」に変更されています。

・ 保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、( A:子ども一人一人の人格 )を尊重して保育を行わなければならない。
・ 保育所は、( B:地域社会 )との交流や連携を図り、保護者や( B:地域社会 )に、当該保育所が行う保育の( C:内容 )を適切に説明するよう努めなければならない。
・ 保育所は、( D:入所する子ども等 )の個人情報を適切に取り扱うとともに、( E:保護者 )の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
(5) 保育所の社会的責任
ア 保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、子ども一人一人の人格を尊重して保育を行わなければならない。
イ 保育所は、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に、当該保育所が行う保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
ウ 保育所は、入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱うとともに、保護者の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。
問2

次の文は、保育所における「保育のねらい及び内容」に関する記述である。「保育所保育指針」第3章「保育の内容」に照らして、適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 「養護」とは、子どもの身体の健康を図るために保育士等が行う援助や関わりである。
  2. B 「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助である。
  3. C 「ねらい」は、保育の目標をより具体化したものである。
  4. D 「内容」は、「ねらい」を達成するために、保育士等が計画に沿って子どもを指導する事項を示したものである。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 × ×
2 ×
3 × ×
4 × ×
5 × × ×
正解は3
「前保育所保育指針」第3章「保育の内容」は、現指針では第2章に記載がある。さらに「保育内容」のうち「養護」に関する記述は、第1章「総則」2「養護に関する基本的事項」に記載されています。保育所保育が「養護」と「教育」が一体となって行うものであることには変わりはありません。

A:× 保育における「養護」とは、「子どもの生命の保持及び情緒の安定を図る」ために保育士等が行う援助や関わりのことを指します。

B:◯ 記述の通りです。「教育」に関るねらいと内容は、乳児保育は「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」という視点から記載され、1歳以上は「健康、人間関係、環境、言葉、表現」の5領域の視点から記載されています。

C:◯ 記述の通りです。「保育の目標」とは、「現指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」の(2)のことです。

D: × 「保育所保育指針」では「内容」は「ねらい」を達成するために、「子どもの生活やその状況に応じて保育士等が適切に行う事項と、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を示したものである」と記載されています。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
この章に示す「ねらい」は、第1章の1の(2)に示された保育の目標をより具体化したものであり、子どもが保育所において、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、保育を通じて育みたい資質・能力を、子どもの生活する姿から捉えたものである。また、「内容」は、「ねらい」を達成するために、子どもの生活やその状況に応じて保育士等が適切に行う事項と、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を示したものである。

保育における「養護」とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり、「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助である。本章では、保育士等が、「ねらい」及び「内容」を具体的に把握するため、主に教育に関わる側面からの視点を示しているが、実際の保育においては、養護と教育が一体となって展開されることに留意する必要がある。
問3

次の文は、保育における人権の配慮に関する記述である。( A )~( C )にあてはまる適切な語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)第 9 条では、「児童福祉施設においては、入所している者の( A )、信条、社会的身分又は入所に要する費用を負担するか否かによって、( B )取扱いをしてはならない」とされており、この方針は、子どもの人権の配慮とともに「保育所保育指針」第 1 章「総則」において、保育所の( C )の一つとして明記されている。

【語群】
  • ア 国籍
  • イ 個性
  • ウ 社会的責任
  • エ 排除的
  • オ 倫理観
  • カ 差別的
  • キ 性別
  • ク 説明責任

 

(組み合わせ)
A B C
1
2
3
4
5
正解は2
設問は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第9条「入所した者を平等に取り扱う原則」に関する内容であり、「日本国憲法」第14条に基づいた基準です。また、現「保育所保育指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(5)「保育所の社会的責任」にも保育における人権の配慮に関する記載がされています。

「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)第9条では、「児童福祉施設においては、入所している者の( A:ア 国籍 )、信条、社会的身分又は入所に要する費用を負担するか否かによって、( B:カ 差別的 )取扱いをしてはならない」とされており、この方針は、子どもの人権の配慮とともに「保育所保育指針」第 1 章「総則」において、保育所の( C:ウ 社会的責任 )の一つとして明記されている。
 
問4

次の文は、保育の歴史についての記述である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

ドイツの教育者である( A )は、世界で最初の幼稚園(Kindergarten)の創設者である。主著である『人間の教育』(1826 年)の中で、幼児期においては( B )がこの時期の子どもの最も美しい表れだと主張した。彼は、幼児のための遊具(Gabe)を考案したが、これは、明治時代になって( C )の編集した『幼稚園法二十遊嬉』等によってわが国に紹介された。

 

(組み合わせ)
A B C
1 ルソー(Rousseau, J.-J.) 遊び 中村正直
2 フレーベル(Fröbel, F.W.) 作業 近藤真琴
3 ルソー(Rousseau, J.-J.) 無垢 関信三
4 ロック(Locke, J.) 作業 中村正直
5 フレーベル(Fröbel, F.W.) 遊び 関信三
正解は5
ドイツの教育者である( A:フレーベル(Fröbel,F.W.))は、世界で最初の幼稚園(Kindergarten)の創設者である。主著である『人間の教育』(1826年)の中で、幼児期においては( B:遊び )がこの時期の子どもの最も美しい表れだと主張した。彼は、幼児のための道具(Gabe)を考案したが、これは、明治時代になって( C:関信三 )の編集した『幼稚園法二十遊嬉』等によってわが国に紹介された。

ルソー(Rousseau,J-J.は、フランスで活躍した教育思想家です。『エミール』『社会契約論』を著したことで知られています。

ロック(Locke,J.)は、イギリスの哲学者であり、『教育に関する考察』の中で白紙説(タブラ・ラサ)を唱えました。

中村正直:明治時代の教育者です。また、洋学者でもありKindergartenを「幼稚園」と訳しました。

近藤真琴は、日本の教育家、思想家です。
問5

次の文のうち、「保育所保育指針」第3章「保育の内容」の(1)「養護に関わるねらい及び内容」のイ「情緒の安定」の一部として、正しいものを○、誤ったものを × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 一人一人の子どもが、安定感を持って過ごせるようにする。
  2. B 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。
  3. C 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
  4. D 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。
  5. E 一人一人の子どもの心身の疲れが癒されるようにする。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1 × ×
2 × ×
3 × × ×
4 × × ×
5 × × ×
正解は3
設問の「前保育所保育指針」第3章「保育の内容」1「保育のねらい及び内容」(1)「養護に関わるねらい及び内容」イ「情緒の安定」は、改訂後「現保育所保育指針」第1章「総則」2「養護に関する基本的事項」に記されています。

A:◯ 「保育所保育指針」第1章(2)「養護に関わるねらい及び内容」イ「情緒の安定」(ア)ねらい①に関する内容です。

B:× 「同指針」ア「生命の保持」(ア)ねらい①に関する内容です。

C:× 「同指針」ア「生命の保持」(ア)ねらい③です。

D:× 「同指針」ア「生命の保持」(ア)ねらい④です。 

E:◯ 記述は、「同指針」イ「情緒の安定」(ア)ねらい④であり、平成30年の改訂で「一人一人の子どもがくつろいで共に過ごし、心身の疲れが癒されるようにする」と記載されています。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
2 養護に関する基本的事項
(2) 養護に関わるねらい及び内容

ア 生命の保持
(ア) ねらい
① 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。
② 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。
③ 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
④ 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。

イ 情緒の安定
(ア) ねらい
① 一人一人の子どもが、安定感をもって過ごせるようにする。
② 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
③ 一人一人の子どもが、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにする。
④ 一人一人の子どもがくつろいで共に過ごし、心身の疲れが癒されるようにする。
問6

次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。 

【事例】

園庭で遊んだ後にお話し会が予定されている。お話し会の前に、トイレに行こうとしたT君(4歳)と、ちょうどトイレから出てきたS君(4歳)とが正面からぶつかってしまった。保育士が確認したところ、二人とも怪我はなく手当ての必要はなかった。T君とS君は泣きながら、相手のことを怒っている。

【設問】

「保育所保育指針」第1章「総則」の(2)「保育の方法」、第2章「子どもの発達」、第3章「保育の内容」の2「保育の実施上の配慮事項」に基づいた保育士の対応として、最も不適切なものを一つ選びなさい。

 

1 自分たちで解決することも大切なので、やりとりをそばで見守る。
2 二人の話を聴き、わざとぶつかったのではないこと、お互いに痛かったことを伝えるように促す。
3 T君とS君に、ぶつかったりしないように、周りに注意して行動するように伝える。
4 いつまでも怒っていないで、お互いに早く謝り仲直りをするように伝える。
5 二人の気持ちを受け止め、落ち着いたところで、お話し会が始まることを知らせ、参加するように促す。
正解は4
設問では前指針の項目が示されているが、以下の解説では、改訂後の「現指針」の項目で示すものとします。

1:◯ 「現指針」第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」(1)「保育全般に関わる配慮事項」ウにおいて、子どもが自ら働きかけ、試行錯誤しながら自分の力で解決しようとすることを見守る対応について示されています。

2:◯ 「現指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(3)「保育の方法」エにおいて、子どもの相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にすることについて示されています。

3:◯ 起きてしまったことに対しては、子どもの気持ちを受け止めながら支援を行い、以後危険を事前に回避できるような配慮が必要です。保育所における安全管理については、同(4)「保育の環境」イにも示されています。

4:× 双方の気持ちを受け止めることなく、謝って仲直りするようにせかすことは、保育者の対応として不適切です。

5:◯ 「現指針」第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」(1)「保育全般に関わる配慮事項」アに、一人一人の子どもの気持ちを受け止めて援助すること、と示されています。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
(3)「保育の方法」
エ 子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。
(4) 保育の環境
イ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。

第2章 保育の内容
4 保育の実施に関して留意すべき事項
(1) 保育全般に関わる配慮事項
ア 子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること。
イ 子どもの健康は、生理的・身体的な育ちとともに、自主性や社会性、豊かな感性の育ちとがあいまってもたらされることに留意すること。
ウ 子どもが自ら周囲に働きかけ、試行錯誤しつつ自分の力で行う活動を見守りながら、適切に援助すること。
エ 子どもの入所時の保育に当たっては、できるだけ個別的に対応し、子どもが安定感を得て、次第に保育所の生活になじんでいくようにするとともに、既に入所している子どもに不安や動揺を与えないようにすること。
オ 子どもの国籍や文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるようにすること。
カ 子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別などによる固定的な意識を植え付けることがないようにすること。
問7

次の文は、戦後の保育の歴史に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

1963(昭和 38)年に、( A )と厚生省の共同通知として「幼稚園と保育所との関係について」が発出された。この通知では、それぞれの機能の独自性を明示するとともに、「保育所のもつ機能のうち、教育に関するものは( B )に準ずることが望ましい」と示し、保育内容の統一化が図られた。そこで、( B )の改訂・告示を受けて、厚生省は、( C )年に「保育所保育指針」を公表した。ここでは、保育所保育の基本的性格について「( D )と教育が一体となって」と示されるとともに、子どもの発達上の特性、年齢別の保育内容、指導上の留意事項等の具体的な記載がなされ、最初の「保育所保育指針」として大きな役割を果たした。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 文部省 幼稚園教育要領 1965(昭和 40) 養護
2 内閣府 幼稚園教育要領 1975(昭和 50) 保護
3 内閣府 保育要領 1965(昭和 40) 保護
4 文部省 保育要領 1965(昭和 40) 養護
5 文部省 幼稚園教育要領 1975(昭和 50) 養護
正解は1
A:文部省
B:幼稚園教育要領
C:1965(昭和 40)
D:養護

保育所において教育に関するものは幼稚園教育要領に準じることとされ、保育内容の統一化が図られたとともに、幼稚園と保育所の独自性を明示することで互いの施設の関係調整を図りました。
1965(昭和40)年の保育所保育指針策定当初から養護と教育が一体的に行われるという原則は保育所保育において変わらず示されているものです。
問8

次の文は、3歳児クラスを担当する保育士のWさんが、自分の勤める保育所において行っている業務(行為)に関する記述である。「保育所保育指針」第4章「保育の計画及び評価」に照らし、適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A Wさんは、自らの保育実践を振り返るとともに、職員と話をしながら保育の質の向上のための自らの課題を明確にしている。
  2. B Wさんは、指導計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返り、自己評価に取り組んでいる。
  3. C Wさんは、自らの自己評価は個人的な実践の評価であるため、施設長や職員に開示していない。
  4. D Wさんは、子どもがその活動に取り組んだ過程よりも、何ができて何ができなかったかという結果を重視する考え方に立って保育の評価を行っている。
  5. E Wさんは、保育の内容の評価については、定期的に保護者に意見を聴く方法を取り入れている。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1 ×
2 × ×
3 × ×
4 × × ×
5 × × × ×
正解は3
「前保育所保育指針」第4章「保育の計画及び評価」は改訂後「現保育所保育指針」第1章「総則」3「保育の計画及び評価」(以下「同指針」)に記載されています。

A:◯ 記述の通りであり、「同指針」(4)「保育内容等の評価」ア「保育士等の自己評価」(ウ)に記載されています。

B:◯ 記述の通りであり、「同指針」(ア)に記載されています。

C:× 「施設長や職員に開示していない」は、不適切であり、施設長や職員で相互に話し合うことは職員全体の組織としての専門性を高めることに繋がっていくため大切なことです。

D:× 「同指針」(イ)により、「保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること」としています。

E:◯ 記述の通りであり、「同指針」イ「保育所の自己評価」(ウ)に記載されています。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
3 保育の計画及び評価
(4) 保育内容等の評価
ア 保育士等の自己評価

(ア) 保育士等は、保育の計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない。

(イ) 保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。

(ウ) 保育士等は、自己評価における自らの保育実践の振り返りや職員相互の話し合い等を通じて、専門性の向上及び保育の質の向上のための課題を明確にするとともに、保育所全体の保育の内容に関する認識を深めること。
問9

次の【Ⅰ群】及び【Ⅱ群】は、「保育所保育指針」第6章「保護者に対する支援」の一部である。【Ⅰ群】の記述に続くものを【Ⅱ群】の記述から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
  1. A 子育て等に関する相談や助言に当たっては、
  2. B 地域の子育て支援に関する資源を積極的に活用するとともに、
  3. C 子どもの利益に反しない限りにおいて、
【Ⅱ群】
  1. ア 保護者や子どものプライバシーの保護、知り得た事柄の秘密保持に留意すること。
  2. イ 保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者一人一人の自己決定を尊重すること。
  3. ウ 子どもの福祉を重視すること。
  4. エ 子育て支援に関する地域の関係機関、団体等との連携及び協力を図ること。
  5. オ 子どもと保護者の安定した関係に配慮して、保護者の養育力の向上に資するよう、適切に支援すること。

 

(組み合わせ)
A B C
1
2
3
4
5
正解は2
「前保育所保育指針」第6章「保護者に対する支援」は改訂後「現保育所保育指針」第4章「子育て支援」(以下「同指針」)に記載されています。

A:イ 記述の文は、「同指針」1「保育所における子育て支援に関する基本事項」(1)「保育所の特性を生かした子育て支援」アに該当し、「保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。」としています。

B:エ 記述の文は、「同指針」3「地域の保護者に対する子育て支援」(2)「地域の関係機関等との連携」アに該当し、「市町村の支援を得て、地域の関係機関との積極的な連携及び協働を図るとともに、子育て支援に関する地域の人材と積極的に連携を図るよう努めること」としています。

C:ア 記述の文は、「同指針」1(2)「子育て支援に関して留意すべき事項」イに該当し、「子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーを保護し、知り得た事柄の秘密を保持すること」としています。


保育所保育指針より抜粋

第4章 子育て支援
1 保育所における子育て支援に関する基本的事項
(1) 保育所の特性を生かした子育て支援
ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。

(2) 子育て支援に関して留意すべき事項
ア 保護者に対する子育て支援における地域の関係機関等との連携及び協働を図り、保育所全体の体制構築に努めること。
イ 子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーを保護し、知り得た事柄の秘密を保持すること。


3 地域の保護者等に対する子育て支援
(2) 地域の関係機関等との連携
ア 市町村の支援を得て、地域の関係機関等との積極的な連携及び協働を図るとともに、子育て支援に関する地域の人材と積極的に連携を図るよう努めること。
問10

次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】

保育室での遊びの際、1つのテーブルが小麦粉粘土遊びの場となっている。近くのテーブルにいるMちゃん(1歳4か月)は、まわりで子ども達が小麦粉粘土で遊ぶ様子が気になるようで、チラチラと見ている。他の子の手に小麦粉粘土がついている様子を見て、それはいやだと思うのか、テーブルに行くことはしない。Mちゃんは、しばらく前に指に絵の具をつけるスタンプ遊びを行ったときも、自分から絵の具を指につけることはなかった。Mちゃんは、苦手だと思う遊びには加わらないことが続いている。

【設問】

「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」、第3章「保育の内容」の(3)「3歳未満児の保育に関わる配慮事項」、第6章「保護者に対する支援」に照らし、Mちゃんの担当保育士の対応として適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

  1. A 何事も一度はやってみることが大事なので、小麦粉粘土のテーブルに座らせて小麦粉粘土を手に持たせてみる。
  2. B 他の子が楽しんでいる様子を見せて誘ってみるが、Mちゃんがやりたがらない様子であれば、その気持ちを受け止める。
  3. C 小麦粉粘土に限らず、砂や土、泥で遊ぶなど、保育所の遊びの中でいろいろな素材の感触を味わえるようにする。
  4. D Mちゃんの保護者に、Mちゃんは苦手だと思う遊びは自分からやらないが、まわりの子どもが遊ぶ様子を見るようになってきていると伝える。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 × ×
3 ×
4 × ×
5 × × ×
正解は3
改訂後、「前保育所保育指針」第2章「子供たちの発達」は無くなり、発達に関する事項は「現保育所保育指針」第2章「保育の内容」(以下「同指針」)に記載されています。

A:× 「同指針」4「保育の実施に関して留意すべき事項」(1)「保育全般に関わる配慮事項」アにより、「子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること」としています。

B:◯ 「同指針」2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」(3)「保育の実施に関わる配慮事項」ウに「自我が形成され、子どもが自分の感情や気持ちに気づくようになる重要な時期であることに鑑み、情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を尊重するとともに促していくこと」としています。

C:◯ 「同指針」イより、「探索行動が十分できるように、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整え、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れること」としています。

D:◯ 「保育所保育指針」第4章「子育て支援」2「保育所を利用している保護者に対する子育て支援」(1)「保護者との相互理解」アにより、「日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること」としています。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容

2 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容
(3) 保育の実施に関わる配慮事項
イ 探索活動が十分できるように、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整え、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れること。
ウ 自我が形成され、子どもが自分の感情や気持ちに気付くようになる重要な時期であることに鑑み、情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を尊重するとともに促していくこと。

4 保育の実施に関して留意すべき事項
(1) 保育全般に関わる配慮事項
ア 子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること。

第4章 子育て支援
2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
(1) 保護者との相互理解
ア 日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
問11

次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」の(3)「保育の環境」の一部である。( A )~( F )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. ・ 子ども自らが環境に関わり、( A )に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。
  2. ・ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の( B )環境や( C )の確保などに努めること。
  3. ・ 保育室は、温かな親しみと( D )となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。
  4. ・ 子どもが( E )を育てていくため、子ども自らが周囲の( F )と関わっていくことができる環境を整えること。

 

(組み合わせ)
A B C D E F
1 自発的 保健的 安全 くつろぎの場 人と関わる力 子どもや大人
2 意欲的 保健的 安全 くつろぎの場 生きる力 社会や文化
3 自発的 衛生的 人材 安心できる場 生きる力 子どもや大人
4 意欲的 衛生的 人材 くつろぎの場 人と関わる力 社会や文化
5 自発的 保健的 安全 安心できる場 人と関わる力 社会や文化
正解は1
A:自発的
B:保健的
C:安全
D:くつろぎの場
E:人と関わる力
F:子どもや大人

・ 子ども自らが環境に関わり、( A:自発的 )に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。
・ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の( B:保健的 )環境や( C:安全 )の確保などに努めること。
・ 保育室は、温かな親しみと( D:くつろぎの場 )となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。
・ 子どもが( E:人と関わる力 )を育てていくため、子ども自らが周囲の( F:子どもや大人 )と関わっていくことができる環境を整えること。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
(4) 保育の環境
保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがある。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、次の事項に留意しつつ、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。

ア 子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。

イ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。

ウ 保育室は、温かな親しみとくつろぎの場となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。

エ 子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。
問12

次の文のうち、「保育所保育指針」第1章「総則」の(2)「保育の方法」の一部として正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 子どもの生活リズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活の援助や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。
  2. B 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。
  3. C 子ども相互の関係作りや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を規律あるものにするよう援助すること。
  4. D 一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 × ×
3 × ×
4 × ×
5 × ×
正解は4
「前指針」第1章「総則」3「保育の原理」(2)「保育の方法」は、「現指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(3)に記されています。

A:× 「現指針」第1章「総則」1「保育所保育に関する基本原則」(3)「保育の方法」イの記述であるため、適切です。

B:◯ 同ウの記述であるため適切です。保育所保育指針解説では、乳幼児期の発達の特性や道筋を理解するとともに、「一人一人の子どもの発達過程と個人差に配慮し、育ちについて見通しをもちながら、実態に即して保育を行うこと」と記されています。

C: × 同エでは、子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を「効果あるもの」にするよう援助することと記されています。

D:◯ 同アの記述であるため適切です。保育所保育指針解説にも「保育に当たっては、一人一人の子どもの主体性を尊重し、子どもの自己肯定感が育まれるよう対応していくことが重要」と記されています。


保育所保育指針より抜粋

第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
(3) 保育の方法

保育の目標を達成するために、保育士等は、次の事項に留意して保育しなければならない。

ア 一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感をもって活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。
イ 子どもの生活のリズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。
ウ 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。
エ 子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。
オ 子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。
カ 一人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、様々な機会をとらえ、適切に援助すること。
問13

次の表は、「保育所保育指針」第3章「保育の内容」のねらいから作成したものである。表中の A ~ E にあてはまるア~カの記述の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. ア 保育所生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  2. イ 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
  3. ウ 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。
  4. エ いろいろな物の美しさなどに対する豊かな感性を持つ。
  5. オ 身近な事物を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。
  6. カ 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1
2
3
4
5
正解は3
「前保育所保育指針」第3章「保育の内容」は改訂後「現保育所保育指針」第2章「保育の内容」(以下「同指針」)に記載されています。

A:イ 「同指針」3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」(2)「ねらい及び内容」ア「健康」(ア)ねらい①に関する内容です。

B:ア 「同指針」イ「人間関係」(ア)ねらい①に関する内容です。

C:オ 「同指針」ウ「環境」(ア)ねらい③に関する内容です。

D:カ 「同指針」エ「言葉」(ア)ねらい②に関する内容です。

E:エ 「同指針」オ「表現」(ア)ねらい①に関する内容です。


保育所保育指針より抜粋
第2章 保育の内容
3 3歳以上児の保育に関するねらい及び内容
(2) ねらい及び内容

ア 健康
(ア) ねらい
① 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。

イ 人間関係
(ア) ねらい
① 保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。

ウ 環境
(ア) ねらい
③ 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。

エ 言葉
(ア) ねらい
② 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。

オ 表現
(ア) ねらい
① いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
問14

次の文は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63号)に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 第 34 条では、「保育所における保育時間は、一日につき8時間を原則とし、その地方における乳幼児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して、自治体の長がこれを定める。」とされている。
  2. B 第 35 条では、「保育所における保育は、保護者支援及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働大臣が定める指針に従う。」とされている。
  3. C 第 36 条では、「保育所の長は、常に入所している乳幼児の保護者と密接な連絡をとり、子育ての支援等について、その保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない。」とされている。
  4. D 第 36 条の2第2項では、「保育所は、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない。」とされている。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 × ×
3 ×
4 × × ×
5 × × × ×
正解は4
A:× 児童福祉施設の整備及び運営に関する基準34条に、「保育時間は、一日8時間を原則とし、その地方における乳幼児の保護者の労働時間や家庭の状況等を考慮して、保育所の長がこれを定める」と記載があります。

B:× 児童福祉施設の整備及び運営に関する基準35条に、「保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働大臣が定める指針に従う」と記載があります。

C:× 児童福祉施設の整備及び運営に関する基準36条に、「保育所の長は、乳幼児の保護者と密接な連絡をとり、保育の内容等について、保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない」と記載があります。

D:〇 児童福祉施設の整備及び運営に関する基準36条の2第2項に、「保育所は、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない」と記載があります。
問15

次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】

Kちゃんは2歳になったばかりである。母親は初めての子育てに奮闘している。そんな中、Kちゃんの母親は、同じクラスにおむつをはずし始めた子がいることを知る。Kちゃんは保育所でも家庭でもおむつを使っており、担当保育士からKちゃんのトイレット・トレーニングを始めるという話はまだない。しかし、母親は、Kちゃんのトイレット・トレーニングのことを意識し始める。早速、休みの日にKちゃんが午睡から起きた際などにおむつがぬれていないときは、トイレに座ってみるように声をかけて誘ってみるが、Kちゃんは「いや!いかない」と言ってトイレに座ろうとしない。また、別の日にトイレに誘ってみるが、Kちゃんはトイレに座らないことが続く。母親は、Kちゃんのトイレット・トレーニングをどのように進めていけばよいのかを担当保育士に相談してきた。

【設問】

「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」に示される発達過程や、第3章「保育の内容」の(1)「養護に関するねらい及び内容」、第6章「保護者に対する支援」に基づいた保育士の対応として、適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 

  1. A 「Kちゃんのおむつがはずれるよう、努力しているのですね」と母親に言葉をかける。
  2. B 保育所でトイレット・トレーニングを始めるまでは、家庭では進めないよう母親に伝える。
  3. C 保育所でのKちゃんの排泄の状況を伝え、トイレット・トレーニングをこれからどのように進めようと考えているのかを母親に伝える。
  4. D トイレット・トレーニングは家庭で進めるべきものなので、保育所では対応できないと母親に伝える。
  5. E トイレット・トレーニングを始める目安や、いつから開始するかは個人差が大きいことなど、保育所としての基本的な考えをクラス便りに載せる。

 

(組み合わせ)
A B C D E
1 ×
2 × ×
3 × ×
4 × × ×
5 × × ×
正解は2
設問では改訂前の前指針の項目が示されていますが、以下の解説においては、改訂後の現「保育所保育指針」の項目で示すものとします。

A:◯ 母親の家庭での子育ての姿を認め、保護者を励ますような支援であるため適切です。「保育所保育指針」第4章「子育て支援」1「保育所における子育て支援に関する基本的事項」(1)「保育所の特性を生かした子育て支援」アにおいても、「保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること」と記されています。

B:× トイレット・トレーニングの開始時期については、保護者と相談と協力の上で進めることが望ましいため、不適切です。同第2章「保育の内容」2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」(2)「ねらい及び内容」ア「健康」(ウ)「内容の取り扱い」④において、「生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ(略)、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること」と記されています。

C:◯ 事例ではトイレット・トレーニングに対して、母親が焦りや不安を感じている保護者の様子がうかがえます。そのため保育所でのKちゃんの排泄の状況を伝えたり、今後の方針について伝えることは適切です。同第4章「子育て支援」2「保育所を利用している保護者に対する子育て支援」(3)「不適切な養育等が疑われる家庭への支援」アにおいて、保護者に育児不安等が見られる場合には「保護者の希望に応じて個別の支援を行うよう努めること」と記されています。

D:× トイレット・トレーニングは、園と家庭とで共同で進めていく必要があるため不適切です。同(2)「保護者の状況に配慮した個別の支援」アにおいて、保護者の状況に配慮するとともに「子どもの福祉が尊重されるよう努め、子どもの生活の連続性を考慮すること」と記されています。

E:◯ トイレット・トレーニングに対する園の考えを保護者に伝える努力をしており、適切です。同(1)「保護者との相互理解」アにおいて、「様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること」と記されています。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
2 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容
(2) ねらい及び内容
ア 健康
(ウ) 内容の取扱い
④ 食事、排 泄 、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなど、生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行うようにし、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること。また、基本的な生活習慣の形成に当たっては、家庭での生活経験に配慮し、家庭との適切な連携の下で行うようにすること。

第4章 子育て支援
1 保育所における子育て支援に関する基本的事項
(1) 保育所の特性を生かした子育て支援
ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。
イ 保育及び子育てに関する知識や技術など、保育士等の専門性や、子どもが常に存在する環境など、保育所の特性を生かし、保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めること。

2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
(1) 保護者との相互理解
ア 日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
(2) 保護者の状況に配慮した個別の支援
ア 保護者の就労と子育ての両立等を支援するため、保護者の多様化した保育の需要に応じ、病児保育事業など多様な事業を実施する場合には、保護者の状況に配慮するとともに、子どもの福祉が尊重されるよう努め、子どもの生活の連続性を考慮すること。
(3) 不適切な養育等が疑われる家庭への支援
ア 保護者に育児不安等が見られる場合には、保護者の希望に応じて個別の支援を行うよう努めること。
問16

次の文は、「保育所保育指針」第4章「保育の計画及び評価」のオ「家庭及び地域社会との連携」の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

子どもの( A )を踏まえ、家庭及び地域社会と連携して保育が展開されるよう配慮すること。その際、家庭や地域の機関及び団体の協力を得て、地域の( B )、人材、行事、施設等の( C )を積極的に活用し、豊かな生活体験を始め( D )の充実が図られるよう配慮すること。

【語群】
  • ア 生きる力
  • イ 生活の連続性
  • ウ 小学校
  • エ 自然
  • オ 資源
  • カ 遊び
  • キ 文化財
  • ク 保育内容
  • ケ 今後の義務教育

 

(組み合わせ)
A B C D
1
2
3
4
5
正解は2
「前保育所保育指針」第4章「保育の計画及び評価」のオ「家庭及び地域社会との連携」は改訂後、「現保育所保育指針」第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」(3)「家庭及び地域社会との連携」に記載されています。

子どもの( A:イ 生活の連続性 )を踏まえ、家庭及び地域社会と連携して保育が展開されるよう配慮すること。その際、家庭や地域の機関及び団体の協力を得て、地域の( B:エ 自然 )、高齢者や異年齢の子ども等を含む人材、行事、施設等の( C:オ 資源 )を積極的に活用し、豊かな生活体験を始め( D:ク 保育内容 )の充実が図られるよう配慮すること。


保育所保育指針より抜粋

第2章 保育の内容
4 保育の実施に関して留意すべき事項
(3) 家庭及び地域社会との連携
子どもの生活の連続性を踏まえ、家庭及び地域社会と連携して保育が展開されるよう配慮すること。その際、家庭や地域の機関及び団体の協力を得て、地域の自然、高齢者や異年齢の子ども等を含む人材、行事、施設等の地域の資源を積極的に活用し、豊かな生活体験をはじめ保育内容の充実が図られるよう配慮すること。
問17

次の文は、倉橋惣三に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 児童文化に関心を持ち、『キンダーブック』の 1927(昭和2)年の創刊・編集に携わったり、「お茶の水人形座」を創設するなど人形芝居を保育界に広めた。
  2. B 子どもの生き生きしさや心持ちを大切にし、子どもの生活の中に保育者が教育目的を持ちながら近づき、その生活が充実するように導く「生活を生活で生活へ」という説を提唱した。
  3. C 1934(昭和9)年発刊の『幼稚園保育法真諦』において、子どもの興味に即した主題を持たせながらその生活や活動をさらに発展させるような保育方法として「誘導」の考え方を提唱した。
  4. D 戦後は教育刷新委員会の委員となり、「幼稚園教育要領」の作成に関わるなどし、戦後の新教育の建設に貢献した。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 × ×
3 × ×
4 × ×
5 × ×
正解は1
倉橋惣三は児童心理学者であり、東京女子高等師範学校附属幼稚園(現・お茶の水女子大学附属幼稚園)の主事を務め、日本の就学前教育における遊びや児童中心主義を確立した人物と称されています。

A:◯ 『キンダーブック』の 1927(昭和2)年に日本で初めての保育絵本として誕生しました。創刊当初の編集顧問であった倉橋は、武井武雄、北原白秋などの一流の画家や作家、童謡詩人らを編集委員に迎え、保育とつながりをもった継続性のある絵本作りを行いました。

B:◯ 「生活を生活で生活へ」とは、倉橋の著書『幼稚園保育法真諦』で述べられていることばあり、子どもたちのありのまま、さながらの生活をとらえて、子どもが日々の生活の中で自発的に活動できることが重要としています。

C:◯ 倉橋は、子どもが持つ「自らの内に育つ力」を大切にし、大人が教え導くのではなく、子どもが自発的に自由に遊ぶ中で「自己充実」を目指す教育方針である「誘導保育」を重視しました。

D:× 倉橋は「幼稚園教育要領」の作成に関わっていません。関与したのは1948(昭和23)年に文部省が作成した「保育要領ー幼児教育の手引きー」です。
問18

次の文のうち、「保育所保育指針」第7章「職員の資質向上」の一部として正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 子どもの最善の利益を考慮し、人権に配慮した保育を行うためには、職員一人一人の知識並びに保育所職員としての職務の自覚がその基盤とならなければならない。
  2. B 施設長は、職員及び保育所の課題を踏まえた保育所内外の研修を体系的、計画的に実施するとともに、保育観に関する職員への恒常的指導に努めなければならない。
  3. C 職員は、子どもの保育及び保護者に対する保育に関する指導が適切に行われるように、自己評価に基づく課題等を踏まえ、保育所内外の研修等を通じて、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上に努めなければならない。
  4. D 職員一人一人が課題を持って主体的に学ぶとともに、他の職員や地域の関係機関など、様々な人や場との関わりの中で共に学び合う環境を醸成していくことにより、保育所の活性化を図っていくことが求められる。

 

(組み合わせ)
A B C D
1 ×
2 × ×
3 × ×
4 ×
5 × ×
正解は5
「前保育所保育指針」第7章「職員の資質向上」は改訂後、「現保育所保育指針」第5章「職員の資質向上」(以下「同指針」)に記載されています。

A:× 「同指針」1「職員の資質向上に関する基本的事項」により、「子どもの最善の利益を考慮し、人権に配慮した保育を行うためには、職員一人一人の倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が基盤となる」としているため、記述の「知識」は不適切です。

B:× 「前保育所保育指針」第7章では、「保育間に関する恒常的指導」ではなく、「職員の自己研鑽に対する援助や助言」となっていました。なお、「現保育所保育指針」第5章2「施設長の責務」(1)では「施設長は、保育所の全体的な計画や、各職員の研修の必要性等を踏まえて、体系的・計画的な研修機会を確保するとともに、職員の勤務体制の工夫等により、職員が計画的に研修等に参加し、その専門性の向上が図られるよう努めらければならない」としています。

C:〇 記述の通りであり、「同指針」1「職員の資質向上に関する基本的事項」(1)「保育所職員に求められる専門性」に関する内容です。

D:〇 記述の通りであり、「同指針」3「職員の研修等」(1)「職場における研修」では、「職員が日々の保育実践を通じて、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上を図るとともに、保育の課題等への共通理解や協働性を高め、保育所全体としての保育の質の向上を図っていくためには、日常的に職員同士が主体的に学び合う姿勢と環境が重要であり、職場内での研修の充実が図られなければならない」としています。


保育所保育指針より抜粋

第5章 職員の資質向上
1 職員の資質向上に関する基本的事項
(1) 保育所職員に求められる専門性
子どもの最善の利益を考慮し、人権に配慮した保育を行うためには、職員一人一人の倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が基盤となる。
各職員は、自己評価に基づく課題等を踏まえ、保育所内外の研修等を通じて、保育士・看護師・調理員・栄養士等、それぞれの職務内容に応じた専門性を高めるため、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上に努めなければならない。


2 施設長の責務
(1) 施設長の責務と専門性の向上
施設長は、保育所の役割や社会的責任を遂行するために、法令等を遵守し、保育所を取り巻く社会情勢等を踏まえ、施設長としての専門性等の向上に努め、当該保育所における保育の質及び職員の専門性向上のために必要な環境の確保に努めなければならない。

(2) 職員の研修機会の確保等
施設長は、保育所の全体的な計画や、各職員の研修の必要性等を踏まえて、体系的・計画的な研修機会を確保するとともに、職員の勤務体制の工夫等により、職員が計画的に研修等に参加し、その専門性の向上が図られるよう努めなければならない。


3 職員の研修等
(1) 職場における研修
職員が日々の保育実践を通じて、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上を図るとともに、保育の課題等への共通理解や協働性を高め、保育所全体としての保育の質の向上を図っていくためには、日常的に職員同士が主体的に学び合う姿勢と環境が重要であり、職場内での研修の充実が図られなければならない。
問19

次の表は、年齢区分別の保育所等利用児童の人数と割合(保育所等利用率)を示したものである。この表を説明した記述として誤ったものを一つ選びなさい。ただし、ここでいう「保育所等」は、従来の保育所に加え、平成 27 年4月に施行した子ども・子育て支援新制度において新たに位置づけられた幼保連携型認定こども園等の特定教育・保育施設と特定地域型保育事業(うち2号・3号認定)を含むものとする。

 

1 平成 28 年4月の全年齢児の保育所等利用率は、前年と比べて高くなっている。
2 平成 28 年4月の保育所等利用率は、0歳児、1・2歳児、3歳以上児のすべてにおいて前年と比べて高くなっている。
3 平成 28 年4月の保育所等利用率において、前年と比べて一番比率が高くなったのは0歳児である。
4 平成 28 年4月の3歳未満児の保育所等利用率は、3歳以上児の保育所等利用率と比べて低い。
5 平成 28 年4月の全年齢児の保育所等の利用児童数と利用率は、両方とも前年と比べて高くなっている。
正解は3
厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(平成28年4月1日)」により、以下の通りとなります。
1:◯ 記述の通りであり、平成27年の37.9%から平成28年には39.9%に上昇しています。

2:◯ 記述の通りであり、0歳児は12.5%から14.2%、1・2歳児は38.1%から41.1%、3歳以上児は46.0%から47.0%にそれぞれ上昇しています。

3:× 保育所等利用率が前年と比べて一番比率が高くなっているのは、1・2歳児であり、前年より+3.0%です。

4:◯ 記述の通りであり、3歳未満児の保育所利用率は32.4%、3歳以上児の保育所利用率は47.0%です。

5:◯ 記述の通りです。
問20

次の文は、日本の保育の現状と課題に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. A 外国籍の子どもを保育所に受け入れて保育する際には、国籍や文化の違いを認め、互いの文化を理解し、それぞれの持つ文化の多様性を尊重する多文化共生の視点が求められる。
  2. B 小学校教育との連携は、主に学童保育の問題が中心的課題であり、保育と小学校以上の教育とは異質な面が多いため、学習面での連続性は考えず保育の独自性を追求することが今後の課題である。
  3. C 就学に向けて、保育所の子どもと小学校の児童との交流、職員同士の交流、情報共有や相互理解など小学校との積極的な連携を図ることが求められている。

 

(組み合わせ)
A B C
1 ×
2 ×
3 ×
4 × ×
5 × ×
正解は2
A:◯ 現「保育所保育指針」第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」(以下「同指針」)(1)「保育全般に関わる配慮事項」オに「子どもの国籍や文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるようにすること」と記されているため適切です。

B:× 「同指針」(2)「小学校との連携」アに「保育所保育が小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮」することが記されているため不適切です。

C:◯ 「同指針」イに「保育所保育において育まれた資質・能力を踏まえ、小学校教育が円滑に行われるように意見交換や研究の機会を設け、(略)保育所保育と小学校教育との円滑な接続を図ること」が記されているため適切です。
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