保育士試験
過去問題
平成29年度(後期)
社会的養護 平成29年度(後期)
次の文は、ある児童福祉施設の設立に携わった人物の著書である。この人物として正しいものを一つ選びなさい。
私たちのねがいは、重症な障害をもったこの子たちも、立派な生産者であるということを、認めあえる社会をつくろうということである。「この子らに世の光を」あててやろうというあわれみの政策を求めているのではなく、この子らが自ら輝く素材そのものであるから、いよいよみがきをかけて輝かそうというのである。「この子らを世の光に」である。この子らが、うまれながらにしてもっている人格発達の権利を徹底的に保障せねばならぬということなのである。
1 | 高木憲次 |
2 | 野口幽香 |
3 | 留岡幸助 |
4 | 堀文次 |
5 | 糸賀一雄 |
次の文は、「児童福祉法」の社会的養護に関する条文の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
児童及びその保護者の( A )状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において( B )に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な( C )環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 心身の | 継続的 | 家庭的 |
2 | 経済的な | 継続的 | 家庭的 |
3 | 心身の | 継続的 | 施設 |
4 | 経済的な | 一時的 | 施設 |
5 | 心身の | 一時的 | 施設 |
「児童福祉法」第3条の2 参照。
次の文は、「児童の権利に関する条約」第 20 条の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
一時的若しくは恒久的にその( A )環境を奪われた児童又は児童自身の( B )にかんがみその( A )環境にとどまることが認められない児童は、( C )が与える( D )の保護及び援助を受ける権利を有する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 養育 | 社会的養護 | 社会 | 最低限度 |
2 | 家庭 | 最善の利益 | 国 | 特別 |
3 | 家庭 | 社会的養護 | 社会 | 特別 |
4 | 家庭 | 最善の利益 | 社会 | 最低限度 |
5 | 養育 | 最善の利益 | 国 | 最低限度 |
「児童の権利に関する条約」第20条第1項 参照
次の文は、社会的養護における子どもの権利擁護の取り組みに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 児童養護施設等の入所児童に対し、権利について正しく理解できるよう、「子どもの権利ノート」等を用い、わかりやすく説明することが求められている。
- B 利用者からの苦情を適切に解決するため、社会福祉事業経営者は施設内に苦情の相談窓口を設け、第三者の協力を得るなどして解決に努めることとされている。
- C 施設職員による被措置児童等虐待については、市町村において、子ども本人からの届出や周囲の者からの通告を受け付け、調査等の対応をすることが「児童虐待の防止等に関する法律」で法定化されている。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × |
3 | 〇 | × | 〇 |
4 | × | 〇 | × |
5 | × | × | 〇 |
B 〇 適切です。
C × 不適切です。
「児童虐待の防止等に関する法律」に記述のような規定はありません。施設職員による被措置児童等虐待については「児童福祉法」に規定されており、通告の受付や対応は都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所、都道府県の行政機関、都道府県児童福祉審議会も行うと規定されています。利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならないものとされています。
次の文は、社会的養護の施設等における第三者評価に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 第三者評価を受審するに当たっては、あらかじめ、第三者評価の評価基準に基づく自己評価を行うことが求められている。
- B 第三者評価を受審する義務がある施設においては、第三者評価を3か年度に1回以上受審しなければならない。
- C 児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)における第三者評価の受審は、努力義務である。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | × | 〇 |
3 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | × |
5 | × | × | × |
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
A、B「社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について」参照
C「児童福祉法施行規則」第36条の23参照
次の文は、「里親及びファミリーホーム養育指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)に示された家庭養護のあり方の基本に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 一定一律の役割、当番、日課、規則を養育者が作り、それらを子ども達に厳守させることは、子どもたちに安心・安定した家庭生活を提供できることになる。
- B 地域の普通の家庭で暮らすことで、子どもたちは養育者自身の地域との関係や社会生活に触れ、生活のあり方を地域との関係の中で学ぶことができる。
- C 養育者はこれまで築き上げてきた独自の子育て観を優先することが大切であるため、他者からの助言に耳を傾けることは、これまでの養育に対して自信を失うことになるため避けた方がよい。
- D 里親とファミリーホームが社会的養護としての責任を果たすためには、外からの支援を受けることが大前提である。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | × | 〇 | × |
3 | × | 〇 | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | × | 〇 |
「里親及びファミリーホーム養育指針」では、5つの要件を満たしていなければならない「家庭養護」があります。
①一貫かつ継続した特定の養育者の確保
②特定の養育者との生活基盤の共有
③同居する人たちとの生活の共有
④生活の柔軟性「一定一律の役割、当番、日課、規則、行事、献立表は、家庭になじまない。」としています。
⑤地域社会に存在
B 〇 適切です。
C × 不適切です。
「里親及びファミリーホーム養育指針」において、「養育者は独自の子育て観を優先せず、自らの養育のあり方を振り返るために、他者からの助言に耳を傾ける謙虚さが必要である」としています。
D 〇 適切です。
次の文は、「母子生活支援施設運営指針」(平成 24 年3月 厚生労働省)における支援に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 母親と子どもがそれぞれ抱える個別の課題に対して、目的や目標を明確にした合理的で計画的な一貫した専門的支援を行う。
- B 母親と子どもの関係を構築するための保育、保育所に入所できない子どもの保育や早朝・夜間・休日等の保育、子どもの病気・けが等の際の保育、母親が体調の悪いときの保育等、ニーズに応じた様々な施設内での保育支援を行う。
- C 資料等を使いながら必要な手続きなどについて説明を行うが、職員が機関等への同行及び代弁をすることは自立支援の妨げになるため行わない。
- D 入所初期に生活用具や家財道具等の貸し出しをすることは、母親の施設に対する依存を助長するため、自立に向けて各家庭で購入するように指導する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × | 〇 |
B 〇 適切です。
C × 不適切です。
「母子生活支援施設運営指針」において、支援の基本として「資料等を使いながら、必要な手続きをわかりやすく説明し、必要に応じて職員が期間等への同行や代弁を行う」としています。
D × 不適切です。
「母子生活支援施設運営指針」において、入所初期の支援として、生活の安定に向けて「必要に応じて、生活用具、家財道具等の貸し出しを行う」としています。
次の文は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第63 号)に基づく職員に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を × とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 「児童の遊びを指導する者」は、放課後等デイサービス事業を行っている施設に配置され、遊びを通して子どもの心身の健康や情緒の安定を図る役割を担っている。
- B 「児童生活支援員」は、児童心理治療施設に配置され、児童の生活支援の役割を担っている。
- C 「児童指導員」は、児童自立支援施設に配置され、児童の自立支援の役割を担っている。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × |
3 | 〇 | × | 〇 |
4 | × | 〇 | × |
5 | × | × | × |
「児童の遊びを指導する者」は、児童厚生施設に配置される職員であり、児童の自主性、社会性、創造性の育成に資するものとしています。また、保護者の子育て支援、地域の子育て環境づくりも職務の一つです。
B × 不適切です。
「児童生活支援員」は、児童自立支援施設に配置される職員であり、不良行為や家庭環境の問題など、生活指導が必要な子どもたちと寝食を共にして社会構成の支援を行います。
C × 不適切です。
「児童指導員」は、児童養護施設や障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設等に配置される職員であり、父母に代わって18歳未満の児童を監護する場合において為替的役割を果たします。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
児童養護施設で実習をしているGさんは、保育士と他職種の連携について知ることを目的に、ある職員からその職員の業務内容の説明を受けました。下記はその内容です。
私の業務内容は、入所児童の早期の退所を促進し、親子関係の再構築等を図れるようにすることです。そのために児童相談所と密接に連絡を取り合って連携をします。 保護者に対しては、電話、面接等により児童の早期家庭復帰、里親委託等を可能とするための相談援助等の支援を行います。
【設問】
この職員の職名として、最も適切なものを一つ選びなさい。
1 | 家庭支援專門相談員 |
2 | 里親支援專門相談員 |
3 | 心理療法担当職員 |
4 | 個別対応職員 |
5 | 母子支援員 |
2 里親支援専門相談員:児童.相談所の職員や地域の里親会等と連携し、里親の開拓や里親に対する研修、里親家庭の相談対応など、里親を支援し施設と里親をつなぐ役割を果たします。里親支援ソーシャルワーカーとも呼ばれます。
3 心理療法担当職員:虐待を受けた児童、DV等の心的外傷のある親子に心理療法による支援を行います。
4 個別対応職員:虐待を受けた児童、愛着障害のある児童などに対して、集団措置では対応しきれない部分を個別にケアします。
5 母子支援員:配偶者との離婚、死別、などによって困窮に陥ったり、配偶者による暴力などで家を出なければならなくなった18歳未満の子を持つ女性に対して自立のための就職支援や生活支援を行います。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Mさんは、L児童養護施設で3年前から保育士をしている。最近、Nさん(19 歳、女性)から、「職場の人間関係がうまくいかず、辛かったので仕事を辞めた。どうしたらよいか」との相談を受けた。Nさんは、L児童養護施設を措置解除となった半年前から就職先の寮で暮らしていたが、現在は友人宅で生活している。
【設問】
次のうち、Nさんが利用できる福祉サービスとして、最も適切なものを一つ選びなさい。
1 | ファミリー・サポート・センター事業の利用 |
2 | 児童自立支援施設への入所 |
3 | 婦人保護施設への入所 |
4 | 児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)の利用 |
5 | 救護施設への入所 |
平成28年に児童福祉法が改正されたことにより、20歳になる前から自立生活援助が行われていた者のうち、大学等で就学中の者を対象に最大満22歳の年度末まで支援を続けられるようになりました。
1 高木憲次 日本の「肢体不自由児の父」と呼ばれ、日本で最初の肢体不自由児学校「光明学園」を創設しました。
2 野口幽香 1900年、森島峰と日本最初の貧民のための保育所二葉幼稚園を創設しました。
3 留岡幸助 1899年、感化院(現在の児童自立支援施設)を設立しました。東京家庭学校、北海道家庭学校の創始者でもあります。
4 堀文次 ホスピタリズム(アタッチメント形成の欠如による施設病)を提唱しました。