男性の中には、自分が50代60代でも若い女性と結婚すれば子どもを授かることができると思っている人がいるかもしれません。
しかし、精子の高齢化により子の脳の発達に影響があることがマウスの実験で分かりました。
※2021年2月10日(水)朝日新聞朝刊 医療サイト 朝日新聞アピタルより出典
目次
- 高齢の父親から生まれた子どもは自閉症などの発達障害が生じやすくなる?
- 近年増えている自閉症は父親の高齢化が原因かもしれない?
- 子マウスが自閉症によく見られる鳴き方をした
- 大脳皮質の一部が薄い?
- 高齢になると精子のDNAが変化してしまう
- 男女共に高齢で子どもを授かることはリスクが伴う
高齢の父親から生まれた子どもは自閉症などの発達障害が生じやすくなる?
東北大で神経発生学を研究する大隈典子教授らのチームがマウス実験を行った結果、高齢の父親から生まれた子は自閉症などの発達障害が生じやすくなることが分かりました。
これは高齢化により精子のDNAが変化することが影響すると考えられています。
近年増えている自閉症は父親の高齢化が原因かもしれない?
近年、自閉症などの神経発達障害の子どもは増える傾向にあります。以前から原因の一つに父親の高齢化が指摘されていましたが、このマウス実験よりさらに明確になりました。
神経発達障害は、父親の影響が強いとされています。
子マウスが自閉症によく見られる鳴き方をした
大隈教授らは、高齢(ヒトでいう50代程度)のオスから生まれた子マウスと、若いオスから生まれた子マウスの鳴き声を比較しました。
そうすると、高齢のオスから生まれた子マウスの方は鳴く頻度が減り、単純な鳴き声が増えたとのことです。
この傾向は、発達障害の一つである自閉症やアスペルガー症候群が起きるようにしたモデルマウスによく見られる傾向と同じとのことです。
大脳皮質の一部が薄い?
脳の発達の程度を測るため、知覚や記憶に関わる一部の大脳皮質の厚さを調べたところ、高齢のオスから生まれた子マウスの方が薄いことが分かりました。
大隈教授らは、神経細胞の減少によって大脳皮質が薄くなり、自閉症のような症状が出た可能性があると見ています。
高齢になると精子のDNAが変化してしまう
若いマウスの精子と高齢のマウスの精子のDNAを全て解析した結果、高齢のマウスの精子では、神経の発生に関わるDNAの一部に特徴的な変化が見られたとのことです。
また、高齢のオスのマウスから生まれた子の脳を解析すると、精子の中で変化が起きていたDNA内にあると見られる遺伝子が多く現れていたそうです。
このこの遺伝子によって正常な脳の発達が損なわれている可能性があると考えられます。
男女共に高齢で子どもを授かることはリスクが伴う
女性の場合、35歳を過ぎた初産婦と40歳を過ぎた経産婦は高齢出産と言われ、染色体異常や遺伝子異常が起こる確率が上がることが以前から指摘されていました。そのため、女性は婚活市場では30代中盤ともなるとお相手探しに難航し始めます。
今回、男性も高齢になるとリスクがあることがマウス実験で指摘されました。
男性は「自分が高齢でも若い女性と結婚すれば子どもを授かれる」と安易に考えない方が良さそうです。
監修:エクシオ 婚活アドバイザー 北川志穂