栄養たっぷり、愛情たっぷり。母乳のすごさ
赤ちゃんが最初に口にする母乳。母乳には赤ちゃんに必要な栄養素や免疫物質がたくさん含まれています。こちらでは母乳のすごさをご紹介します。
なぜ母乳が出る?
妊娠によって妊婦さん特有の女性ホルモンが分泌されます。
妊娠中には「プロラクチン」と「プロゲステロン」が分泌されます。プロラクチンは乳腺の発達を促し胸を大きくし、一方でプロゲステロンは母乳が出るのを抑えています。
プロゲステロンは排卵後に分泌される黄体ホルモンで、生理の周期と大きくかかわっています。生理前に不快な気分になるのは、プロゲステロンの分泌が関わっているという説もあります。
出産後は「プロゲステロン」の分泌は減り、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。これが母乳を出す働きをするホルモンです。
「プロラクチン」と「オキシトシン」は赤ちゃんに母乳を与えると分泌が促されるホルモンで、最初は母乳が出にくくても与えているうちに出るようになるのはこのためです。
また、オキシトシンには子宮を収縮させる作用もあり、母乳を与えると母体の回復が早いと言われるのはこのためです。
栄養たっぷり、母乳のすごさ
母乳はお母さんの血液が変化したもの。お母さんの血液が乳腺内で母乳に変化します。赤血球は取り込まれないので乳白色をしています。
母乳には赤ちゃんに必要なさまざまな栄養素がバランスよく含まれています。タンパク質、脂肪、乳糖、ビタミン、ミネラル・・・。さらには赤ちゃんの未発達な内臓に負担をかけないよう吸収されやすい成分で構成されています。
出産2,3日後に分泌される初乳には分泌型免疫グロブリンという免疫物質が豊富に含まれており、これは赤ちゃんに必要な免疫物質です。
母親は自然と母性に目覚めていく
赤ちゃんに母乳をあげることは、ただ単に赤ちゃんのお腹を満たす目的だけではありません。
赤ちゃんが母乳を吸う刺激により、お母さんはオキシトシンというホルモンの分泌が促されます。これは母性ホルモンと言われ、母親としての幸福感をもたらし赤ちゃんへのいとおしさが増す幸せホルモン。母子の愛情が目に見えない形で形成されているのです。
これは赤ちゃんの成長過程において、情緒や人間性の土台となるもの。のちの育脳にもつながっていきます。
母乳スイッチオン!
お母さんは赤ちゃんが泣いただけでも胸が張ったり母乳が出てきてしまったりします。赤ちゃんのことを考えるだけで、母乳がでてしまうこともあります。それだけお母さんの精神状態と母乳は密接に関係しています。
震災に見舞われた地域で、「母乳が出なくなった」という話を聞いたことがありませんか?お母さんが強いストレスを感じるとオキシトシンというホルモンのバランスが崩れ母乳がでにくくなるのです。
赤ちゃんを育てていくうえで完全にストレスフリーの状況を作るのは難しいです。周りの大人がなるべくお母さんがリラックスできる環境を作ってあげることが大切です。