保育士試験
過去問題
平成30年度(後期)
保育の心理学 平成30年度(後期)
次の文は、子ども理解や発達観に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 保育における子ども理解は、子どもの発達観に大きく影響されており、発達過程論から発達段階論へと転換されてきている。
- B レイヴとウェンガー(Lave, J. & Wenger, E.)の正統的周辺参加論(1991)に基づくと、保育者の関わりや保育者と子どもとの関係が問われている。
- C 行動主義理論においては、保育者が行動を変容させる技法を用いて、適切な行動を形成すると考えられている。
- D 成熟主義理論では、子どもの生得的能力が自然に展開するので、保育者はできる限り関わりを控えるべきであるとしている。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | × | 〇 | × |
3 | × | 〇 | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | × | × |
次の文は、乳幼児期の言葉の発達に関する記述である。下線部分の心理学用語が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 機嫌のよいときに、喉の奥からやわらかい声を出すようになる。これを喃語という。大人に比べて喉は狭く舌を動かす範囲も狭いので、言葉を話すためには、喉や口腔機能などの発達も必要である。
- B 1歳半を過ぎ、自発的に表現できる単語数が 50 語を超えた頃に、急激に語彙が増える。これを語彙般化という。
- C 「ママ」は単語であるが、発話場面では状況に応じて「ママがいない」「ママのくつだ」のように、文と同じように様々な意味を相手に伝えている。これを一語文という。
- D 1歳頃、初語という意味のある言葉を話し始める。これらは「マンマ」「ブーブー」など発音しやすい言葉で、身近な人やものに関わる名詞が多い。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | × | 〇 | × | × |
4 | × | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × | 〇 |
機嫌の良いときに、乳幼児の出す声は「クーイング」です。クーイングは生後1か月ごろから始まります。
B:×
急激に語彙が増えることは「語彙爆発」といいます。語彙が爆発的に増えることで言語能力は飛躍的に高まっていきます。
C:〇
単語からその単語に付属する別の意味を伝えることができる言葉を一語文といいます。
D:〇
初語は乳幼児が初めて発する言葉の中で大人が意味を持つと解釈できるものを指し、多くの場合一語文です。乳幼児自体は意味を理解せず大人の反芻であることも多いですが、真似をしたり自ら言葉を発することで周囲とのコミュケーションが広がっていきます。
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- A 保育者と新生児や乳児の間には、生まれて間もない時期から同調的な相互作用がみられる。例えば、保育者が話しかけると、新生児はその話しかけに反応するように同期して自分の身体を動かす。
- B 新生児や乳児は、生まれて間もない時期から、人の声や顔などに特に敏感に反応し、なかでも他者の感情には敏感に反応する。例えば、新生児でも、他児の泣き声を聞くとつられて泣き出すことがある。
- C 新生児や乳児が大人の表情や動作と同様の反応を示す現象がある。例えば、向かい合って口を開けたり、舌を出したりする保育者の動きをじっと見ていた新生児が、しばらくすると、同じような動きをする。
- D 保育者と乳児の間では、言葉を話し始める前から、コミュニケーションが成立している。例えば、生後9か月頃になると、保育者の視線を追い、保育者が見ているものに目を向けることができるようになる。
【Ⅱ群】
- ア 情動伝染
- イ 共同注意
- ウ エントレインメント
- エ 共鳴動作
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | ウ | エ |
2 | ア | エ | ウ | イ |
3 | イ | ア | エ | ウ |
4 | ウ | ア | イ | エ |
5 | ウ | ア | エ | イ |
エントレインメントとは、同調傾向 やシンクロニーとも呼ばれ、保護者と新生児や乳児の間の同調的相互作用のことをいいます。
B:ア
乳児は自他の区別が曖昧なため、他者の感情に巻き込まれて情緒を動かされることがあります。問題にあるように、乳児が他の赤ちゃんの泣き声を聞いて泣き出すことを情動伝染といいます。
C:エ
共鳴動作とは、生後間もなく見られる動作で、無意識的に相手の行動を反復することをいいます。表情に関する模倣が中心となっています。
D:イ
共同注意とは、乳児が他の人と同じように物体や人物に対して注意を向けている状態のことをいいます。
次の文は、乳幼児期の自己の発達に関する記述である。初期から発達の順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 大人が自分の意図したように行動しないと、かんしゃくを起こすことがみられるようになる。
- B 一人ずつ順番に名前を呼ばれる場面では、自分の名前に対してのみ応える。
- C 自分の手や足の指をしゃぶる感覚を経験することによって、身体的自己を発見する。
- D 鏡に映った自分の姿を「自分である」と理解できるようになる。
(組み合わせ)
1 | A→B→C→D |
2 | B→A→D→C |
3 | B→C→D→A |
4 | C→A→B→D |
5 | C→A→D→B |
新生児期:身体的自己を発見します。
乳児期後半:大人が自分の意図したように行動しないと、かんしゃくを起こすことがあります。
1歳半頃:自分の名前に対してのみ応えます。
2歳前後:鏡に映った自分の姿を「自分である」と理解できるようになります。
次の文は、ピアジェ(Piaget, J.)の認知発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 物や現象の一部に注意が集中し、同時にいくつかの側面に注意を向けることが難しいことを脱中心化と呼んだ。
- B 自己中心性とは、他者の視点に自分が立ったり、自分と他者の相互関係を捉えたりすることが難しいことを意味する。
- C 特に幼児では自他未分化のため、自分の視点や経験にとらわれて、ものごとを判断してしまうと考えた。
- D 幼児期には、遊びの活動に伴ってリズミカルに繰り返される独語(ひとり言)が多く発せられるが、それは思考機能をもつことを実証した。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | × |
5 | × | × | × | 〇 |
自己中心的な考え方から脱することを脱中心化といいます。
B:〇
自分を中心に考え、他者の立場に立ったり、気持ちを察することが難しいことを自己中心性といいます。ピアジェは2~7歳ごろに現れる特徴の一つと述べました。
C:〇
ピアジェは、幼児では自他未分化のため、自分の視点や経験にとらわれてものごとを判断してしまうと考え、自身の経験や視点にとらわれることは「わがまま」と同一のものではないことも強調しています。
D:×
ピアジェは、独言は子どもの未熟性に伴うもので自己中心性の表れの一つであると考えていました。したがって思考機能を持つものとしては捉えていませんでした。
次の文は、「保育所保育指針」(厚生労働省告示第 117 号平成 29 年3月 31 日)第4章「子育て支援」の(1)「保護者との相互理解」の一部である。( A )〜( E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- ・ ( A )を活用し子どもの日々の様子の( B )、保育所保育の( C )などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
- ・ 保育の活動に対する( D )は、保護者の子育てを( E )に寄与することから、これを促すこと。
【語群】
- ア 意図の説明
- イ 行事や特別な催しなどの機会
- ウ 積み重ねと発達過程
- エ 伝達や収集
- オ 日常の保育に関連した様々な機会
- カ 子ども理解
- キ 個別に配慮した実践
- ク 特性を生かした支援
- ケ 保護者の積極的な参加
- コ 自ら実践する力の向上
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | イ | ウ | ア | ケ | キ |
2 | イ | ウ | ク | カ | キ |
3 | イ | エ | ア | ケ | コ |
4 | オ | ウ | ク | カ | キ |
5 | オ | エ | ア | ケ | コ |
B:エ 伝達や収集
C:ア 意図の説明
D:ケ 保護者の積極的な参加
E:コ 自ら実践する力の向上
「保育所保育指針解説」において、保護者との相互理解手段や機会として、連絡帳、保護者へのお便り、送迎時の対話、保育参観や保育への参加、親子遠足や運動会などの行事、入園前の見学、個人面談、家庭訪問、保護者会などが例にあげられており、このような手段や機会を子育て支援に活用する際には、保護者の子育てに対する自信や意欲を支えられるように、内容や実施方法を工夫することが望まれる、と記されています。
「保育所保育指針」第4章「子育て支援」2「保育所を利用している保護者に対する子育て支援」(1)「保護者との相互理解」参照。
保育所保育指針より抜粋
第4章 子育て支援
2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
(1) 保護者との相互理解
ア 日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めること。
イ 保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与することから、これを促すこと。
次の文は、乳児期の微細運動の典型的な発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A ガラガラなどのおもちゃを両手に持たせると、持っていられるようになるのは3〜4か月頃、自発的におもちゃに手を伸ばすようになるのは4〜5か月頃である。
- B 6〜7か月頃には、小さな物を5本の指を全部使って引き寄せてつかもうとし、8〜9か月頃には、親指と人差し指の2本だけでつまんで持ち上げることができるようになる。
- C 6か月頃には、両手に持った物を一方の手に持ち替え、また両手で持って、次にはもう一方の手へという持ち替えを盛んに行う。
- D 満1歳を過ぎると、ティッシュを繰り返し取り出したり、複数の積み木を寄せ集めたりすることがみられるようになる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | × |
5 | × | × | 〇 | 〇 |
3~4か月頃は、おもちゃを両手に持たせると持っていられるようになり、手を出して物をつかもうとします。5か月頃になると両手を使って自分で物をつかむようになり、目についた物は何でもつかもうとします。
B:×
親指と人差し指の2本だけでつまんで持ち上げることができるようになるのは、9か月以降です。6~7か月頃では、小さな物を5本の指で引き寄せてつかもうとします。
C:〇
記述の通りです。
D:×
記述の行為ができるようになるのは、10か月ごろです。この頃には、指を1本ずつ動かせるようになります。
次の文は、乳児の泣きへの対応に関する記述である。( A )〜( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
乳児は泣くことで「不快」と訴えると、保育者が状況を「快」に変えるという繰り返しが( A )につながる。周囲の安全を全身で感じ保育者の温かい対応に喜び、次々と( B )を出そうとする。その( B )を確実に読み取り、適確に応えることが人と関わろうとする意欲を育むことになり、( C )と呼ばれる生涯の心の在り方の基本が根づくことになる。重要なことは、乳児の( B )に応えることが保育者の喜びともなることであり、それは快感情の共有であり、( D )の原型である。
【語群】
- ア 安心感
- イ 充実感
- ウ サイン
- エ 叫喚
- オ 基本的信頼
- カ 自尊心
- キ ターン・テイキング
- ク 会話
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ウ | オ | キ |
2 | ア | ウ | オ | ク |
3 | ア | エ | カ | ク |
4 | イ | ウ | オ | キ |
5 | イ | エ | カ | キ |
B:ウ サイン
C:オ 基本的信頼
D:ク 会話
乳児は泣くことで「不快」と訴えると、保育者が状況を「快」に変えるという繰り返しが( 安心感 )につながる。周囲の安全を全身で感じ保育者の温かい対応に喜び、次々と( サイン )を出そうとする。その( サイン )を確実に読み取り、適確に応えることが人と関わろうとする意欲を育むことになり、( 基本的信頼 )と呼ばれる生涯の心の在り方の基本が根づくことになる。重要なことは、乳児の( サイン )に応えることが保育者の喜びともなることであり、それは快感情の共有であり、( 会話 )の原型である。
・キ ターン・テイキング:ボールを近づけると押し返すなどのやりとりのことです。
次の文は、スクリプトについての記述である。( A )〜( D )の語句が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
スクリプトとは、日常的なできごとに関する(A 知識構造)の一種であり、特定の行動について、そこに含まれる事象や行為が(B 時間的・空間的)に表現される。例えば「レストランでの食事」という場面における行為としては、店に入る、注文する、食事をする、支払いをする、店を出るというように(C 対比的)に生起する一連の典型的な場面と行為が考えられる。スクリプトでは、このような一連の行為が、登場人物や小道具類などと共に生起する順に(D 水路づけ)され、スロットを埋めるような形で表象されていると仮定される。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | × | × |
2 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
3 | × | 〇 | × | 〇 |
4 | × | 〇 | × | × |
5 | × | × | 〇 | × |
B:◯ ある特定の場面で、どの様なことが行われるかを時系列的に表現したものです。
C:× 「対比的」ではなく、「因果的」です。
D:× 「水路づけ」ではなく「文脈づけ」です。「水路づけ」とは、人間の趣味や習慣などある種の行動パターンが狭い範囲に限定されていく過程のことをいいます。
次の文は、子育てへの文化の影響に関する記述である。( A )〜( F )にあてはまる語句の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
日本の子育ては親子の( A )を重視し、役割からなる社会の枠組を素直に受け入れることができるようになることを強調する。そして( B )を子どもが自然と身につけることを理想とし、子どもに( C )を促し、それに基づいて努力することを重視する。
これに対して、例えばアメリカの中産階級の子育ては子どもの( D )を重視し、社会の枠組にしばられず、個人の思考に基づいて( E )を強調する。そして、( B )を子どもに明確に教えることや子どもの( F )を高めることを重視する、といった文化による違いがみられる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | F | |
1 | 情緒的関係 | 社会的規範 | 選択すること | 独立的思考 | 反省すること | 自尊心 |
2 | 独立的思考 | 社会的規範 | 情緒的関係 | 反省すること | 選択すること | 自尊心 |
3 | 自尊心 | 情緒的関係 | 反省すること | 独立的思考 | 選択すること | 社会的規範 |
4 | 情緒的関係 | 反省すること | 選択すること | 自尊心 | 独立的思考 | 社会的規範 |
5 | 情緒的関係 | 社会的規範 | 反省すること | 独立的思考 | 選択すること | 自尊心 |
次の文は、ある発達理論に関する記述である。( A )〜( E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
教育と心的機能の発達の相互作用に関する理論の中で、( A )は、2つの発達水準を区別することができると提唱した。すなわち、問題解決の場面で子どもが自力で解決できる既に( B )水準と、大人の援助や指導によって解決が可能となる( C )水準である。この2つの発達水準の差の範囲を( D )と呼んだ。( E )はこの範囲に対してなされなければ子どもの発達に貢献できないし、また、教育は( D )をつくりだすように配慮しなければならない。
【語群】
- ア キャンポス(Campos, J.J.)
- イ ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)
- ウ 成熟しつつある
- エ 完成した
- オ 誘導的働きかけ
- カ 発達の最近接領域
- キ 教育的働きかけ
- ク 固有の知識領域
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | ア | ウ | エ | カ | オ |
2 | ア | ウ | エ | ク | オ |
3 | イ | ウ | エ | カ | オ |
4 | イ | エ | ウ | カ | キ |
5 | イ | エ | ウ | ク | キ |
「ヴィゴツキー」は、2つの発達水準を発達理論において提唱しています。
B:エ
「完成した水準」とは、2つの水準のうち、片方は完成したレベルのものであり自力で解決することが可能です。
C:ウ
「成熟しつつある」とは、2つの水準の解決が自分でできないレベルのものです。大人の援助や補助が必要です。
D:カ
「発達最近接領域」は、子どもの発達において成熟途中の過程を意味します。
E:キ
「教育的働きかけ」は、子どもが潜在的な力を発揮できるように各子どもに合わせた自力でできるレベルを把握することが重要です。
次の文は、知能に関する理論の記述である。この理論を提唱した人物として正しいものを一つ選びなさい。
人の知能として、すべての活動に共通する知能というものは想定せず、少なくとも8つの異なる知能が存在すると考えている。これらの8つの知能は独立してはいるものの、例えば作文を書くことは言語的知能が関わる活動であると同時に、読み手や書き手により書き方を調整するといった個人間知能や、何を伝えたいかを明確にする個人内知能とも関係する。
1 | バルテス(Baltes, P.B.) |
2 | サメロフ(Sameroff, A.J.) |
3 | ガードナー(Gardner, H.) |
4 | ロッター(Rotter, J.B.) |
5 | モレノ(Moreno, J.L.) |
バルテスは、ドイツ出身の心理学者であり、人間は一生を通してどのような発達をしていくのかという「生涯発達心理学」を提唱しました。
2:×
サメロフは、遺伝と環境の相互作用から性格は形成されるという「相乗的相互作用説」を提唱しました。
3:〇
記述の内容を提唱したのはガードナーであり、8つの異なる知能を想定した「多重知能」を提唱しました。
4:×
ロッタ―は、ある結果の原因を何に帰属させるのかという「原因帰属理論」を提唱しました。
5:×
モレノはアメリカの精神科医・理論家・教育者であり、サイコドラマ(心理劇)、ソシオメトリーを提唱したことで知られています。
次の文は、中年期の特徴に関する記述である。(a)〜(d)の下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
中年期は人生の最盛期と捉えられてきたが、(a)1980 年代以降では中年期に大きな変化が生じるという見方が受け入れられるようになっている。その変容としては、(b)身体的変化、心理的変化、家族における変化のほか、職業における変化がある。例えば、家族のライフサイクルという視点からは、(c)中年期の女性には、「空の巣症候群」という、子どもの親離れに伴う問題がみられる。こうした背景から、(d)厚生労働省の平成 27 年の調査によると、パートナーとして親密な関係を築いてこなかったために、同居年数 20 年以上の別居が急増していると考えられる。
(組み合わせ)
a | b | c | d | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | × |
4 | × | 〇 | 〇 | × |
5 | × | × | × | 〇 |
ユングが中年期のことを人生の正午ととらえたのは1933年であり、1980年代以前から中年期の変化については注目されていたと言えます。
b:◯
中年期は身体的老化が始まる一方で、ライフサイクルにおいて、仕事では上司や管理職といった立場に変わったり、家庭では子どもが思春期に入る、親の介護が必要になるなど様々な心理的変化が起こる時期です。
c:◯
「空の巣症候群」はひな鳥が巣立った「空の巣」から例えられた言葉で、子どもが自立したり、結婚したりしたときに、多くの中年女性が憂うつで不安になったりする苦しみの一般的な信念を表します。
d:×
厚生労働省「平成30年 我が国の人口動態(平成28年までの動向)」における同居年数別の離婚件数では、同居20年以上の夫婦の離婚は38,539組となっており、平成以降横ばいのため、急増しているとはいえません。
次の基本的生活習慣の形成に関する【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
- A 偶然にジャンパーのチャックを閉めることができた時を捉えて、保育者が「すごーい。できたね」とほめることを繰り返すと、じきに自分でジャンパーのチャックを閉めることができるようになった。
- B 「靴下をはく」という行動を、足が入るように靴下を広げる、つま先を靴下の中に入れる、靴下をかかとまで引っ張る、靴下をかかとから上まで引き上げる、という動作に分ける。
- C 立ったまま、ズボンをはこうとして、ズボンの片方に足を2本入れた。もう一度試したら前後逆になった。今度は床に座ってはいたら足が1本ずつ入り、はけた。
- D トレーナーの後ろ前が分からないので、着る時には保育者が、そのまま頭と手を入れたら着られるような向きにトレーナーを床に置くことを繰り返すと、じきにトレーナーの前後が分かり、一人で着ることができるようになった。
【Ⅱ群】
- ア 足場づくり
- イ 強化
- ウ 試行錯誤
- エ 課題分析
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | ウ | エ |
2 | ア | ウ | エ | イ |
3 | イ | ア | ウ | エ |
4 | イ | エ | ア | ウ |
5 | イ | エ | ウ | ア |
子どもをほめることで、自分でしようという意識が強化され、できるようになります。
B:エ
靴下をはくという動作を子どものレベルに合わせて段階に分けた課題(課題分析)を設定することでできるようになります。
C:ウ
子どもが自ら考え自分でいろいろ試してみること(試行錯誤)でできるようになります。
D:ア
達成するためのヒント(足場づくり)を繰り返し与えることで子どもは自ら学びできるようになります。
次の文は、保育におけるグループ編成についての記述である。( A )〜( D )にあてはまる語句の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
- ・ 保育士は( A )に応じて、比較的少人数から大きい規模の編成まで、様々な大きさのグループを編成する。
- ・ 幼児の主体的な活動である遊びは、他児との関わりの中で深まり、豊かになる。そのため保育士には、( B )を生かしたグループを編成しながら、人と関わる力を育てていくようにすることが求められている。
- ・ ( C )に応じたグループ活動のように保育士の裁量によってグループを編成することもある。
例えば、劇や表現遊びのような活動では、技能や力、パーソナリティなどを考慮して編成する。 - ・ 発達には個人差があるので、グループ内で様々な圧力や緊張が生じ、時には特定の子どもを排除しようとする動きが生ずることがある。こうした( D )を配慮したグループの編成を、保育士は求められることもある。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 年齢・月齢 | カリキュラム | グループダイナミクス | 一人一人 |
2 | グループダイナミクス | 年齢・月齢 | 一人一人 | カリキュラム |
3 | 年齢・月齢 | 一人一人 | カリキュラム | グループダイナミクス |
4 | カリキュラム | 一人一人 | グループダイナミクス | 年齢・月齢 |
5 | カリキュラム | グループダイナミクス | 一人一人 | 年齢・月齢 |
B:一人一人
C:カリキュラム
D:グループダイナミクス
グループダイナミックスとは、場の理論のことであり、社会福祉援助技術の集団援助技術の理論の1つとして提起されたものをいいます。集団と個人との関係、ある集団とある集団との関係についての法則を実証的な方法によって明らかにしました。
次の2歳児の【事例】を読んで、以下の【設問】に答えなさい。
【事例】
Gちゃん(男児)の「ダメだよー!」の声が響き、保育士が行ってみると「Hちゃん(男児)が取っちゃったよー」と保育士に訴える。ブロックの中でも縦に長い形のものが人気で、よく取り合いになっている。「せんせい、Hちゃんは貸してっていわなかったよ!」とGちゃんは言う。Hちゃんはまずいなーという困った表情でいる。保育士が「Gちゃん、Hちゃんはね、これがとっても欲しかったけれど、貸してって言えなかったみたいなの。ごめんね。でも、これ、違う色ならもう一つあるから、Hちゃんに貸してくれる?」と聞くと、「いいよー!」とGちゃんは快く承諾した。そしてHちゃんはニコニコ顔になった。「Gちゃんが貸してくれるって。優しいね。こういうときHちゃんは何て言うのかなあ?」と聞くと、Hちゃんは「ありがとう!」と元気な声で叫んだ。
【設問】
次の文のうち、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 相手が自分と同じように「思いをもつ」存在であることに気づくように援助する。
- B 2歳児なりに相手に歩みよることも必要であることを経験する。
- C 子ども同士のトラブルは仲間関係の形成に望ましくないため、避ける配慮が必要である。
- D 2歳児の表現を、保育士は補い代弁し、「仲立ち」する必要がある。
- E 2歳児なりに自分の欲求をあくまで自分で解決しなくてはいけないことを経験する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × |
3 | 〇 | × | × | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | × | 〇 |
5 | × | × | 〇 | × | 〇 |
B 〇
C ×
トラブルであっても、子どもにとっては経験の1つです。したがって必ずしも避けるべきとは言えません。
D 〇
E ×
2歳児では、まだ保育者が仲介役として関わることが求められます。したがって、事例にあるように保育者が子どもの気持ちを代弁し、仲立ちをする行為は適切といえます。
次の文は、ペアレントトレーニングに関する記述である。( A )〜( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
ペアレントトレーニングとは、応用行動分析学や( A )の考え方を基礎にして、養育者が( B )に関するより適切なスキルを獲得するためのプログラムである。( C )やモデリングやホームワークといった積極的なワークから構成される。
【語群】
- ア 音楽療法
- イ 行動療法
- ウ 子育て
- エ 学習
- オ コミュニケーション
- カ ロールプレイ
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ア | イ | カ |
2 | ア | ウ | オ |
3 | イ | ウ | カ |
4 | イ | エ | カ |
5 | ウ | エ | オ |
・ロールプレイ:自己の発見や、問題の解決を目的とし、現実に近いある場面を設定し、ある役割を自発的・即興的に演じることをいいます。これまでの自分の在り方や相手との関係の振り返りです。
・モデリング:スキルのモデルを示し、それを観察させ、模倣させ学ばせることをいいます。不適切な振舞いを見せてどこに間違いがあるかを考えさせる場合もあります。
次の文は、子どもの成長に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A ヒトの脳の発達は、可塑性(変化できる力)が強いため、認知・言語、社会・情緒的発達には、感受期(脳の発達に対して経験の影響が特に強い時期)は存在しない。
- B 環境的要因が種々のパーソナリティ要素の形成に影響を与える強さは、遺伝的要因より圧倒的に強い。
- C 月齢5か月の子どもが、見知らぬ人の関わりに笑顔で応えた場合、無差別的愛着と推測され、愛着形成の問題を懸念する必要がある。
- D 子どもが幼児期までに聞いている言葉の数の総数は、環境によって大きな差が生じるが、この差は9、10 歳での読字理解や言語テストの結果に影響を与える。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
3 | 〇 | × | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | × | 〇 |
感受期(臨界期)とは、脳の中で記憶したり感じたりする神経回路が、外界からの刺激によって集中的に作られたり、神経回路の組み換えが盛んに行われる時期のことをいいます。感受期までに一度も使われなかった脳細胞は、一生必要のないものと判断されその後の成長が望めないという特徴があります。
B:×
強く影響を与えることもあるが、形成においては環境的要因と遺伝的要因どちらもそれぞれ影響するため、すべてにおいて環境的要因が圧倒的に強いとは限りません。
C:×
5か月頃は誰にでも笑顔で応える時期であり、愛着形成のプロセスでもあります。なお、無差別的愛着とは初対面の人にも警戒心なく近づき、過剰になれなれしく接するなど脱抑制型対人交流障害等における行動が挙げられます。
D:〇
記述通りであり、乳幼児期に聞いている言葉が豊富であるほど、その後の言語の発達に強く影響されます。
次のA〜Dのうち、乳幼児期における愛着の形成が影響を与える社会・情緒的発達の領域として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 自己概念
- B 友達関係
- C 感情の理解の能力
- D 感情の調節能力
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | × | 〇 |
4 | × | 〇 | × | × |
5 | × | × | 〇 | × |
乳幼児期の心の発達には、愛着の形成が大前提とされ、愛着が形成されることで、子どもの人間に対する基本的信頼感を育むことができ、その後の心の発達、人間関係に大きく影響するとされています。
そのため、選択肢A~Dの自己概念、友達関係、感情の理解の能力、感情の調節能力すべてに影響があると考えられます。
保育士が保育所嘱託の児童精神科医に対して、担当児についてのコンサルテーションを行う際に必要な情報として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 年齢・性別
- B 家族構成
- C 気になる行動
- D 保育所でのアセスメント
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × | × |
選択肢A~Dはどれも適切です。年齢・性別、家族構成、気になる行動、保育所でのアセスメントは、嘱託医への相談に必要な情報となります。
支援を求める者が、これからどうしたいと思っているのか(主訴)、対象の特性がどのように主訴に関わっているのかを様々な情報をもとに総合的・多面的に判断し、見たてることを保育アセスメントといいます。
嘱託医に担当児についてのコンサルテーションを行う場合は、嘱託医に相談するなどし、保護者に伝えるなどの適切な対応を図る必要があります。
発達過程論から発達段階論へと転換されているとはいえません。「発達段階論」とは、人間は生涯を通して発達し、どの段階においてもクリアすべき課題とクリアするための障害となるものが存在するという考え方です。子どもならではの発達特性を理解し、発達段階を意識することも重要ですが、保育所保育指針においても、保育の方法やねらいにおいて、子どもの発達について理解し、一人一人の「発達過程」に応じて保育することの重要性が記載されています。
B:◯
正統的周辺参加の理論は、ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」等の影響を受けてJ. レイヴとE.ウェンガ-が展開した学習理論です。保育者が模範を示し、子どもがやってみてからアドバイスを行い、できる範囲で支援していくことにより、効果的に学習を進められるという考え方です。
C:◯
行動主義理論は、ワトソン(Watson,J.B.)によって唱えられた教育理論です。また、人の行動は遺伝ではなく環境の影響を受けるという環境主義を唱えています。
D:×
成熟主義理論は、ゲゼル(Gesell,A.L.)が唱えた発達における遺伝説の代表的理論です。子どもが本来持つ能力の内的な成熟をきたすには、成長段階である「レディネス(心身の準備性)」ができるのを待つことが重要とし、必要な段階で保育者がふさわしい課題を与えることとしています。